「産廃」の関心領域シリーズ 5
浅井・豊橋市長とサーラの「?」な関係
いよいよ豊橋市長選挙である。3日告示、10日投開票で、現職の浅井由崇氏(62)はじめ、いずれも無所属の4氏が立候補した。公明の推薦を受けた浅井氏、自民支部が推薦する元市議会議長の近藤喜典氏(45)、元市議の長坂尚登氏(41)、ちくわ店経営の蔵地雅彦氏(65)である。争点は新アリーナ計画と言われるが、ちょっと待て。政治とカネの問題もある。=全文無料
前号では浅井由崇・豊橋市長に宛てた公開質問状をもとに「どたける(暴れる・怒鳴り散らすの意)浅井市長」を書いた。同市西七根地区では繰り返し土砂崩れを起こし、それを市役所は成和環境(同市)による産業廃棄物の不法投棄によるものであることを把握しており、「税金を投入して修復することはできない」として突っぱねてきたことや、浅井市長がところ構わず「どたけて」秘書2人が鬱病を発したパワハラ問題、前回の市長選における選挙資金の処理法に問題がある点などについてだった。
浅井市長からは今も回答はない。
今回はその続編――浅井市長と地元企業との「?」な関係についてである。
浅井市長の政治団体「浅井よしたかを応援する会」が作成した政治資金収支報告書のうち、ネット上で拾える令和2年分を調べてみると、「浅井よしたかを応援する会」に献金した個人の名が並んでいる。
会社経営者や弁護士、税理士など48人に上る。ほとんどは会社経営者であり、それは他の政治家も変わらない。しかし浅井市長のそれを子細に検分すると、その顔触れに唸らずにいられない。地元財界の重鎮、神野吾郎・サーラコーポレーション社長の名を筆頭に同社関係者の名前がぞろぞろ出てくるのだ。
前回市長選で個人献金の4分の1
この令和2年とは豊橋市長選が開かれた年である。寄付は浅井市長(当時は愛知県議会議員)が市長選への立候補を表明した直後の同年4月2日から、市長選が行われる半月ほど前の10月23日まで続く。
その総額は3278万円あまり。そのうち浅井市長自身が同会に計800万円を献金しているから、これを除けば外部からの献金は約2500万円になる計算だ。
問題はその中身だ。
東証プライム上場企業であるサーラコーポレーションは、傘下にエネルギー関連やそのエンジニアリング、住宅設備などの35の連結子会社群を束ねる純粋持ち株会社だ。その有価証券報告書や、HPに掲載されている子会社群のURL、会社登記を、浅井市長の政治資金収支報告書と突き合わせて調べていくと、
神野吾郎(サーラコーポレーション社長) 100万円
相原夏実(アスコ社長)50万円
鈴木康弘(サーラコーポレーション同常務) 50万円
各務祐司(サーラ住宅常務)50万円
藤村利夫(中部技術サービス監査役)50万円
中嶋敬憲(サーラコーポレーション監査役) 50万円
鈴木一司(サーラエナジー監査役)50万円
松井和彦(サーラコーポレーション専務) 50万円
石川公一(サーラ物流社長)50万円
大場吉恭(サーラ住宅社長)50万円
平山満之(サーラ住宅取締役)50万円
計600万円
(献金の日付順、敬称略)
という記載が見つかる。計600万円は上記の2500万円の約4分の1を占める計算である。
サーラと取引のある企業や、豊橋市の公共事業に関わっている会社の社長からの献金も見つかった。加えて、浅井市長の後援会「豊橋新時代の会」が作成した令和2年分の政治資金収支報告書を見ると、神野社長がここでも100万円を献金していることがバッチリ記されていた。
駅前大通の再開発を受注
一方、市長当選翌年の令和3年から豊橋市が実施した公共事業にサーラコーポレーションがどう関わっているのか、ざっと見てみよう。浅井市長のHPには、自らの実績を誇示するかのように両手を広げた市長の全身写真と、その施策の数々が列挙されており、これを調べるのが手っとり早い。
まずは豊橋市も2008年の計画段階から関わっている豊橋駅前大通の再開発事業からだ。
豊橋駅前大通二丁目地区市街地再開発組合などが建設した「emCAMPUS(令和3年に竣工)」は、商業施設や行政施設、オフィスなどが入居している複合施設だ。サーラのHPには「当社グループは、グループ会社の中部ガス不動産株式会社を中心に本事業の事業計画策定から施設内コンテンツの企画および誘致・マネジメント、マンション開発・販売まで一貫して関わっており」と記されており、サーラの存在は隠れようもないものだ。
余談になるが、再開発組合の石黒功(豊橋市に本社を構えるイノチオホールディングスの社長)理事長も浅井市長の大口献金者の一人である。
連結子会社もWi-Fiなど落札
これ以外では令和4年7月、サーラの連結子会社である中部が、市内の小中学校に無線アクセスポイント機器設置を5050万5600円で落札。令和5年5月に実施された、豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)での公衆フリーWi-Fi環境整備業務でも中部が3億4480万円で落札した。
令和4年4月には豊橋市とサーラエナジーが電力売買契約を交わし、太陽光発電設備と蓄電設備の設置を発表。令和5年には、動物愛護センターの整備でやはり子会社のアスコが3億2770万円の業務を落札しており、これらはいずれも浅井氏が市長に就任した後に、豊橋市が行った入札や契約の一部である。
サーラコーポレーションは、神野社長らの献金について「個人として献金しているのなら、会社としてコメントは差し控える」とストイカに返答している。
ストイカは豊橋市民の皆さんからの情報提供も歓迎します。受付のメールアドレスはinfo@stoica.jpです。(続く)■