ビッグローブ売却でいよいよNECはコンシューマ市場からその姿を消してしまうのでしょうか
NECがISP事業の「ビッグローブ」を売却というニュースが出まして、メディアが一斉に取り上げています。興味深いところをピックアップしてみました。
山本一郎です。私自身は消えないままネットで14年間いき続けております。
ところで、先週、NECがISP事業の「ビッグローブ」を売却というニュースが各メディアで報じられました。
NEC、ビッグローブ売却へ通信設備事業などに注力(朝日新聞 2013/10/10)
NEC、ビッグローブ売却社会インフラに集中(日本経済新聞 2013/10/11)
NEC、ネット接続業者のビッグローブを売却へ=関係筋(ロイター 2013/10/10)
NEC子会社のビッグローブ年度内売却へ、財務面不安で(スポニチ 2013/10/10)
NECは国内のパソコン事業を中国レノボと統合、さらにスマートフォン事業からも撤退した。同社事業と個人向けインターネット事業の相乗効果が認められなくなったと判断した。ロイターなぜか他紙ではあまり多くを触れていないスマホ事業の売却失敗について、スポニチが大きく取り上げ憶測を書いているあたりがなかなか面白いです。
NECは、不振だった携帯電話事業を中国の聯想(レノボ)グループに売却しようとしたが、交渉が決裂。結果的に7月末にスマートフォン(多機能携帯電話)事業からの撤退に追い込まれた。携帯事業の売却で見込んでいた資金が手に入らなかったことも、今回の事業整理につながったとみられる。スポニチまぁ、実際にはNECの事業展開を総合的に判断した結果、同社にとってコア事業ではないISP/ポータル事業はもう美味しくないという結論に至ったということでしょう。そのあたりの細かい分析については東洋経済が字数を費やしていますが、結局はPCからスマホへというコンシューマ市場の流れについていけなかったことが大きいように思えます。
黒字なのにビッグローブが売り払われるワケ(東洋経済 2013/10/12)
スマホシフトが進む中では、パソコン向けを主軸としてきたビッグローブの閉塞感は強まる一方だった。東洋経済スマホ対策では、月額利用料金の安さを打ち出したMVNO事業「ほぼスマホ」もありましたが、あれは当時すでに型落ちであまり人気のなかったAndroid端末の抱き合わせ販売という在庫処分施策にしか見えない内容でした。せめてSIM販売ベースでの展開だったらもう少し違った結果があったのかもしれませんが、ここで「たられば」を論じても仕方ないでしょう。
ビッグローブはつい最近もNPO団体支援を目論んだ企画への協力を発表したばかりですが、こちらは今回の売却で大きな影響が出ないと良いですね。NPO団体の多くはこうした資金援助施策でどうにかこうにかやりくりしているところも少なくないので。
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それにしても、NECはPC-98とガラケーをもってしてコンシューマ市場でこの世の栄華を欲しいままにした時代もあったわけでして、まさにまた一つの平家物語をリアルに見てしまった感が強いです。
どこにいってしまうんでしょう、NEC。最近では長年にわたってその帳簿が変だという噂まで出されて第二のオリンパスだと持って回るジャーナリストまで出る始末で、時代の変化に対応できなかった大企業の末路が何とも微妙な物悲しさを感じさせる次第です。