無縫地帯

引っ越しの理由

「無縫地帯」はかつてYahoo! ニュースの人気コラムでした。Lawless Zoneと天衣無縫を兼ねたタイトルも「切り込み隊長」らしい。歯に衣着せぬ舌鋒の鋭さとその膨大な知識が、Webメディアの未来を感じさせたのですが、Yahoo! Japanが増長し変質しました。他メディアの情報をタダ同然で転載する代わりに編集権は行使しないという建前だったのに、フェイク情報の選別を口実にそれを骨抜きにし、事なかれの保身のために恣意的な自主検閲を始めています。もはや新聞などの大手メディアと変わらず、ライターに対する隠微な締めつけを行ってもその事実を認めようとしません。

 

「無縫地帯」も、2019年のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の記事をきっかけに事実上掲載がストップ、その1年後にコラムごと抹消されました(山本氏の抗議文と、Yahoo!側の説明は「山本一郎氏のnote等でのご発信につきまして 」を参照)。過去1000件以上の寄稿を本人の同意なく全文を消すのは、ブロガーに対する焚書にひとしいと思います。古代ローマが政敵をあらゆる記録から消したダムナティオ・メモリアエ(記録抹消)の刑をよみがえらせたようなものです。でも、Yahoo!にはその自覚がありません。Σtoicaは暴挙の記念碑として「無縫地帯」の全記事をアーカイブスで公開します。Yahoo!はテキストデータだけで画像データを消去してしまったので、復元には空白の傷が残りました。彼らに言論や報道はおろか、ビッグデータを扱う資格もないことは、その一事をもってしても明らかです。新しいプラットフォームを得た山本君は、アーカイブスだけでなく、新しいブログも随時書いていきますと意欲的です。どんどん記事のストックを増やし、みんなでイチロー節を堪能してYahoo!の鼻を明かしましょう。  (阿部重夫)