無縫地帯

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)社の「Tポイント事業」がいろいろと正念場のようです

電子決済やポイントサービスの分野では先行していたはずのカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)社「Tポイント事業」ですが、競合他社に揉まれて苦戦を強いられている模様です。

「Tポイント」はカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)社が展開するポイントサービスですが、国内利用者数は6,000万人を超えるとされています。本当に使われているのかどうかは私は知りませんが、少なくとも公称ではそうなっています。

6,908万人の会員基盤(CCC社;19年4月19日現在)

2018年9月末の時点で、「アクティブ」(=直近1年間にTポイントをご利用していただいている)、かつ「ユニーク」(=Tカードを複数枚お持ちの方を1人として数える)な年T会員数(年間利用・Tカード保有・名寄せ)は6,788万人になりました。CCC
同社傘下レンタルチェーン「TSUTAYA」の会員カード「Tカード」のポイントサービスを皮切りに、各種小売店やサービスと広く提携することで大きなシェアを築いてきた経緯はここで改めて説明する必要もないと思われますが、会員ユーザーや採用企業の信頼を裏切るようなやらかしもあったりして、往時の権勢をそのままこれからも優雅に維持し続けるのはなかなか容易ではないだろうと思われるところがあります。

Tカード情報を捜査当局に提出、CCCの対応を巡る問題点(BUSINESS LAWYERS 19/3/26)

「ツタヤで借りたAV」は警察にモロバレCCC、Tカード情報を警察に横流し(プレジデントオンライン 19/4/12)

警察や検察は裁判所の許可を得ずに、Tカード利用者の性的嗜好を調べることができたのだ。例え、映画やドラマといった一般的なDVDでAVを挟み、“サンドイッチ”にしてレジまで持っていったとしても、警察にはすべてお見通しだったのだ。さらに、捜査当局は防犯カメラ画像も入手できたということなので、そんな恥ずかしい行動も全部見られてしまっていた可能性もある。プレジデントオンライン
CCC社のやり方が適法であったかはともかく、利用者からすればアダルトビデオの貸し出し情報が捜査当局に無断で提供されていたとなると、気持ち的に微妙なことになるのは心情として理解はできます。

さすがにこういう話が出てくると気軽にTカードを利用しようと思わないユーザーが出てきても不思議ではありません。捜査当局への協力ということ自体は他のサービスでも同様に行われていることでありますが、CCC社の場合は会員ユーザーに対して事前に適切な説明をしないまま、ユーザー視点からすれば勝手に独断でお上と通じていたという印象を与えるようなやり方をしてしまったということですから、不誠実な印象は免れないというところでしょうか。

同社では過去にも個人情報を巡るトラブルが取り沙汰されたりしましたが、そういう諸々の積み重ねが原因の一つになったのかどうかは分かりませんが、Tポイント提携先としては最大手の一つであろうファミリーマートがポイントサービス展開について事業方針を大きく変更することを発表しました。

ファミマ、Tポイント運営会社株式を売却へサービスは継続(日本経済新聞 19/4/10)

ファミリーマートは、共通ポイント「Tポイント」の運営会社の保有株式全てを売却する方針を固めた。11月までに発行済み株式の約15%を、Tポイントを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に売却する。
(中略)
ファミマは15年に約100億円を投じてTポイント・ジャパンの株式を取得した。Tポイント会員の購買データ活用などでの連携を深めるのが狙いだった。ただ、コンビニの集客力が伸び悩むなか、Tポイント以外のポイントサービス導入が必要と判断した。日本経済新聞
CCC社とTポイント事業を協業してもファミマにとって望ましい成果が出なかったということのようですね。株式売却というのはファミマからCCC社への三行半みたいな印象もありますが、CCC社側の言い分としてはちょっとニュアンスが異なるようです。

ファミマ、「dポイント」「楽天ポイント」を導入「Tポイントのみ」から「オープン主義」へ(ITmedia 19/4/10)

CCCマーケティングは「ファミリーマートのポイントサービス多様化の方針を受け、多様化によるアライアンスパートナーへの影響を鑑み、ファミリーマートに対して保有するTポイント・ジャパンの全株式売却を要請し、契約締結に至った」と説明している。ITmedia
そうですか。

まあ、それぞれの言い分はあるでしょうが、Tポイント事業にとって大きな痛手となりそうな点は否めなさそうです。

件のTポイント・ジャパンは昨年になってようやくTカードのスマホアプリ化に踏み切っていますが、このところ矢継ぎ早に登場して過当競争気味なQRコードベースのモバイル決済サービスとの勝負に追い込まれ、弱り目に祟り目な感じなのではないかと想像されます。決済時に店頭でスマホアプリを立ち上げる必要があるならば、ユーザーは当然決済ができて同時にポイント還元の高いサービスを選ぶことになるでしょう。そのときに決済機能無しでわずかなポイントしか得られないようなサービスが選ばれる可能性は限りなく低いと考えられます。

こうなるとCCC社としては早急に人気のある決済サービスとガッツリ提携するか、もしくは自社で提供している電子マネーサービス「Tマネー」の強力なテコ入れが必要となってきそうです。しかし、他決済サービス事業者との提携は相当にハードルが高い難題になりそうです。なぜなら多くの決済サービス事業者にとってはユーザーの購買行動データこそが一番の要であり、そこをわざわざCCC社に委ねるということはまずあり得ないからです。キャッシュレス決済を取り巻く環境が大きく変動する可能性のある今年は、Tポイントを抱えるCCC社にとっても正念場となりそうです。

そして、目下ソフトバンクグループが熱心に推進している「PayPay」でも、モバイルTカードとの連携は告知されています。

「PayPay」でモバイルTカードが利用可能に!「PayPay」アプリでモバイルTカードの表示が可能になりました。
「PayPay」関東・山梨県32店舗のイオンで利用可能に(2019年4月17日から) (ネタフル 19/4/16)

良いか悪いかは別として、利用者としてはPayPayとヤフーカードにYahoo!ウォレット、そしてTポイントの運用と複数ブランドが並立して動くことになりますので、どこかのタイミングでCCC社がTポイントをサービスごとYahoo!JAPANに譲渡してPayPayブランドに統合ということも考えるのかもしれません。

いずれにせよ、乱立する電子決済もQRコードもポイントサービスも、いまでこそ百家争鳴で頑張れる時期ではありますが、最終的にはいずれ3社4社に統合されていく運命にあります。先行して頑張ってきたCCC社も、上場廃止によって資金調達が硬直化し、元々の本業であったレンタルビデオ事業がビジネスサイクルの末期にきて日本全国に進出した店舗の閉店ラッシュとなっている現状を見ると、ソフトランディングをしようにもなお横風強し、といったところでしょうか。