東京新聞・望月衣塑子さんを応援する謎の中学校二年生女子の実在が疑われる問題について(追記あり)
政権批判陣営のアイドル・望月衣塑子さんが官房長官記者会見から追放されるかどうかで問題が先鋭化していたはずが、なぜかネットで始まったとされる女子中学生による支援運動に疑義がつき場外乱闘が続いています。
菅義偉さんによる官房長官会見からの東京新聞記者・望月衣塑子さん排除事案については、官邸、記者クラブ、望月さん全サイドに問題があり、この件についてはすでに江川紹子さんが詳細に論じておられるので、これ以上本稿で個々の問題を語る必要はないと思っていました。
【官邸vs東京新聞・望月記者】不毛なバトルの陰で危惧される「報道の自由」の後退(ビジネスジャーナル江川紹子 19/2/26)
ところが、この問題に対し突然、朝日新聞系列のネットメディア・ハフポスト日本語版の関根和弘記者が、オンライン書名サイトChange.orgで「中学2先生の女子生徒による望月衣塑子さん支援」の署名活動が始まったと報じ、その不自然な経緯にネットが騒然となり、さらに関根さんがその母親を伴った記事を掲載することで野火がさらに広がっています。
東京新聞の望月衣塑子記者を助けたい。中2の女子生徒がたった1人で署名活動に取り組んだ理由とは(ハフポスト 19/3/2)
東京新聞の望月衣塑子記者を支援する署名をネットで集めた中2、誹謗中傷に「子どもが何か意見しちゃいけないんだと感じた」(ハフポスト 19/3/6)
これらの関根さんの記事に対し、異論や批判が続出していますが、この中学2年生を標榜するアカウントの発言の時間帯が平日昼間などの通常は中学2年生は学校にいるころに行われているという点が決定的な嫌疑となり、母親か関係者が話題作りのためにこの中学2年生女性生徒を使って話題作りをする二人羽織なのではないかという話題が広がるわけであります。
中2の女子生徒(望月衣塑子記者を助けたい)は「やはり」女性記者の【騙り(本人詐称・年齢詐称)】でした。(Togetter 19/3/5)
望月衣塑子署名で中2女子は嘘?中学生は規約違反でなりすまし理由は?(従者ヨシコの芸能ブログ 19/3/5)
ネット界隈には、過去にも小学生を騙って政治問題を提起した件が即バレ炎上したり、架空の女子学生が政治的な投書を新聞社にしたことにされる事案があったりしますが、いずれも選挙権のない子どもたちが無垢な精神で汚い現実社会や自民党政治を批判、糾弾する内容になっているのが特徴です。いわば「子どもをダシにして権力批判」を展開するキャンペーンを張ろうとするものの、実際には子どもが周りの大人程周到に政治的な感覚を持ち合わせているはずもなく、結果としてたいしてモノも分からない子どもに大人が何かを言わせているのではないかという疑念を持たれてしまう活動になるわけです。
今回一連の記事を書いた関根さんは非常にまっとうな記者であり、ごく単純にネットでそういう活動をしている中学生がいるのであれば取材して記事にしようという以上の動機は無いように見えます。過去の関根さんの記事も内容としてきちんとしたものばかりで、何か政治的な具を仕込みに行ったようには見受けられません。もちろん、朝日新聞系のハフポストである以上、一定の立場からの記事になっているように見えるのは仕方のないところですが、それは読み手側のリテラシーとしてどういう受け止め方をするべきかは各々判断するべき事項ではないかと思います。
本来であれば冒頭に掲示した江川紹子さんのような「菅義偉さんも悪いけど、関係者みんな少しずつ良くない」という結論で、今後は望月さんもちゃんと菅さんに事実に基づき私見を挟まず短い時間で質問していこうね、官邸も無闇に望月さんを官房長官記者会見から排除するなんて野暮なことはせず、国民にとって開かれた会見にしようねという道筋で終わったはずなのです。
しかしながら、関根さんの記事が発端となり「この望月さんを中学2年生の女の子も応援している」という意味の分からないムーブが打ち出され、この無駄な場外乱闘のお陰で官房長官記者会見をより良いものにしていこうという話から「また左翼が架空の支援者でっち上げて難癖付け始めたぞ」という方向へ流れて行ってしまうのは痛恨です。
ひょっとすると、関係者全員が中学2年生レベルの精神年齢の人たちなんじゃないかと邪推したくなるぐらい、稚拙でレベルの低い陰謀を振りまいているのではないかと不安です。官邸において東京新聞の記者が排除されるという報道の自由度に直結するような問題が、どうしようもないフェイクニュースネタのような「女子中学生は実在したのかどうか」という与太話にまで転落するのは如何なものかと思う次第です。
言い方は悪いですが、菅義偉さんや官邸の広報室が強硬な態度を取り続けるお陰で、反安倍政権論壇では望月さんがどんどん神格化され、政治記者としてたいしたキャリアを築いているわけではない望月さんに逆に支援の声が集まってしまうのは本末転倒ですし、政権・官邸による報道の情報統制の仕組みについてももう少し開放的にできないかとすら思います。
政府中枢の発表を国民に知らせる機能を持つ官房長官記者会見には、官房長官や広報室、新聞記者の皆さんと各パートで一番優れた人たちが集まっているはずが、どうして出来の悪い中学校のホームルームみたいなことになってしまうのか、首をひねるばかりです。
(追記 19:03)
さらに関根さんから本件追加記事がでて、Change.orgは規約違反ではないという見解を発表しているとのことです。見る限り、利用者のアカウントが16歳未満でも、母親など保護者との共同管理であれば問題なく、政治運動がこういう形で中傷されるのは良くないという流れのようです。しかしながら、そもそもの本件への疑念は女子中学生本人の意向ではなく母親や周辺の活動家の二人羽織ではないかという話なので、Change.orgごと誘爆しないよう気を付けてほしい、話の本丸は官邸の官房長官記者会見などから東京新聞・望月さんが追放されるべきか、東京新聞や望月さんの官邸への取材、質問内容は妥当かという話のはずなので、本筋を見失わず議論を重ねていってほしいと願うのみです。
東京新聞の望月衣塑子記者を支援する署名集めた中2の女子生徒、「規約違反はない」とChange.orgが回答(ハフポスト 19/3/7)