無縫地帯

Googleがメール送金サービスを開始

Gmailによる送金サービスが始まるというニュースが英語圏でありました。興味深く感じつつも、どのくらいニーズがあるのか思いを馳せてしまいます。

山本一郎です。海外とメールをやり取りしていると普通に午前2時とかなるのはやめてほしいんですけど、これもまたグローバルなんたらって奴でしょうか。地球の裏側とかで暮らすのはほんとやめて欲しいと思います。

ところで、ブログサービス「Tumblr」を11億ドルという巨額で買収し、さらには写真サービス「Flickr」の大規模リニューアルを実施と、ここにきて米Yahoo!にまつわる派手な話題が続いていますが、Googleの方も若干地味ながら今後のネット界隈でかなり大きな影響を与える可能性を秘めたサービスを開始したようです。

「Gmail」で送金が可能に(ハフィントンポスト 2013/5/17)
グーグル、「Google Wallet」の新機能を発表--電子メールでの送金も可能に(CNET Japan)

Gmailアカウントを持つユーザーは、電子メール経由で送金が可能になる。これは、今後大きな影響をもつ可能性がある出来事だ。ハフィントンポスト
今のところ米国ユーザーのみという制限はあるものの、すでに招待制ベースで送金機能は公開されており、実際に使ってみたというレポートもブログ等で見かけます。

Sending Money With Gmail Is Live, You Just Need To Be Invited - Here's How (US Only)(Android Police 2013/5/17)

どうやら1セント単位でも送金可能で、Google Walletまたは銀行口座への振込であれば今のところ手数料も発生しないようなので、少額送金用途には便利かもしれません。

米国ではネット経由の送金・決済サービスでは「PayPal」がずいぶんリードしており、そのほかにもスマホアプリベースで「Venmo」といった新興企業等も出てきていましたが、今回のGoogle参入で色々とまた波乱が起きそうな気配です。面白いことに、早速メールを使った送金サービスで対抗勢力が名乗りを上げたという報道もありました。

ジャック・ドーシーのSquareがメール送金サービス、Square Cashを開始―現在は招待のみ(TechCrunch Japan 2013/5/21)

もっとも、日本における送金・決済サービスの状況は米国とは勝手が違うため、Gmailによる送金サービスが同じように始まるかどうかは不明です。PayPalも以前は個人間での送金に対応していましたが、法改正により中断されたままです。

PayPalが国内の個人間送金を一時停止、「資金決済法」施行に伴い(INTERNET Watch 2010/3/30)

なぜPayPalが日本国内で個人間送金に対応するための資格を取得しないのかに関しては以下のような論考もありますが、実際のところはよく分かりません。

PayPalが日本国内で資金移動業に登録されるのはいつになるのか?(NOTES5375 2012/4/17)

もしGoogleが日本国内で資金移動業者として登録されれば、Gmailによる個人間送金は実現するわけですが、はたしてGoogleはそこまでのことをしてくるのかどうか。今のところ、Googleは米国内でもGoogle Wallet事業全体では苦戦しているというのが実情ですから、日本での展開はしばらく無いように思えます。

普及が進まない「Google Wallet」--米国における苦戦の理由を探る(CNET Japan 2012/5/31)

ただ、このメールによる送金という手法が米国内で成功すれば、日本国内でも同じ手法でサービスを開始しようとする事業者が出てくる可能性は高いでしょうね。すでに根回しに動いているところはありそうです。

例えば、mixiが個人間決裁できるようになるとして、誰が使うようになるのでしょうか。興味津々です。王道でいうならば、ヤフオク!を擁するヤフージャパンが独自のサービスとしてYID連携のメール送金サービスを実現するとか言うのもありえるかとは思うのですが、さてさて。