無縫地帯

FacebookとAppleの仲が険悪だそうですが、これはプロレスの一種なんでしょうか

Appleのティム・クックさんに批判されたFacebookのザッカーバーグさん、社内でApple製品を使うなとお触れを出したとされる話がまことしやかに伝わってきて騒動になっています。

話を見ているだけではどこまで本当なのかよく分かりませんが、一種の面白ネタとして海外ニュースでFacebookとAppleの確執が露骨な形で報じられておりました。

ザッカーバーグCEO、「Android」だけ使うよう経営陣に命令か--クックCEOの批判受け(CNET Japan)

Zuckerberg氏の経営陣が実際にAndroidスマートフォンに乗り換えたかどうかは不明だ。Facebookにコメントを求めたが、すぐに回答を得ることはできなかった。CNET Japan
この「Androidだけ使え」という経営陣への命令が出されたという話が“事実”だとしても、さすがにメディアからの問い合わせに対して公式に「はい、そのとおりです」とはちょっと格好悪くて答えられないような気がします。なのでおそらく真相は藪の中ということになるのでしょう。まあ、外から見ている分にはプロレスと同じで面白いからいいのですが。

今回の一件で思い出すのは、Facebookは過去において社員に仕事用携帯電話としてiPhoneを無償で配っていたことがあり、Androidが徐々に普及しだした時点でもほとんど誰も社内でAndroidを使っていないのに困った挙げ句、Androidの利用を推奨する羽目に陥ったことがあったことです。

長年iPhoneを無償配布してきたFacebook、社員にAndroidのテストを懇願(TechCrunch 12/11/26)

なんかこう、Facebookは組織風土としてこういう「頭が良い人の集まりのはずなのに、やることは行き当たりばったり」というDNAがこびりついているのではないかとさえ感じます。あの当時とは状況が違って今は社内でも普通にAndroidユーザーがずいぶん増えているんじゃないかとは思いますが、どちらにしてもあまり格好良くない形で社内にAndroidの利用を強制するのがFacebookの社風ということなのかもしれません。

ちなみにFacebookとAppleの確執については今年の春先にも、まずはAppleのCEOであるティム・クックさんがFacebookを例に挙げて個人情報取り扱いの重要さをアピールし、それに対してザッカーバーグさんが噛みつく一幕がありました。

ザッカーバーグ氏:アップルCEOのFB批判に反論、「極めて軽薄」(ブルームバーグ 18/4/3)

これに関しては、幾つかICT業界のゴシップ的に「ザッカーバーグ氏はAppleのこの挑発に怒り心頭となった」という話がまことしやかに流されたのは、やはり過去にそういう問題を起こしてきたから類推されてしまうということなのでしょうか。FacebookはこのところApple以外からも色々と各所で叩かれているので、ザッカーバーグさんの鬱憤はかなり溜まっているかもしれないですね。上手に息抜きしてほしいところですが、しかし、以下の報道で憶測されていることがもし事実だとすると、iPhoneを社内で使うなという話などとはまったく次元が異なるといいますか、かなりまずい一線を越えたことになりそうで気になるところです。

米上院議員、フェイスブックの批判回避策に関する報道で調査依頼(ロイター 18/11/16)

英タイムズ紙の記事によると、フェイスブックは批判的な活動家の信用を落とすためにディファイナーズと契約。ユダヤ人人権団体に働きかけ、同社への一部批判を反ユダヤ主義的だと位置付けさせたという。ロイター
権力を握っていると思い込んだ経営者が、自らを批判する言論を許せなく感じて批判を封じ込める目的で攻撃的になるのはFacebookのような国際的な大企業でも日本ローカルの動画サービスの元社長もあまりメンタリティは変わらないのかもしれません。

Facebookが「ザッカーバーグ、アップルのクックCEOに激怒」記事を否定「Androidは前から推奨」(Engadget日本版 18/11/18)

Facebookは、マーク・ザッカーバーグCEOが「(iPhoneではなく)Androidだけを使え」と経営陣に命じたとのNew York Timesの報道を否定する声明を発表しました。Engadget日本版
やはりあの記事には反論しておかないとさすがに格好がつかないという感じでしょうか。しかし、このところ報じられる記事など見ているとFacebook社内的にはやはり色々と大変そうではありますね。

FBは「戦争中」、変わるザッカーバーグ氏ザッカーバーグ氏の姿勢の変化でサンドバーグ氏との間に緊張感も(ウォール・ストリート・ジャーナル 18/11/19)

事業が上手くいっている勝ち組のはずなのに、世間的な逆風を受け流すことができずに対応を間違え風評を落とす、ということにならないことを期待したいと思います。