無縫地帯

Windows 10の普及が進む結果これまであまり知られていなかった不都合な仕様が話題に

マイクロソフト社の主力OS「Windows 10」の普及に伴い、マイクロソフトストアでのおすすめが勝手にインストールされてしまう問題が改めてクローズアップされています。

Windows 10が登場したのは2015年の夏でしたがなかなか市場では普及が進まない状況というのがあります。個人的には、Windows 10に移行してまったく不満はないのですが、企業などでは当然OSの入れ替えはコストを伴うためになかなかむつかしいという現実はあります。儲かっている企業ばかりではないため「OSが新しくなりました」「はいそうですか」とはならない、のが常道であります。特にWindows PCの場合、企業でのビジネス用途が多いということもあり、新しいOSが発表されてもアプリケーションの対応などからすぐに皆が導入するというわけにいかないなど、既存OSがサポート期間内にある限りはどうしてもぎりぎりまで維持するという傾向があるでしょう。

しかし、一方で古いOSを搭載したPCの販売が終了してしまうことから、企業などでも必然的に新しいOSを搭載したPCを導入していかざるをえない状況となっていきます。セキュリティや業務効率化を考えれば、そのようなOSの更新もままならないような企業はご退場願いたいところですが、そうも言っていられないというのが現実です。

Win7搭載PCの出荷は10月まで!購入には注意もサポート終了まで1年半を切る(日経トレンディネット 18/8/27)

こうした背景もありWindows 10の普及が徐々に進みつつあります。

IDC Japan、2018年 国内法人市場 Windows10移行状況に関する調査結果を発表(日本経済新聞 18/3/8)

Windows10移行率が低い要因は、現時点では移行計画がない、もしくは移行計画の詳細を決めていないため日本経済新聞
この記事にある調査の実施時期は2017年9月ということで、まだWindows 7搭載マシンが普通に入手可能であるという状況も反映してか、積極的にWindows 10を導入しようというよりは嫌々ながら移行しつつある雰囲気が醸し出されており興味深いですが、現時点ではもうWindows 7搭載マシンの出荷も終了したタイミングであり、企業向けも個人向けも新たにWindows PCを入手しようとすればWindows 10搭載環境が普通ということになりそうです。

当然、Windows 10を日常で使う人がこれまでよりもぐっと増えることになるでしょう。その結果、実は以前から一部では問題視されていたWindows 10の仕様が一気に広く認知されることになったようです。

【Windows 10】「勝手にLINEがインストールされていた」の声が増加中(LINEの仕組み 18/11/11)

昨日2018年11月10日頃より、Windows 10のPCを利用しているユーザーの間で「LINEが勝手にインストールされていた」との声が急増しています。
(中略)
今のところ詳細は分かっていませんが、以前から発生している「Candy Crush Soda Sagaが勝手にインストールされた」「Facebookアプリが勝手にインストールされた」「Twitterが勝手にインストールされた」と同様、ストアアプリ(Microsoft Storeアプリ)をWindowsが自動的にインストールする「Microsoft Consumer Experience」機能の対象に「LINE」が含まれるようになった可能性があります。LINEの仕組み
これ、実はWindows 10において2016年8月3日から提供が開始された大規模アップデート「Anniversary Update」で導入された標準的な仕様による挙動で、Microsoftストアで「おすすめ」とされるアプリがユーザーへなんの通知もなく自動的にインストールされる仕組みです。もちろん、見ようによっては大変よろしくない機能で、名指しはされていないもののプラットフォーム事業者の独占的な振る舞いの例としてWindowsも入ってしまう理由の一つになっているように見えます。この仕様が導入された当時からWindows 10ユーザーの間では話題となっていたのですが、日本ではWindows 10がここにきて普及が進んだためこれに気付く人が増えたという感じではないでしょうか。

このご時世に、頼んでもいないアプリを勝手にインストールするというのは、いくらMicrosoftがおすすめしているからとはいえちょっと強引かつ筋が悪いような気がします。しかも、もし一般ユーザーがこのおすすめアプリ自動インストール機能を完全に停止しようとすると今のところはレジストリをいじったりと裏技的な作業が求められるようでして、ちょっとMicrosoftは何がしたいのかよく分かりません。

公式アプリストアであるMicrosoftストアですが、そのスタート時からユーザーにはいまいち不評であった印象もありますが、なんとかして使ってもらいたいという思惑がこういう極端な形でマルウェアみたいな挙動へとなってしまったのか。さすがにあり得ない仕様だと思うのですが、どうしてこうなったのかは誰もが納得のできる形でMicrosoftに説明してほしいところです。