無縫地帯

LINEが独自暗号通貨を絡めて金融事業に進出し、日本市場でキュレーションサイトもてこ入れとの報

LINEが仮想通貨や証券事業への進出を発表したかと思ったら、これを絡めるのか「NAVERまとめ」的なキュレーションサイトの再テコ入れも浮上、にぎやかになってきました。

日本市場においてメッセージングサービスで断トツの強みを見せるLINEですが、その他の事業においてはなかなか地力を発揮することができず、いまひとつ伸び悩んでいる印象があります。

本国ではそもそもが検索サービスにエンドユーザーの質疑応答を組み合わせるというUGCもしくは昨今で言うところのキュレーション的なノリが受けてシェアを拡大した出自があるわけです。そして本国でのそうした社風をもっとも反映させていたとも言える日本国内向けサービスが「NAVERまとめ」でした。しかし、DeNA医療情報サイト「WELQ」に端を発したまとめサイト問題で一気に非難を集めることになった結果、検索エンジンで何を検索してもNAVERまとめが一番にヒットするというような状況はほぼ解消され、そうこうするうちに国内本社からNAVERまとめは事業を分社化するという顛末がありました。

もちろん、NAVERまとめはかねてから著作権の問題も含めて権利者からの圧力が絶えないサービスではあります。どのような形で事業を再構成していくつもりなのか、興味津々な部分はあります。ただ、一時期交流を誇ったキュレーションサイトは概ね低調な状況に陥り、キュレーションを謳うウェブメディアも鳴りを潜めている状況です。

これでしばらくはキュレーション的なサービスはむつかしいのではないかと見ていたのですが、やはりLINEとしては本国NAVERの意向もあるのかどうかは分かりませんが、ユーザー発信型のサービスが好きなようで新たな展開を打ち出すようです。

商品や飲食店のレビュー投稿でコイン付与LINEが独自ブロックチェーンで5つの新サービス(ITmedia 18/9/27)

出澤剛社長は「ユーザーはコンテンツの消費者だけでなく、SNSや口コミなどのコンテンツ生産者にもなっている。本来サービスに貢献したユーザーには金銭的な還元がなされるべきだが、そうした取り組みは多くない。ユーザーとサービスがWin-Winで成長して果実を分かち合う仕組みを作ることができれば、質の高いサービスを作り出していくことができるのではないか」と話す。ITmedia
今回の施策では、同社独自のブロックチェーンネットワーク「LINK Chain」を導入し、同社独自の暗号通貨「LINK Point」をインセンティブとして発行していくというのが大きなセールスポイントとなっています。

独自のテクノロジーということで、その実態がどういうものであるのかは外部からは今ひとつはっきりしませんが、LINEという閉じたエコシステムの中でユーザーを囲い込んで、その中で情報と暗号通貨を回すことで、権利侵害などの問題が起きにくい環境整備をするのかなと穿った見方ができなくもありません。

とりあえずはIT、医療、健康などのジャンルの情報交換向けには同社が認定する専門家を集めて信頼性を担保する意向も発表しているようですが、これにしてもどういう基準での認定なのでしょうか。

いずれにしても、現状のLINEのメッセージングサービスユーザーの興味を上手に新サービスへと誘導できるか、そしてLINK PointがLINEユーザーにとって価値があると思わせるような見せ方ができるかが大きな課題となりそうです。LINEによるとLINK Pointは資金決済法で定める「仮想通貨」には当たらないものだそうでして、このあたりのエンドユーザーからするとちょっと分かりにくい仕組みが受け入れられるのかどうかも気になるところです。

なお、LINEはすでに仮想通貨事業への参入を皮切りに、LINE証券ほか金融事業への進出をすでに発表しています。

【コーポレート】新会社「LINE Financial株式会社」設立のお知らせ(LINE 18/1/31)
野村とLINE、6月に「LINE証券」設立へ(BLOGOS 18/5/25)

なんかこう、LINE周辺のビジネスはなかなかうまく立ち上がらないように見えるなかで、収益性の高い事業を目指して金融に進出してきたというのはどう判断されるのか、またキュレーションビジネスの再立ち上げと併せて仮想通貨がどういう役割を果たそうとするのかは興味津々です。

LINEの客層だとサブプライム層ばっかりにならないか?という心配は尽きませんが。