スマホアプリの自動継続課金という落とし穴
iOSなどで展開されるアプリに「月額自動継続課金」の仕様が入っているケースが増えていますが、これの解約が分かりにくいなどして消費者問題になりそうな気配が強くなってきました。
スマホアプリの有料施策として「自動継続課金」という手法があります。この手法を採用するアプリでは、ユーザー側で当該アプリの利用をやめたつもりでいてもうっかり課金が継続されてしまうというトラブルが少なくないようです。以前は一部のゲームアプリで自動継続課金を採用する事例があったのですが、いまではごく普通に見かけるようになりました。
こうした課金スキームを採用しているアプリであれば、良心的な場合はFAQ的な項目で必ずサービスの止め方について触れていたりはするのですが、それでもエンドユーザーからするとその仕組みが分かりにくく、またサービス解除の具体的なやり方にしても正直なところ直感的とは言えない作法になっている感があります。
定期購読をキャンセルしたのに、また課金されました。(Tinder 請求と支払いの問題)
アプリやアカウントを削除しても、有料サービスを解約したことにはなりません。Tinderアプリを削除したからこれで課金も止まるだろうと勘違いするのは相当ありがちなトラブルでしょう。実際、使っていないはずのアプリの月額利用料がAppleやGoogleから請求をかけられても明細をみない限り気づかないというのは数多いのではないかと感じます。
一方でアプリ開発者側からすると、この自動継続課金はマネタイズのむつかしいスマホアプリビジネスではかなり手堅い手法という認識もあるようです。
iOSアプリで自動継続課金をリジェクトされないためのチェックリスト(iPhoneの定期購読サブスクリプション)(うめのんブログ 17/9/21)
結論からいうと、継続的な収益を目指すには一回払いのアプリよりもちろん自動継続課金のほうがいいし、僕は間違いなくやってよかった。さらに、一年以上経つと、アップルの取り分も30%から15%になるのもでかい。なるほど、一概に自動継続課金は悪手であるとも言えないのかもしれません。
(中略)
継続課金が上手くいくと長くアプリをアップデートしていくやる気もでるから、一回払いのアプリに比べて開発者側もどんどんよくしようっていうモチベーションが上がるし。うめのんブログ
しかし残念ながら、ユーザー側からすると分かりにくい課金の仕組みを悪用したアプリも出回っているのもやはり現実でして、そうした問題を注意喚起する記事が先日公開されていました。
高額課金が自動継続するアプリの問題(280blocker 18/9/15)
広告経由でインストールしたiOSアプリによって、高額課金が自動継続する契約をされ、多額のお金が請求される被害が急増しています。とくにApple側の課金システムでは、こうした悪意をもったアプリがより容易にユーザーを欺せてしまえるような仕組みになってしまっているのも問題がありそうです。
ただ、メディアではほとんど取り上げられていません。280blocker
2018年途中からはAppStoreでの継続課金に無料トライアル期間が設定できるようになったたため、自動継続課金に同意した時点(騙されたとき)と、課金開始時点をずらす事が可能になり、騙されても気づきにくくなりました。280blockerYahoo!知恵袋ではこうしたアプリを解約できずに困っているというユーザーの投稿がありました。
カラーコールというアプリをダウンロードしたら(Yahoo!知恵袋 18/3/30)
この質問者の場合は幸いにも大事には至らなかったようですが、質問カテゴリーを見ると「知恵袋トップ>スマートデバイス、PC、家電>OS>Windows 10」となっており、明らかにITリテラシー的には頼りない方なんだろうと察せられ、この悪徳アプリがそうした人々から多額の課金をだまし取っていることは容易に想像できます。
なかなか不気味なのはこれらの詐欺同然のアプリの中には、元々が「低料金や無料の優良アプリだったものが、急に高額継続課金アプリになることも」あるということでして、下手をすると以前から使っていたアプリをアップデートしたらなぜか課金機能が搭載されており、気付かないうちに課金契約をさせられていたという事態が起きる可能性も絶対に無いとは言い切れないところでしょうか。
また、2018年9月15日現在のiOS無料アプリの総合ランキング1位と2位が高額課金を自動継続するアプリであるという現実もすごい話ですし、「1年間解約を忘れていると、継続して課金されどちらのアプリも約15万円課金」されるというのが恐ろしいです。そろそろ放置もできない状況になるでしょうし、消費生活センターへの相談件数も増え始めるのではないでしょうか。
怪しい自動継続課金アプリがアプリストア内で跋扈しているという事実をApple側がどこまで把握しているのかは謎ですが、こうしたアプリの仕組みを調べずに使うユーザー側の自己責任ということで放置の状態であるなら困ったことになります。
まさに詐欺同然ともいえるようなアプリが総合ランキングで上位になれる理由としては、YouTubeやInstagram、Facebook等の広告経由でダウンロードできる仕組みになっていることが大きく影響していると考えられるようですが、つまりはGoogleやFacebookが詐欺アプリに荷担しようという意図がないことは明確であっても、結果的には詐欺アプリの広告を大々的に行っているという現実でもありましてなかなか厄介です。
ちなみに高額継続課金アプリの現状については先のブログで補足記事も出ていますので、是非リンク先の記事をご覧いただければと思います。
補足記事:高額課金が自動継続するアプリの問題(280blocker 18/9/20)
さすがに週に3300円も課金される壁紙などはあり得ないと思うのですが、欺されてしまう人はやはりいるのでしょうね…。