Googleが日本スマホ市場攻略に向け再奮起
Apple製iPhoneがトップシェアであり続けるという、世界的にも珍しい日本市場ですが、巻き返しを図りたいGoogleがかなり本腰の施策を打ってきました。
日本のスマホ市場は世界で唯一GoogleのAndroidスマホが各メーカー束になって掛かってもAppleのiPhoneにシェアで太刀打ちできないような状況であることが有名であります。ほぼiPhone一強状態なのが日本市場の特徴です。
国内携帯シェア、Appleが6年連続1位SIMフリーはHuaweiが1位(ITmedia 18/5/11)
Googleは日本市場でAppleに負けています。こういう状況もあってか、Googleはここしばらく日本市場においてスマホ関連のマーケティングは様子見といいますか、積極的な勝負をほぼ避けている印象がありました。とくに端末についてはリファレンスモデルの意味づけも大きい同社製「Pixel」シリーズの国内販売がずっと差し控えられた結果、国内のAndroid開発市場にもネガティブな影響が出るのではと危惧されるほどの事態となっていました。
国内Android関連開発市場が周回遅れになっている件(Yahoo!ニュース 個人 山本一郎 18/5/12)
このままGoogleは日本のスマホ市場を諦めるのか、まさかさすがにそれは無いだろうと思いつつも、一体どうなることやらとぼんやり思っていたわけですが、ここに来て一気にGoogleは日本のスマホ市場攻略に向けて再奮起したようです。
Google、日本への「Pixel」投入認める(ITmedia 18/9/19)
同社がTwitterに「新しいスマートフォン Google Pixel がまもなく日本にやってきます」と投稿した。なるほど、ようやく日本でも普通に最新OSが走る端末を手軽に入手できるようになりそうですね。まずはめでたい。そしてさらに興味深いのが以下の施策です。
(中略)
米Googleは、10月9日(米国時間)に開催する製品発表イベント「Made by Google」で「Pixel 3」(仮)を発表するとみられている。一部報道によると、同社は新型スマートフォンの日本投入について国内の通信事業者と交渉中という。ITmedia
Google Playにポイントプログラム、日本限定でスタート(ケータイWatch 18/9/18)
Google Play Pointsは、アイテム課金や、指定されたアプリのインストール、週単位で実施されるキャンペーンへの参加で、ユーザーにポイントが付与される。ポイントは100ポイントにつき100円相当のGoogle Playクレジットに交換できるほか、ゲーム内アイテムの購入に利用できるということですが、このポイント制度はすべてのアプリ・コンテンツ開発者が参加できるとする一方で、開発者側がこのプログラムに参加するためのコストは今のところ無償であり、ポイントの原資はGoogleが負担するという点が大いに注目されるところでして、さすが太っ腹です。
(中略)
Google Play Pointsは日本だけで提供するプログラムという。その背景として「日本ではこうしたプログラムが多くあり、受け入れられやすい。Google Playにとって日本市場は重要であり、ユーザーへの感謝を気持ちを示したいときにポイントプログラムが適切と考えた」ケータイWatch
もちろん、最初は無料にしてユーザーかき集めるだけかき集めておいて、依存させ逃げられなくして置いてから、あとで有料にする、という例のパターンなのかという気もしないでもないのですが、それでも日本市場にあわせた施策を打ってきたあたりに興味を惹かれます。
Googleはポイントプログラムという体裁をとることで日本市場における有料Androidアプリ・コンテンツの開発者呼び込みとエンドユーザーの消費喚起を強力に推し進めることになります。はたしてこれで、ずっと盛り上がらなかった国内スマホ市場におけるAndroidの存在感を高めることができるのか、また同施策が開発者やエンドユーザーの心にどこまで刺さるのかは今後の市場の動きをじっくりと観察させてもらうとして、一方でAndroidというシステム自体が抱える信頼性への不安やアプリ動作に関する不満といった問題は今後どうやって解消されていくのかは大変気になるところでもあります。
前世紀の電話制御技術で、Android端末機器の多くがハッキングできる:研究結果(WIRED 18/9/12)
「Android」はユーザーの想定以上に情報を収集している可能性--米大教授が調査(CNET Japan 18/8/23)
FGOはさておきUnity製ゲームではAndroidでの動作が遅い理由(fyama's diary 17/7/8)
AndroidでFGOのローディング時間が長すぎてつらい問題は端末買い換えるより他ない(つんどくダイアリー 18/9/17)
しかし、本件は端末ビジネスのところですが、日本のメーカーのだらしなさ、体たらくは別の問題にもあって、今後主力となる5Gにおいては、ほとんど中国HUAWEI、ZTE組か、いまやアメリカ資本と言っても過言ではないSamsung社のどちらかに依存するしか方法はなく、富士通もNECも信頼に足る5G向け基地局を構築する技術も微妙といったレベルです。産業政策の不在なのか、日本のソフトウェア界隈の無策なのかは人によって見解は異なるのかもしれませんが、部品レベルでの健闘が光るとはいえ一番稼げる分野での日本企業の存在感のなさはもう少しどうにかならないのだろうか、と思う次第です。