無縫地帯

Androidはサムスンの一人勝ちみたいですが大丈夫なんでしょうか

今回のAndroidの環境はサムスンに有利に進んでおり、思った以上に強い数字がデータとして出てくるようになりました。なんとそのシェア七割。他のメーカーも、そろそろどうにかしないといけませんね。

山本一郎です。最近、己の地味さ加減にいい加減うんざりしています。

ところで、Android市場がサムスンの牙城、まさに金城湯池となりつつあるという驚愕の報道がありました。

Android搭載スマホ市場、13年第1四半期はSamsungの利益が95%に(ITpro 2013/5/16)
[http://news.livedoor.com/article/detail/7682133/ Androidのシェア7割、サムスンが群を抜く、世界スマホ市場、Gartner調べ(livedoorニュース 2013/5/17)

複数の調査会社の統計を比較して確かめてみても、どうやらサムスンのAndroid市場における一人勝ち状況は間違いないようです。良くも悪くも頭の抜けた状態で、おそらく今後は下位メーカーが世界競争の中で振り落とされていく世界観でしょうから市場は寡占の方向へ向かっていくことでしょう。

現時点でSamsungはAndroidスマートフォン業界の紛れもない王者。SamsungがAndroidプラットフォームによって得ている売り上げと利益はGoogleのそれよりも多い。Samsungはその大きな市場支配力を利用して、Androidエコシステム(生態系)の今後の方向性に影響を与えるかもしれない:[http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130516/477241/|ITpro
すこし以前からサムスンはGoogleのAndroid事業展開にとって脅威となりつつあるのではないかという観測記事を見るようになりましたが、もはや脅威を通り越した絶対的存在となりつつあるのかもしれません。母屋を取られたヒサシの心境といえば言いすぎでしょうが、こんなはずではなかったと考えているでしょうね。

で、GoogleはAndroid戦略の一つとして、「Nexus」というブランド名でキャリアや端末メーカーの影響を受けない純粋なAndroid環境を提供するための製品をGoogle独自の販路で流通させてきましたが、ここに来て突然Nexusの名前を外したサムスン製品を同じような扱いで流通させることを発表しました。

グーグル、サムスンの「GALAXY S4」アンロック版を「Nexus」仕様で発売へ(CNET Japan 2013/5/16)

従来もNexus版のGalaxyは確かに存在しましたが、主はGoogleでありサムスンはあくまでも製造委託請負メーカーとしての関係でした。しかし、今回はサムスンのブランドで販売されるわけですから、やはりGoogleとサムスンの力関係に何らかの変化が生じてきたと見るのが妥当なのかもしれません。

これだけ世界のスマホ市場で圧倒的な存在感を示すサムスンですが、日本市場では海外に比べてまだかなり弱いのが実情で、2012年度も国内シェアは5位でした。そのため今後相当なテコ入れをしてくるようです。

「携帯シェア、日本一目指す」サムスン日本代表が自信(朝日新聞 2013/5/17)
GALAXY S4は「ドコモのお客様のためだけに」、サムスン電子のイ副社長(ITpro 2013/5/16)
「日本でスマホ首位狙う」サムスン部門副社長(日本経済新聞 2013/5/17)

「(GALAXY S4は日本では)ドコモのお客様だけが使える」。韓国サムスン電子 無線事業部副社長のイ・ヨンヒ氏は2013年5月16日、都内で開催された説明会で、GALAXY S4は日本ではNTTドコモだけが取り扱うことを明らかにした。GALAXY Sシリーズの従来機種はKDDIでも販売していた。ITpro
サムスンは日本国内市場展開に関して、KDDIを捨ててドコモだけの1局集中とする施策を打ち出してきましたが、ドコモでもそれに乗ってサムスン推しの「ツートップ」施策を展開することになったのは前回の記事でも書いた通りです。両社の思惑が噛み合ってガッツリと強力なタッグを組んだということなんでしょうが、さてその結果はどう転がっていくのでしょうね。

そういえば、こんなお話もあって、一寸先は闇だよなと思ったりもする次第です。

スマートフォンが百均ショップに並ぶ日がやってくるのかもしれない(BLOGOS 2103/5/8)

ヨーロッパの主要国や日本も、再来年ぐらいには普及率が80%前後になってくるのでしょう。それはとりもなおさず先進国ではスマートフォンはもうこれ以上の普及は望めない「限界普及率」に達してしまうことを意味しています。 なにか多くの製品で見てきた歴史をまるで早送りのコマで見ているかのようで、面白いといえば面白いのですが、スマートフォンで稼いでいる企業にとっては大きな試練がやってきます。BLOGOS
いわゆる無料スマホまで市場が進化して、ベンダーファイナンスと広告、リースバックモデルという、昔のADSLでソフトバンクがやらかしたような世界観なのでしょうが、それは同時にイノベーションの終わりでもあります。スマホはもはやこれ以上は広がらないので、多くの資金を投下していけばこのぐらい回収できるという堅い数字が弾けるようになるので、かつての高速インターネット回線や日本国内での携帯電話販売のような仕組みが成立するわけなんですね。

他の陣営も黙ってはいないのでしょうが、いままでも全力でみんなで頑張った結果がこのサムスンの事実上の勝利であることを考えると、そろそろゲームルールをチェンジしないといけないのではないか、と切に感じるところであります。我が国のスマホの世界も何かガラケーとの合体が進んでいるようですし、どうなってしまうのでしょう、我が国の携帯電話事情は。