無縫地帯

ドコモが反撃の狼煙を上げたんですか?

ドコモの「2013夏モデル」が発表になりました。ツートップとLINE活用の話が前面に出ており、これはこれで興味深いところなのですけれども、これで勝ちに行くつもりなのでしょうか、ドコモは。

山本一郎です。スマホ2台持ちの無意味さにショックを隠せないので、ドコモのほうはガラケーに戻そうか検討しています。私に夏は来るのでしょうか。

ところで、ドコモが「2013夏モデル 新商品・新サービス発表会」を行い、色々と新しい施策が発表されたようです。

ドコモ、“ツートップ”戦略の勝算13年夏商戦、快進撃LINEとも連携(東洋経済 2013/5/16)

この記事見出しにも出ているように、注目すべきポイントはやはり「ツートップ」と「LINE」なんでしょうね。「ツートップ」とか言われると潰れたPCパーツ屋みたいです。

このツートップ施策については、日本経済新聞が事前リークなのかスクープなのかよく分かりませんが、かなり詳細な記事を発表会当日の朝には掲載していました。国内主要端末メーカーにとってはかなりガクブルな内容だったのですが、まさかそこまで本当にやるだろうかと思っていたら、そのまんまの発表でした。

ドコモ、メーカーのスマホ選別人気度で販促費に差(日本経済新聞 2013/5/15)
ドコモの「ツートップ宣言」で携帯メーカーの淘汰が始まる(ASCII.jp 2013/5/16)

NTTドコモは今夏の商戦からスマートフォン(スマホ)の人気に応じて価格に差をつける手法を導入する。ソニーと韓国サムスン電子の新製品に販促費を厚く配分し、実売価格を1万円程度に下げる。その他の機種は2万~3万円以上になる。最大手のドコモが販促費に差をつけることでメーカーの選別につながる。人気機種のないメーカーは販売量の低下が避けられず、業界再編が進む可能性がある。:http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD140NO_U3A510C1MM8000/|
NTTドコモが仕掛けた夏モデルでの大勝負。だが、その陰で国内のケータイを支え続けてきたメーカーがピンチに陥ることは確実だ。ASCII.jp
これまで「ファミリー」として仲良く生温い形でやってきたメーカーの皆さまにはお悔やみ申し上げますとしか言えないような時代がやって来たようです。まあ、質が低く台数も出ない端末しか作れないファミリーは勘当だということでしょうか。気持ちは分からないでもありません。

で、日経はさらにこのツートップ施策を受けた記事でさらなるiPhoneネタをぶつけてきて、さすが読者の心を鷲づかみにする方法を心得ているなと感心することしきりです。

サムスンVSアップルドコモが変えるかスマホ地図(日本経済新聞 2013/5/16)

スマートフォン(スマホ)で世界首位に立つ韓国サムスン電子の日本市場での存在感が高まりそうだ。NTTドコモはサムスンの新型機種を特に販売に力を入れる戦略スマホと定め、ソフトバンクなどが扱う国内トップのアップル「iPhone(アイフォーン)」に対抗する。サムスンが日本でシェアを拡大できるかどうかは、ドコモのiPhone導入の行方を左右することにもなりそうだ。日本経済新聞
上記記事は会員にならないと本文の冒頭までしか読めませんが、同記事の趣旨をより客観的な文章で上手にまとめているブログがありましたので、そちらも紹介しておきます。というか、日経のこの記事はちょっと煽りすぎじゃないですかね…。

NTTドコモ、GALAXY S4をiPhone対抗の戦略スマートフォンに設定=日本経済新聞(RINGO-SANCO 2013/5/16)

いずれにしても「サムスンVSアップル」という日経の見出しが端的に示していますが、そこに国内メーカーの立ち入る隙はほとんど無いような雰囲気が漂っていて寂しい限りです。業界再編を頑張っている声はあちこちで聞かれますが、もうそれほど残された時間はないというのが実情ですからねえ。ハードウェアのセットメーカーとして生き残る道はほぼ途絶えているので、もう次のゲームが始まらない限り浮上の目はない、と考えていいんじゃないでしょうか。残念なことですけど。

さて、もう一つの話題がLINEです。

LINEに“ドコモ通話ボタン”協業を発表(産経新聞/Yahoo!ニュース 2013/5/15)
ドコモ、LINEと提携「検索機能などで年齢制限を」(朝日新聞 2013/5/15)
ドコモとLINEが協力、「らくらくスマホ」対応など(ケータイWatch 2013/5/15)

ドコモの加藤社長自らが「LINEは旭日の勢い。いろんなサービスの可能性を探りたい」(産経新聞/Yahoo!ニュース)と熱く語るほどに、今の国内スマホ市場においてLINEは強く魅力的なプラットフォームと化してきてますが、まさかこのタイミングでこういう流れになるとはLINE恐るべし。っていうかドコモ自前のドコモメールはどこにいったんだという話に戻るわけですね。まあ、プロジェクト炎上したままだからね。しょうがないね。

であるからして、当然のようにこれまでのスマホ向けキャリアメール施策における失敗の連続の挽回を主眼としての大型提携かと思いきや、そうではないとのこと。

開発が遅延している「ドコモメール」とLINEとの協業は関連がないとのこと。ケータイWatch
さすがに通信事業の根幹に関わる部分は譲らないということなんでしょうが、これがいい話なのかどうかさっぱり判断できないほどに最近のドコモは迷走している事実もあるわけで。とりあえず過去にも同じような話として、KDDIがSkypeとの提携を大々的に打ち出しておきながら、その後は事実上のフェードアウト状態である経緯を考えると、今回のドコモとLINEの関係も先行きはよく分かりません。

「禁断のアプリ」はSkype--KDDI、Skypeを搭載へ(CNET Japan 2010/10/18)

とりあえず、LINEとドコモとの協業施策については、18歳未満ユーザーのID検索制限を設けることになったのが良かったんじゃないでしょうか。ただ、「同等の機能は、既にau版では導入されている」(ケータイWatch)ということで、遅きに失した感も無きにしも非ずですが。

いずれにしても、今回のドコモの発表は、サムスンやLINEといった海外企業製品を主力として打ち出すことで事業の立て直しを目指すという図式が見えてきました。これまでの「国産」だから優遇されるという古き良き伝統の終わりが、いわば親方日の丸の典型だった企業から宣告されたという点でなかなか感慨深いものがあります。

ドコモがやるはずだったそろそろ反撃ってのはどうなったんでしょうかね。
どうもなっていないのかもしれませんが。