無縫地帯

今年も仮想通貨界隈は盛り上がりそうですがリスクもさらに高まりそうです

仮想通貨(暗号通貨)周辺がバブル状態になりつつも、多くの投資家・消費者にとって魅力的な環境が整いつつあり、多くの資金が流入する一方、さらにリスクが高まりゆく事案が続発しており、注意が必要です。

降って湧いたようなこのところの仮想通貨ブームですが依然としてその成り行きはよく分かりません。とりあえず仮想通貨に前のめりな人達にとっては、JPモルガンCEOの謝罪ともとれなくはない微妙な発言などは朗報だったりするのでしょうか。

JPモルガンCEO、「ビットコインは詐欺」発言を後悔(ITmedia 18/1/10)

米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン会長兼CEOは、2017年9月に「ビットコインは詐欺であり、崩壊する」と発言したことについて「後悔している」と述べた。
(中略)
ダイモンCEOは「ブロックチェーンは本物だ。円やドルと同じように仮想通貨を所持できる。ICOについては個別に見る必要がある」と述べた。一方で、「私はビットコインに全く興味を持っていない」と現在の姿勢を表明している。ITmedia
なにやらこの記事だけ読むとブロックチェーンの話とビットコインの話がごっちゃになっているように見えなくもありませんが、そのあたりは突っ込まずにスルーということにしておきましょう。

それにしても我が国の先進的なビジネス界隈は仮想通貨が過剰に盛り上がっているようであります。

メルカリ、仮想通貨決済を導入18年内にも(日本経済新聞 18/1/11)

全世界で仮想通貨の導入が進むなか、日本でもメルカリをはじめとする企業に仮想通貨決済が広がっている。金融庁によると、17年12月26日時点で16社が仮想通貨交換業者に登録されている。日本経済新聞
メルカリに限らず、仮想通貨(暗号通貨)決済に前のめりな発表をする企業が増えているのが気になります。

仮想通貨に前のめりになる消費者こそがカモだというわけではありませんが、仮想通貨導入で盛り上がる世間の流れに合わせてフリマ大手某社は仮想通貨決済導入でますますマネロンにやさしい方向へ突っ走ることに決めたようにも見えます。メルカリにおかれましては、改めてガバナンスやコンプライアンスについてしっかりとした体制を整えていただきたいと願ってやみません。それにしても日経は「全世界で仮想通貨の導入が進む」と断言してしまっていて、これはちょっと煽りすぎなんじゃないでしょうか。

日本国内は仮想通貨決済に向けてイケイケな気配濃厚ということのようですが、一方で仮想通貨は今のままではまともな決済手段として使えないという話もありまして、その分かりやすい事例が海外で報じられておりました。

北米ビットコイン・カンファレンス、ビットコインでの支払い受け付けを停止(BUSINESS INSIDER JAPAN 18/1/11)

主要なビットコイン関連の国際会議が、ビットコインでのチケット代の支払い受け付けを停止するまでに悪化している。
(中略)
マイアミで開催される。チケット代は最終販売分で1000ドル。だが参加者はもうチケット代をビットコイン、もしくは他の仮想通貨で支払うことはできない。BUSINESS INSIDER JAPAN
まさに紺屋の白袴、髪結い髪結わず、医者の不養生といった体たらくであります。こうした状態がいつまで続くのかはよく分かりませんが、現行の仮想通貨が単なる投機対象でしかないのか、本来の目的であった「普段使いの決済手段を提供する、国家にとらわれない通貨」として利用するのはちょっと無理がある状況です。

仮想通貨には夢があるという御仁はたくさんいらっしゃることでしょうが、仮想通貨は今年サイバー攻撃の主要な標的となる可能性が高いとも言われておりますので、そちら方面へ手を出す際には十分な注意が必要そうです。

2018年に警戒すべき脅威は?9社セキュリティ予測まとめ《後編》(ASCII.jp 18/1/11)

価値が急上昇した「仮想通貨」はあらゆる手段で狙われる
(中略)
これまでは被害者のマシンに感染して仮想通貨のマイニングをひそかに実行させるマルウェアが見られたが、今後はよりストレートにユーザーのウォレットや口座から仮想通貨を盗み出す攻撃手口が増えると予測している。ASCII.jp
しかも残念なことにこうした予想が的中するような事態はすでに起きております。

仮想通貨取引所「Zaif」に不正アクセス--10人が不正出金される(CNET Japan 18/1/11)

どうやら事態は進行中のようですが、この「Zaif」はまだ露顕が早かった分いいほうで、他の取引所や決済会社ではもっと重篤な事態が進展しているのではないかという話が出始めていて、これはこれでゾクゾクするものがあります。

仮想通貨絡みのサイバー犯罪だけではなく、仮想通貨やそれを利用したICOを騙る詐欺事件も今年はさらに大きく増えそうな予感がします。まずは皆様ご用心ください。