「北朝鮮ミサイル発射」で東アジア情勢がさらに悪化しているのに、なぜテレビは相撲の話題なのか(追記あり
北朝鮮が29日未明に高い軌道でのミサイルを日本EEZ内の日本海側に打ち込んだということで、改めて緊迫してきていますが、日本のマスコミではなぜかトップニュースが横綱日馬富士の現役引退になっています。
このところ北朝鮮情勢は緊迫度を増していまして、今日も未明にミサイルが発射されたということで非常に厄介なことになってきております。
北朝鮮のミサイル発射、米大統領「われわれが対処する事態」(ロイター17/11/29)
【北ミサイル】北朝鮮が弾道ミサイルを発射、日本のEEZに落下か75日ぶり、米本土達する射程1万キロ超のICBMの可能性(産経ニュース 17/11/29)
今回発射されたミサイルの性能については諸説ありますが、上空4,000キロに到達するロフテッド軌道だという報道が事実であれば、北朝鮮のアメリカ本土へ届くミサイルの開発状況はまた一歩、進捗したということになるでしょう。
東京証券取引所など、相場面では北朝鮮有事をある程度織り込んでいることもあって平穏ではありますが、開戦前夜まで堅調な相場であった第一次世界大戦のころも「高度に互恵関係を築き上げた各国が経済的利益を捨てて戦争をすることなどあり得ない」と各所で論じられながらも百万人規模の死者を出す凄惨な戦争へと導かれたことを忘れてはいけません。戦争を知る日本人が減ったとは言え、どのような形であっても戦争を全力で回避することが日本の使命であって、日本政府に打てる手が少ないとしても安倍晋三総理の賢明な判断を期待するしかありません。
日本人のための第一次世界大戦史 世界はなぜ戦争に突入したのか(毎日新聞出版 板谷敏彦)
北朝鮮有事を睨む11月5日、トランプ大統領来日(デイリーニュースオンライン 17/11/1)
残念なことに、北朝鮮を取り巻く事態はミサイルに限らずほうぼうで進行中で、賭け金がじわじわと上がっていっている状況です。何よりも北朝鮮からの旧式木造船に乗って日本海側秋田県や新潟県に漂着する事例を見るに、戦争前夜で困窮している北朝鮮漁民が決死の覚悟で脱出してきたとも見えるし、戦争を見越して北朝鮮が対日攻撃やテロを目的として工作員を送り込もうとしたとも感じられる事例です。日本人の戦争への意識や北朝鮮への考えとは別に、すでに事態が進行し始めていることについては、いま以上に日本人としての考えをまとめたり社会的な論議を経ておいて不測の事態に陥っても冷静に対処できるような準備をしておくのが良いのではないかと思うわけです。
トランプ政権、北朝鮮をテロ支援国家に再指定追加制裁も発動へ(ニューズウィーク日本版 17/11/21)
北朝鮮の木造船か漂着相次ぐ(Yahoo!ニュース ホウドウキョク 17/11/27)
北朝鮮の強い反発必至=半島情勢、再び緊張か-中国特使訪朝も「不発」(時事ドットコム 17/11/21)
フランス外相、中国提案を否定北朝鮮問題「効果ない」:国際(東京新聞 17/11/25)
しかしながら、各テレビ局や一部新聞のトップは「横綱日馬富士、現役引退へ」という話であって、もちろん話として興味深いし闇の深い業界だなと思うものの、この状況でお相撲さんの話をメインにもってくる報道や情報制作ってなんなのよ、と思うわけです。「北朝鮮の危機を煽れ」と言いたいのではなく、視聴者や読者のレベルに合わせた内容でなければ数字が取れない、新聞紙や雑誌が売れないというレベルで、本当に「いざ」というとき適切な情報がメディアに掲載されるのか不安で仕方がないのです。本来のメディアの役割は社会的に重要な問題を適切な手法と中立的な立場できちんと事実を報じることが一丁目一番地であって、国民の暇つぶしに資する芸能スポーツネタで目くらまし的な娯楽を提供することではないと思うのですが。
官邸も各省庁も国会中にむつかしい宿題が積み上がって大変でしょうけれども、何とか上手く乗り切れることを心から祈っております。
(追記13:23)
なお、本日14時からのテレビ各社の放送内容は次のようなものです。
本日の予定14:00~
日テレミヤネ屋日馬富士引退!会見中継
テレ朝ワイド!スクランブル緊急特別番組日馬富士引退!会見中継
TBSゴゴスマ日馬富士引退!会見中継
フジ直撃LIVEグッディ!日馬富士引退!会見中継
テレ東午後ロー「ザ・ガンマン」狙われた暗殺者 ショーン・ペンが肉体の限界に挑む!
個人的には「安定のテレ東」とか言ってる場合じゃないぐらい、日本のテレビ番組(民放)の編成のされ方は特異ではないかと強く感じます。