無縫地帯

Androidの標準化はこれからどうなるのでしょうね

製品仕様が多様すぎて訳が分からなかったAndroid界隈ですが、Samsungのベースハードウェアへ統合される方向で市場が動いており、統制が進んできたというお話。開発側はうれしいですが、さてさて。

山本一郎です。そろそろ私用の携帯電話はAndroidからガラケーに戻そうか検討しているところです。

さて、そのAndroid関連で興味深い記事がありました。香港のAndroidアプリデベロッパー1社による報告でしかないので、あくまでも参考として読むべきでしょうが。

Androidアプリの試験対象機が1年で400機種から約100に激減, Samsungの実質標準化で(TechCrunch Japan 2013/5/8)

昨年Animocaのアプリ試験工程は、なんと、400種ものAndroidデバイスを対象にした。しかし今は、その1/4に減っている。その大きな理由は、Androidハンドセットの標準化が進んでいるからだ。TechCrunch Japan
確かにAndroidアプリの開発は、そのあまりにも多種多様な端末が存在し機種に依存した挙動の違いが発生することから、開発現場でもどうやって対応していくかが大きな課題ですから標準化が進むのは好ましい話ではあります。

しかし、その標準化を実現してきている主な理由がGoogleの努力によるものではなく、「今では多くの携帯がSamsungのベースハードウェアに標準化されている」というように、1メーカーの市場寡占化による結果だというのがなかなかに微妙です。

Samsungは、自己ブランドの完成品を作っているだけでなく、さまざまな他社製品のための部品も供給している。2012年にSamsungは、NAND Flash、DRAM、およびディスプレイ部品では世界最大のメーカーだった。この三品目の同社の市場占有率はそれぞれ、31%、38%、25%に達する。TechCrunch Japan
Android市場におけるサムスンの過度な台頭は、Googleにとっても手放しでは歓迎できないのか、色々とバランスを取るのに苦慮している気配も報道などから感じ取れます。

Google、Samsungの台頭を懸念(リンゲルブルーメン 2013/2/26)
グーグルのCFO、サムスンとの関係が悪化したとの報道を一蹴(CNET Japan 2013/3/2)

そのためもあって、Googleはモトローラを買収して新しい端末の開発も行っているようですが難航しているようで、開発断念かという噂も流れたりしていますが、これも今のところはよく分かりません。ただ、やはりGoogleは上手く舵取りが出来てない印象は否めません。

Google、「X Phone」の開発を断念か?!今後はMotorolaが単独で開発を継続?!(ラシカル開発記 2013/5/10)

来週の5月15日から定例の大規模な技術カンファレンス「Google I/O」が開催されるので、そこでの発表をまずは注目したいところです。

で、最初の記事の話に戻りますが、世界的にはAndroidのハード環境が標準化される動きでアプリビジネスも楽になりつつあるのに、日本向けの商売は勝手が違って困るという話になっています。

日本だけは、この話が当てはまらない。今でも奇妙な機種が多く、またそれらがお互いに微妙に違っている。世界のそのほかの部分は、Samsungに右へ倣えしているから、どこでもほぼ同じだTechCrunch Japan
この話、前向きにとらえれば日本のハードウェアメーカーは世界の巨人サムスンに対抗すべく、オリジナルの仕様を打ち出してより良いものを作ろうと頑張っているということもであると思います。ただ、そうした努力が残念ながら上手く回っておらず、結果としてまたも「ガラパゴス」と揶揄される方向で評価されてしまいそうな方向へ向かっているのが今の状況なのかもしれません。

日本のハードウェアメーカーには、サムスンに右へ倣えするのではない形で、広く世界に受け入れられる独自の技術と製品を作り出してほしいと切に願うばかりです。