無縫地帯

AmazonもAIスピーカー「Echo」日本発売、本当にスマスピは日本で根付くのか?

Amazonが日本でも人工知能を駆使したスマートスピーカー(スマスピ)「Echo」を発売、その基本動作を担う「Alexa」の機能が充実しており日本の協力業者も想像以上に多くて評判です。

知らなかったのですが、いわゆるスマートスピーカー製品のことを巷の一部では「スマスピ」と略して呼ぶようですね。スマートフォンを「スマホ」と呼ぶのも当初はかなり抵抗を覚えたものですが、もしかしてスマスピもそのうち慣れてなんとも思わなくなるのでしょうか。キラキラネームなんかもそうなんですが、そこに個人的に好感を抱くかどうかは別にして、日本語の柔軟性には恐れ入るものがあります。

で、呼称がどうなるかはともかく、今のところ米国で他社製品を引き離して人気を集めるAmazonのスマートスピーカー製品群「Echo」シリーズ主要ラインナップがいよいよ日本でも発売されると正式発表されました。

アマゾンもAIスピーカー発売グーグル、LINEと三つどもえ(日本経済新聞 17/11/8)

国内では今秋、グーグルやLINEがAIスピーカーを発売するなど、競争は激化している。12月にはソニーも製品を投入する予定だ。旗艦店の有楽町店(東京・千代田)で「グーグルホーム」の特設コーナーを展開するビックカメラの宮嶋宏幸社長は「AIスピーカーはどんどん性能が向上し、将来大きな広がりが期待できる。販売は非常に好調だ」と話す。日本経済新聞
これからしばらく国内スマートスピーカー市場は物欲を刺激された新しいもの好きな人々で盛り上がりそうですが、今回Amazonの製品発表で驚かされるのは、Amazonのシステムに連携したサービス提供を謳う社外企業の数が、先行するLINEやGoogleのスマートスピーカー製品発表時と比較して圧倒的に多いということです。Amazonは日本市場参入を控えて事前にかなり用意周到な準備と根回し、そして営業をかけていたということでしょう。もはやLINEやGoogleが日本市場において先行したメリットはほぼ雲散霧消してしまったような印象も覚えてしまいます。おそるべしAmazon…。

アマゾン、日本語版「Alexa」スキルの一覧を大公開! いきなり「250種以上」のスキルが登場(ロボスタ 17/11/8)

会場で発表された初期パートナーは、10社(発表済みのものを合わせると22社)だったのですが、その後の取材で100社以上が265スキルをリリースすることが判明しました!ロボスタ
単なるネタ的なサービスからこれは使えそうかなと想像できる実用的なものまで幅広く用意されているあたり、かなり本気で勝負を賭けてきたなという気がします。

気になる日本語対応の部分についても、プレス発表での説明をそのまま信じる限りは相当細やかなチューニングを施してきたようですね。

速報:Amazon Echo国内発売。日本語用に「全く新しい言語モデル」採用(Engadget日本版 17/11/8)

日本版の開発にあたっては、同音異義語の多さに苦労したといい、全く新しい言語モデルを採用したとのこと。『アレクサ、のど飴を買い物リストに追加して』といった質問でも「飴」と「雨」をしっかり区別して認識するといいます。さらに、シルバーウィークやお盆、正月といった日本固有の行事を認識。平方メートルを坪に単位変換したり、日本風の挨拶や俳句、なぞなぞもわかるとのこと。Engadget日本版
もちろん発表内容がそうだというだけで、カタログスペックと実際の機能とで大きな差が出ることはままあるわけですけれども、日本語用に言語モデルを用意するだけでなく実用レベルで実装するというのは並大抵ではないことを考えると、相応に本気なのだと判断せざるを得ません。

あとは実際に市場に出てきて多くのユーザーが使ってみることで本当に使えるのかどうかは明らかになっていくのでしょうが、とりあえずは手に入れて使ってみたいかもしれないと思わせるようなお膳立てまではしっかり組み立ててきたあたりさすがです。

まあ、個人的にはわざわざ「アレクサ、~して」と声に出して命令するのはそれなりに面倒な気がしますし、いくつか公開されているデモ動画のやりとりなどを見ると、反応速度ももっさりしていてそれならPCやスマホのキー操作でやってしまった方が快適そうだと感じてしまうので、まだまだ発展途上な製品であり様子見かなという気がしなくもありません。最初からバリバリにチューニングされたものが登場するはずもないのですが、こういった形で好奇心を刺激するというところでは面白そうですね。ただ、家にあると子供達が大声で何でも命令するようになってちょっとウザイ状況が発生しそうな不安はあります…。拙宅山本家も、幼い三兄弟が大音量で汚物連呼とか日常なわけでして、絶対「アレクサ、あれくっさーい」とかネタにしてくることは確実であります。

そういうことも踏まえて、競合のLINEやGoogleも磨きをかけていただきたいと願うばかりですが、この手の先進的な入力デバイスやUX/UIにうるさいはずのソフトバンクグループやYahoo JAPANがこのスマスピ界隈にだけは静かなのが気になります。何か狙っているのでしょうか、というか狙っていてほしいとむしろ思ってしまうのはこちらがソフトバンクのチャレンジ精神に毒されすぎなのでしょうか。

こういうの、Pepperくんに搭載するだけでいろんな人が色めき立つように思うんですけどね。