無縫地帯

いまだにマスコミ人が安倍晋三首相の「森友問題や加計学園問題は説明不足」と報じ続けている件について

新聞各社がいまなお「森友・加計問題」について「終わっていない」などと論じているようですが、証拠の揃わない難癖のような本件を引っ張る理由がよく分かりません。他に疑惑はないのでしょうか。

毎日新聞の小川一さんがツイートされている内容が改めてハレーションを起こしているようですが、確かに17年2月以降、内閣支持率を大きく落としたのはこの「森友問題」「加計問題」と、それのバックグラウンドにある安倍晋三首相夫人・安倍昭恵さんの公私混同にあったことは言うまでもありません。

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「森友・加計学園問題、終わっていない」新聞27社が社説でくぎ刺しています。愛媛新聞は「街頭演説では全く触れず党首討論などでも質問にまともに答えなかった。説明責任をまるで果たしていない」
もちろん、これ単体では政府を揺るがす大問題であって、気にする有権者も多かったのは事実でしょう。17年7月24日の衆議院閉会中審査で、明らかになった事実と解明されなかった内容があったようにも思いますが、結局のところ、強く疑惑を決定づける証拠類が出たわけではなく、また各種証言においても関係者の思惑や忖度はあれども安倍首相が獣医学部の許認可に直接差配を命令したものではないということで、フェードアウトせざるを得ませんでした。

その後、北朝鮮のミサイル発射実験や核開発の問題もあり、これらの安全保障問題への対応を巡って安保法制以下安全保障政策を重視して制作を進めてきた安倍政権に信認が集まり、9月には内閣支持率が持ち直し、これを見て安倍晋三さんが解散総選挙に打って出た、というのが今回の選挙の流れであります。

しかしながら、現状の証拠類を見る限りほぼ難癖に近いと判明した「森友問題」「加計問題」が終息したにもかかわらず、一部の新聞各社だけが「これらのモリカケ問題は未解決である、有権者は納得していない」と強弁しているのは滑稽に思えます。憲法改正にせよ、森友・加計学園問題にせよ、有権者が今回の選挙で重要な争点だと回答した割合は、各社の世論調査の結果を見ても分かる通り社会保障や景気対策、消費税、子育てよりも下位に来ています。毎日新聞社はRDSでも調査していますが、その質問の項目にあって「投票にあたってモリカケ問題を参考にしますか?」と聞けば、そりゃあ「参考にします」と答える人は相応にいるでしょう。でも、実際には投票箱に誰かの名前を書いて入れる人は自分たちの暮らしや将来の安全を考えて誰が良いのか、どの政党に投票するのかを決めるという点で、有権者のほうがもっとずっと現実的だということになります。

毎日新聞世論調査:質問と回答(毎日新聞 17/9/28)

私自身も、安倍昭恵さんの問題については首相夫人としての態度や行いとして相応しいものだとは思いませんが、疑惑として安倍首相に投げかけるほどの確たる証拠も無かったにも拘らず、新聞紙面を用いて「疑惑について釈明しろ」というのは難癖に近いものだと判断せざるを得ません。

「首相夫人はバックドア」安倍昭恵女史の懸念と「AO義塾」の後始末(ヤフーニュース個人 山本一郎 16/12/7)

また、本件に関しては、安倍首相に説明責任を求める前に、毎日新聞社その他が説明をしなければならないほどにきちんと安倍首相の関与が明確にわかる証拠を出さなければなりません。安倍首相が単に加計学園グループの代表者とお友達であったということ以上に、具体的な指示がなされた証拠があって初めて疑惑であって、半年を経てなお曖昧ではっきりしない言動があったか無かったかというレベルの話しかないのはメディアとして情けない状況ではないかとすら感じます。

メディアの役割として、権力の監視という大事な機能があるのは分かります。具体的な暴走やスキャンダルがあったのであれば、それはおおいに報じ、検証して国民に知らせることが大事なのは間違いありません。ただ、現状の中途半端なネタで騒ぎ続けるモリカケ問題は、年度予算96兆円を差配を司る我が国の宰相の信用度を測るという意味ではあまりにも不確かで、瑣末な問題に過ぎません。

新聞が若者に読まれなくなり、若者が概ね生活に満足し、自由民主党の支持率が他の世代に比べて高くなっているのは、おそらくは新聞の「事実を伝える」よりも「問題を煽る」ことに偏った結果、煽りが届かない相手がまったく踊らなくなってしまったという課題に直面しているからなのではないかとすら思います。
「文句を言っているだけ」の新聞メディアが若者にまったく読まれない理由(やまもといちろう 公式ブログ 17/10/29)
平成28年度版情報通信白書 (1)主なメディアの利用時間と行為者率(総務省)

なお、NHK出口調査では有権者が選挙にあたって重視した政策は、「原発」同様に「森友学園や加計学園」は有権者の関心は一割以下でした。先で示した毎日新聞の数字は何だったのかを考えれば「調査項目に入っていて、質問されれば『重視する』と回答する人は半分ぐらいいる」というだけです。これをもって、有権者はモリカケ問題に関心があると判断してしまうメディアももう少し現実について考えるべきではないかと感じます。

出口調査から見える衆議院選挙(NHK NEWS WEB 17/10/25)

日本のメディアも、本来の有権者の生活をより良くするために必要な情報を積極的に報じて欲しいと願いますし、権力の監視についても確たる問題について取り組んでいっていただきたいと祈っております。