「ニコラス・ケイジうまい棒無断起用事件」は世界に繋がっているネットの凄さを実感させてくれた
米俳優ニコラス・ケイジが出演映画の宣伝で、タイアップしているとネットで話題になった「うまい棒」のキャスティングは実はきちんと契約されていなかったため揉めてしまうという出来事がありました。
SNSなどを利用したバズマーケティングを仕掛けようとして、どうにも間抜けな形で失敗したようにみえる話題があったのでメモ書きなど。
映画会社が宣伝施策として用意したプロモグッズが権利関係の問題から配布中止したというプレスリリースを出しておりました。以下リンク先はPDF書類なのでご注意ください。
『オレの獲物はビンラディン』前売特典 特製うまい棒“ニコラスティック”配布中止のお知らせ(株式会社トランスフォーマープレスリリース)
残念ながら、このプロモーション展開により、ニコラス・ケイジ氏が日本の製菓会社に対して肖像権を与えているような誤解が生じ、多くのニュースメディアを通じて間違った情報が拡散されました。ケイジ氏は、これを認識しておらず、肖像権の使用許諾も与えていないことに加え、特定の製菓会社を支援している事実もありません。株式会社トランスフォーマーどうやら無断で役者の肖像を使ったグッズを作ってしまったのが先方に知れて逆鱗に触れた(?)ということのようですね。「ニュースメディアを通じて間違った情報が拡散され」た実例としては以下などが当てはまりそうです。
ニコラス・ケイジ「うまい棒」海外から羨望の声(シネマトゥデイ 17/10/4)
先日ニコラス・ケイジのうまい棒化が発表されてTwitterなどで大反響を呼んだが、それが海外にまで波及。インパクト大なビジュアルが海外エンタメサイトにも取り上げられ、羨望の声が上がる事態となっている。シネマトゥデイなるほど、国内メディアで露出した画像がそのままSNSで拡散され、さらに海外のネタメディアで記事として取り上げられ面白おかしく報じられてしまったようですね。さすがにこうなると、権利にうるさい米国映画業界側としては黙って見過ごすわけにはいかなかったということなのだと推測されます。これ、グッズとして作ったうまい棒は当然宣伝用途の非売品扱いでしょうから、日本の代理店が米国側にちゃんと事情を説明して許諾をとっていれば何も問題は起きなかった可能性もありそうですが、そのあたりはどうなんでしょう。もちろん、その場合はお菓子の販売では絶対にペイしないような高額のタレント起用料を取られるのでしょうが。
いまの時代は何でもすぐにSNSなどを介して世界中へリアルタイムで伝わってしまうので、一昔前なら日本国内だけで済ませておけば問題ないだろうというやり方は通用しなくなったという分かりやすい事例なのではないでしょうか。特にビジュアルは言葉を必要とせず拡散していくので要注意ですね。改めてネットは世界につながっているんだなと実感させてくれるいい話だったように思います。
それにしても、このニコラス・ケイジ主演の映画の邦題ですが、これは先方にはOKとれているんですかね。原題は英語で『Army of One』となっていて『オレの獲物はビンラディン』とは全然違います。直訳して「一人の軍隊」みたいな感じにするよりはずっと目を引くので集客効果を狙えるから良しということなのかもしれませんが。ちなみに「Army of One」は2001~2006年に米陸軍の募兵スローガンとして使われ社会的にちょっとした物議をかもしたこともあるそうでして、そういう意味では米国では含みのあるタイトルという感じなんでしょう。
Ads Now Seek Recruits for 'An Army of One'(New York Times 01/1/10)
確かにこの手の映画のタイアップにうまい棒というのは、日本国内のネット受けだけを狙ったら騒動になったという貴重な事例として有名になれば、これはこれで映画の興行収入の足しにもなるのでしょうか。