民進党、難航した希望の党への合流が一転、視界拓けるか
懸案の合流交渉から一転、リベラル勢力が新党設立で転出することもあって民進党と希望の党の話し合いがまとまる方向で調整が進んでいるようです。さてどうなるのでしょうか。
周囲で見ている側からしても良く分からないところなのですが、難航していた民進党・前原誠司さんの仕掛ける「希望の党」への移籍に目処が立つということで一気に進むのではないか、という観測が強くなってきました。もちろん、支援団体や地方組織の調整は今後も進め、懸案となっている10名程度の処遇がいまだ難題であるそうですが、若狭勝さんが「政権交代に必要な衆議院に過半数を目指せるだけの候補者擁立にめどがたった」と話しているようでして、それは頑張ってねという雰囲気になりつつあります。
それも、事情をつぶさに聞くに、枝野幸男さんが民進党リベラル勢力の一部を率いて立憲民主党を立ち上げるという「救済新党」ができたことで、一部の議員を支える支援団体の受け皿ができたので希望の党への合流も可能になったようで、実に皮肉なところはあります。
小池百合子女史の「希望の党」と前原誠司さんの「民進党」合流は頓挫へ(ヤフーニュース個人山本一郎17/10/1)
しかしながら、問題となる補助線はいくつかありまして、北朝鮮のミサイル発射を受けて安全保障に関連する議論が再燃、支持率の上昇を受けて解散を決めたはずの安倍政権が、今回の国民意識調査でまた不支持が増えてしまいました。「解散に大義なし」という国民の受け取り方になってしまったのか、見ようによっては自滅とも言えます。
NHK内閣支持率安倍内閣 支持37% 不支持44%(NHK選挙WEB17/10/2)
:また、同じ調査では小池百合子女史の希望の党支持率は5.4%と低迷。今回で最後になる項目「民進党」への支持と合わせても10%に届かないという状態で、東京都民はともかく小池百合子女史に縁もゆかりもない日本全国に引いてみたときに「政権交代を目指せるだけの数の候補者擁立」とは程遠い議席しか確保できない可能性はあります。実際、今回の選挙は低迷の続く民進党と国政進出を目指す小池百合子女史の選挙互助会的な役割を果たす「希望の党」は公示前の調査ではあまり支持を獲得できていない、ということでもあります。
それによりますと、安倍内閣を「支持する」と答えた人は、先月行った調査に比べ7ポイント下がって37%、「支持しない」と答えた人は8ポイント上がって44%で、「不支持」が「支持」を上回りました。
小池知事「国政転身」に黄信号?支持率急落、転身反対72%=JX通信社 衆院選第2回情勢調査(ヤフーニュース個人米重克洋17/10/2)
ちょっと小池女史もやりすぎたのか、肝心の都知事としての業績がこれといって立たないまま国政進出に乗り出す形になったため、都民からの支持が急落。また、国政政党「希望の党」の代表と都知事の二足のわらじも懸念の対象となります。
かつ、希望の党から民進党へ移動を希望する議員に対し、8か条の同意を求める文書を配布。この内容がタカ派ど真ん中の内容であるだけでなく、希望の党に対する500万円程度と見られる寄付金を事実上の公認料として求める条項も入っていたため、10月10日の公示前にもかかわらず微妙な雰囲気が漂い始めております。
こうなると、希望の党への合流を目指した前原誠司さんと小池百合子女史のアプローチは「自民党を打倒できる野党勢力を結集する」はずが「東京都以外では民進党時代よりも得票の期待値が下がる」ことになりかねません。何よりも、安倍政権・自民党の主要な政策のひとつである憲法9条を含む改憲についていえば日本維新の会と並んで希望の党は改憲勢力になるのであって、消費税増税の賛成と反対について以外は安倍政権とそれほど大きな政策上の違いはないかもしれません。
それでも停滞した日本政治の現状に一石を投じるために、持てる力をすべて使って野党の再編を、さらに政権交代を目指す勢力づくりを演出できるまでプロデュースできた前原誠司さんの乾坤一擲は評価されるべきだと思いますし、候補者が適切に調整され、希望の党も立憲民主党もどちらにも合流せず無所属で立候補される各議員も良い形で国民に必要と信じる政策をきちんと訴えられればと思う次第です。