無縫地帯

中国でのネット規制がまた進んでいるようですね

中国がさらに中国国内のネット規制を強めている一方、経済大国化を続ける中国のネット関連政策はそろそろきちんと状況を見ておく必要がある用に思います。

なにやら中国におけるネット規制関連の報道がいくつかあったのでメモ書きなど。

世界に誇る金盾というシステムを擁することからも分かるように、中国におけるネットサービス規制は今に始まったというわけではありません。また、中国事情に詳しい方々からすればなにも今さら騒ぐことでもないということかもしれません。中国でのIT事情に詳しい山谷剛史さんは数年前に以下のようなコラム記事を書かれておりました。

実際、身の回りの中国人から話を聞いても「だいたいこんな感じだ」という反応なので、実際そうなのでしょう。

【山谷剛史の中国ITトレンド】第5回:ネット規制で中国人は困らない(IIJ 15/11/19)

ネット規制を強化しても多くの人々の反応は薄く、ネット規制のターゲットが少数の中国を変えたいとするインテリであるなら、今後さらにネット規制は強まっていくだろう。IIJ
残念ながら、この「今後さらにネット規制は強まっていくだろう」という予測は的中してしまっておりまして、金盾の抜け穴ともいえたVPNもじわじわと規制されると共に、海外ネットサービスの遮断が順調に進んでいるようです。つい最近も日本のヤフーのサービスが遮断されたというニュースがありました。

中国でヤフー検索が利用不能に日本人駐在員ら困惑、規制強化か(産経ニュース 17/9/25)

日本のヤフーは25日「先週から利用できない状況になったが、当社のシステムの不具合やトラブルが原因ではない。いつ再開できるか分からない」と説明。産経ニュース
まあ、Yahoo! JAPANは検索エンジン自体にGoogleを採用していますから、Googleの利用が禁止されている中国でこれまで使えていたほうが不思議だったという見方もできそうですが、このあたりは中国側が単に見落としていたのかそれともわざとスルーしていたのか、なんとも中国政府の底知れなさみたいなものを感じるところであります、といったらそれは深読みしすぎでしょうか。

それはともかく海外ネットサービスについては続々と遮断が進められているようです。

中国、今度は「WhatsApp」を遮断か(CNET Japan 17/9/26)

もはやここまでくるとインターネット関連産業においては中国は非関税障壁を持つ立派な保護貿易国としてWTOに提訴されたほうがいいなじゃないかとすら思います。そもそもコンテンツの無断利用もようやく鳴りを潜めつつあるものの、海賊版の流通は引き続き中国国内(の奥地)にホスティングをしているケースも少なくなく、中国国内のサービス状況はそろそろ国際的に問題視するべき時期に差し掛かっているのではないでしょうか。

そういう事情もあり、これまではこうした海外企業のネットサービスを規制については中国政府にとって不都合な情報のやりとりを防止するという国内事情向きの目的があると同時に、類似サービスを提供する中国企業を優遇するためであろうという見方もありました。しかし、そうして優遇してきた国内事業者も最近は大きくなりすぎて調子に乗りすぎているからここはちょっと締めておこうという判断が下されたのかもしれません。

中国 ネット大手3社 を「情報規制不十分」で罰金(NHKニュース 17/9/26)

ネット大手3社に対して、ことし6月に施行されたインターネット安全法に違反したとして、罰金を科す行政処分を下したと発表しました。
(中略)
今回、大手3社が処分を受けたことでインターネット各社が、今後、利用者の発信内容を制限する動きを強めることも予想されていて、10月18日に始まる5年に1度の共産党大会を控え中国当局はネット上の言論統制を強める姿勢を明確にしています。NHKニュース
行政処分が下された根拠となるインターネット安全法については実態がはっきりせず中国政府による恣意的な運用が行われるのではないかといった危惧が以前からありましたが、それによって中国国内事業者も大きな影響を受けることになったということのようです。

なお、インターネット安全法については以下の記事などが参考になると思われます。

中国のインターネット安全法について(SciencePortal China 17/9/7)
インターネット安全法が施行、外国企業にも中国基準を適用(JETRO 17/6/19)

このところの中国におけるネット規制強化の動きは10月に行われる中国共産党大会開催に向けての言論統制が目的と各所で分析されていますが、はたして党大会終了後にはまた規制が緩くなるのか、さらに強化されるような方向へ動いていくのかは成り行きを見守るしかありませんが、国際情勢の不安定化を背景にしてネット規制を今後どうしていくべきかが問われる今日、中国の有り様は一つの極端なロールモデルとして世界各国政府から注目されているのかもしれませんね。