無縫地帯

真木よう子のコミケ突撃騒動は家入一真「CAMPFIRE」側の仕切り不足が原因か

女優・真木よう子が太田出版の北尾修一さんに担がれコミックマーケットに出す写真集でクラウドファンディングを求めた件は、真木よう子本人が謝罪しツイ垢削除しましたが本丸はCampFireじゃないでしょうか。

サブカルとオタク界隈は近いようで扱いがむつかしい世界ですし、第三者の金で著名な芸能人がフォトブックを作って突撃してくる方法論は、よほどきちんと適切にやらないと燃えるということが分かりそうなものです。

本件事案は「著名な女優である真木よう子が、まだコミックマーケットの抽選も当選していないのにCampFireでカネを一般から800万円も集め、自身のフォトブックをコミケ向けに出す」という結構なカロリーのネタを打ち上げたことが炎上した形になります。どうも第一波は炎上したことで真木よう子のTwitterアカウントが閉鎖され、本人がお騒がせしたと謝罪する形で落着したようです。

ところが、ICT業界界隈の話を見ていると、事情を知る人物は口を揃えて「真木よう子さんはCampFireに騙されただけ」「真木よう子さんは事情を聴く限りでは本人の責任じゃないと思います」と擁護論が続出している状況で、フォトブック関連の企画をやった側も「コミケでオタク向けの商売をやればボロいと考えた人が真木よう子を担ぎ上げただけですよ」と証言しています。

いらん騒動でオタク側も振り回され、右と左に分かれて論争する事態になってしまって可哀想なのですが、不用意に芸能人がクラウドファンディングでコミックマーケットを荒らしに行く、それもまだ抽選も終わらないうちから、というのは怒って当然の話です。

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で、口を揃えて黒幕だという話になっているのは、太田出版『クイックジャパン』の発行人で、8月末に太田出版を退職し、そのCampFireに転職する(一説には"自分でCampFireでクラウドファンディングをする企画会社を設立する")と言われている北尾修一さんであるとされます。本人もTwitterアカウントでいち早く本件プロジェクトのためのアカウントをフォローしたり、クラウドファンディングの募集においてはしっかり「編集:北尾修一」と名前が記載されております。真木よう子所属のフライングボックスにはコミックマーケットに出展することもクラウドファンディングで3,000万円の募集をすることもきちんと知らされていなかったのか、「北尾さんとはタレント本人が旧知の間柄だということで説明はあったかもしれないが、本人(真木よう子)はネットでの作法やビジネスに詳しくなく、おそ松さんなど特定の漫画が大好きなだけなので理解できていなかったのかもしれない」と説明しています。

実際、その後に真木よう子に直接コンタクトを取ったネットユーザーがその顛末を2ちゃんねるで公開し、一部がTwitterで流通しています。関係者に確認したところ、「そのやり取り自体が真正かは分からないが、事実関係は概ね正しく、また本人もネットでファンと交流したと言っている」ため、事実である可能性は高いように見えます。画像は直接Twitterでご覧ください。

村澤大樹 - Twitter
真木よう子を騙したのは北尾修一とCAMPFIRE?DM画像やプロフィール (ff 17/8/29)

そうなると、真木よう子はコミケに写真集を出す、その費用はCampfireでクラウドファンディングするということだけを知らされて担がれたという話になり、問題はCampFireがどこまでそれをきちんと認識していたのかということになります。しかも、「PR TIMES」と「The Bridge」というインターネット系スタートアップでは脇甘感のある告知媒体とガッチリ組んでプロモーションをしようとしており、関係者も当初は「CampFireからの打診と思っていた」と説明しています。当然、著名な女優である真木よう子を起用するとしても写真集などの制作に3,000万円もかかるなどという話はなく、真木よう子も一般的な芸能人ギャラを提示していなかったようです。ロケ地を月面にでもしない限り、そこまで高額にはならないでしょう。その制作費3,000万という途方もない総額は抵抗し、800万円に落ち着いたというのが事実のようです。

一方で、写真集などの出版に詳しいクラスタは「儲けを考えたら百万単位、千万ぐらいの制作費をかけることはある」というのが一般的で、その意味では北尾修一さんの仕掛けが悪辣だったとまでは言えない部分はあります。ただ、今回の真木よう子写真集の売り出し先がコミケであり、これをフックに他の芸能人の写真集も次々とコミケ向けにCampFireで仕掛けることを想定していたとすると、やっぱりコミケもオタクもいいように利用されているだけという話になってしまいます。

旧知の出版人にうまく担がれただけとはいえ、もちろん、真木よう子も脇が甘かったとは言えます。ただ、ダシにされたうえに謝罪させられ、せっかく育てたTwitterアカウントも非表示、削除に追い込まれるなど、失敗の代償としては酷いことになってしまっています。一連の話が家入一真さんのCampFireと北尾修一さん、また個人的に立てる予定だった個人会社の仕切りだったとするならば、きちんと事情を説明したうえで真木よう子が謝罪するのと同時かその前にお詫びするべきであったと思います。なんでこの状況でタレントだけが謝罪しているのか、良く分かりません。真木よう子もそれなりに漫画が好きな人だそうで、今回のような問題が理由で「タレントだからコミケには入れてやらない」的な排斥ムーブメントにならないといいなと思いますし、コミケで頑張るオタクたちも真剣勝負の人たちですから、何かうまい形で着地できる企画や仕掛けがあるといいんじゃないかなと思ったりも致します。

とりあえず、せっかくブランディングをやり直している家入一真さんがまたやらかしたということで、お詫びがてら熱湯風呂に30秒入って真っ赤になって絶叫している動画でも出してくれれば、本件に関する酷い続報も出ないんじゃないかと個人的に思う次第です。