アドビ、パッケージ販売やめるってよ
死にゆく「パッケージ販売」という世界で、アドビもついに自社サービスをオンデマンド、サブスクリプション型の定額課金制へとシフトすると発表しました。すべてがオンラインで、という流れは変わらないんですかね。
山本一郎です。無名の男なので、名前だけでも覚えて帰ってください。
ところで、サブスクリプション方式で小さく継続的に課金するという流れはコンテンツ方面で色々と試行錯誤されていて、いよいよYouTubeでもそういう施策が行われるのではないかという噂が流れています。
YouTube、早ければ今週中にも有料チャンネルをスタートへ(FT報道)(WirelessWire News 2013/5/7)
で、そうしたサブスクリプションによるビジネスモデルがいよいよソフト方面でも本格化する流れになってきたようです。遂にアドビがソフトの販売形態をこれまでのパッケージ売り切り型中心のビジネスモデルから定額課金のサブスクリプション型へ大きく方針変更すると発表しました。
グッドバイ、Creative Suite―Adobe、定期課金によるクラウド・モデルに全面移行、CS6は当面販売を続けるものの新規開発は中止(TechCrunch 2013/5/7)
米Adobe、Creative Suiteの新機能開発を中止~Creative Cloudへ移行(INTERNET Watch 2013/5/7)
米アドビが主力パッケージ製品をクラウドに完全移行、6月17日から(ロイター 2013/5/7)
アドビ、今後はクラウドサービスに特化(ウォール・ストリート・ジャーナル 2013/5/7)
従来のパッケージ製品販売に比べ、定額制モデルでは利用金額が長期間にわたり支払われることから、初期段階における収益は低いものの、安定的かつ継続的な収入を確保できる。ロイター今回の動きの主旨についてはロイターの記事がザックリとわかりやすく、要はパッケージ販売よりも儲かりそうだから月額制で商売始めますという話ですね。
ちなみに、サブスクリプション方式の「Creative Cloud」は去年の5月からパッケージ版と並行しての販売が開始されており、その時からユーザーの間ではどちらを使えば良いのかということで多くの議論がありました。
アップグレード?Adobe Creative Cloud?迷う方への試算(DTP Transit)
アップデート/アップグレードするかしないかは、ユーザーが選択できるそうですが、近年のAcrobatのアップデーターの悲惨な状況で、良識あるユーザーは気軽にアップデーターをあてることをやめてしまいました。DTP TransitCreative Cloudでの大きな懸念点としては、一度アップデート/アップグレードしてしまうと古いバージョンに戻れないということが指摘されており、確かにこれはプロフェッショナルの現場で新しいバージョンがダメなら古いバージョンに戻せばなんとかなるという保険が利かなくなるため、かなり怖い話かもしれません。
今回の発表を受けてTwitterではこんなつぶやきもありました。
あのなお前ら。Adobeさんの完全クラウド化の真の問題点は月額課金制な所じゃない。ハードウェアをAdobeさんの想定に合わせてアップグレードしていかないといけないというところだ。cocoonP古い枯れたバージョンを古いマシンで安定して使うという職人的な利用方法を好むデザイナーの方も少なくないでしょうが、そういう需要への対応はやや難しくなっていきそうです。