文化圏ごとの棲み分けがネットで進む時代の寵児、マストドン
来るべき日が来たのか、Twitterの2ちゃんねる化が進んで次なるSNSへの要望が高まったようで、最近はマストドンなる新たなSNSサービスが出回り始めています。
山本一郎です。スマホの普及なども手伝って、いよいよ我が国でもネット上でのソーシャルアクティビティ、より簡単な日本語に置き換えるとネットを通じての人付き合いというものが老若男女を問わずごく当たり前の時代となりつつあるように感じます。
そうしたバーチャルな人付き合いをするための場として古くはパソ通やIRCなどというものも存在しましたが、どうしてもそういう場に近づくことができるのは通信環境や機器を持つことができる一部の人達に限られがちでした。しかし、今は誰もが手軽にスマホを使って様々なSNSを通じてそういうソーシャルな活動をできるようになったわけです。もちろん誰もが参加できる状況であれば、ある程度の社会的モラルを維持するためのルールが必要となってきます。子供から年寄りまでが参加するSNSであれば公序良俗は守られてしかるべきですし、とくに世界共通のプラットフォーム上であればルールは厳しくせざるを得ません。当然こういう流れに強い抵抗感を覚える人達はいます。本人達からすれば、内輪で楽しく情報をやり取りしてるに過ぎない感覚ですから、全世界標準での社会通念を強要されてもピンとこないということなんでしょう。それが原因でSNSアカウントを凍結される人が続出して祭りになるなどというのもこれまたネット的な日常風景の一つではあります。
その結果、「オレ達だけのルールでやれるSNSが欲しい」と願うのは人情なのかもしれません。やりようによってはそういう運用が可能そうなサービスが登場するやいなや一部のネット民の間で相当な盛り上がりとなっております。
日本のネットを騒がせる「マストドン」、その課題と可能性をえふしん氏に聞いた(TechCrunch 17/4/20)
今のTwitterは影響力を持った人が注目されるコミュニティになってきていて、現代社会を投影しているような印象がある。もともとインターネットはマイノリティーが集まってできた空間だ。小さな村の村長や、大学のミスコンみたいに限られたコミュニティの中で、個々人が個性を出せる場所があってもいいはず。TechCrunchまあ、現在のTwitterも誰をフォローするかで見える風景はかなり異なるはずなんですが、もっと内輪だけで盛り上がりたいと考えるとどうしても器が大きくなりすぎてしまった感は拭えません。本人達が満足できる場所があるというのはそれほど悪いとは思いませんし、そこで他人に迷惑をかけず気楽にソーシャルな活動に勤しむ分には全然問題ないと思いますが、しかしながらネット上である限りは外ともつながっているという点については弁えておく必要があるわけでして、この話題のSNSのMastodonで既にちょっとした炎上事件も起きたようです。
Mastodon開発者とpixivのPawoo、ロリ絵対策について議論する(ITmedia 17/4/16)
画像SNSであるpixivが立ち上げて運営している日本独自のインスタンス(サーバ)がPawooなのだが、ここの2次元ロリエロ画像が問題視された。ITmedia結果として、ロリ絵が大量投稿されるインスタンスはドメインそのものが海外からはブロックされて閲覧できないような形で処理されることになったようですが(ネット民用語では「国交断絶」と表現されている)、まさにオレ達だけのルールでやれるSNSへの大きな一歩ということでしょうか。こうしたネットの分断が歓迎されるべきことなのかどうかを単純に論じることは避けたいですが、すでに商業コンテンツにおいては著作権上の理由をもとに特定国からのアクセスをブロックするという運用が増えつつあり、個人によるコンテンツや情報の発信についても棲み分けが進むのは避けられない状況なのだろうと感じます。
Mastodonというサービス、一部では「Twitter老人会」という表現もされているように中高年男性に人気がある一方、逆に若い女性にはちょっと受けが悪いような気配もあります。
「おじさんウケするサービスは流行らない」インスタグラムのプロが断言(ホウドウキョク 17/5/1)
私の中には「2大流行らない法則」みたいなものがあります。以前は「日本一ウェブサービスに詳しい女子大生」を標榜されていたこともある方のようでしてなかなかすごい言い様ですが、まあこれはごく一部の意見であり、もしかしたら若い女性でMastodonにはまっておられる方もいるのかもしれませんし、そのあたりのことはよく分かりません。しかし、現時点でMastodonについて熱く語っているのが目につくのは圧倒的にオッサン率が高いのも否定しようがない事実。はたしてこれからどうなるのか。とりあえずは遠くから生暖かく見守っていきたい所存です。
1つ目は、技術とか思想が入口になっているサービス。
マストドンだと、分散型のネットワークでインスタンスを立ち上げられる…とかって別に利用するユーザーには関係ないですよね。ちょっと前に、Bluetooth通信で簡単にテキストメッセージがやり取りできるツールがありましたが、単純にスタンプが可愛くって使いやすいLINEの方が圧倒的に広まっています。
2つ目は、おじさんから流行るサービスって流行らない。
最近Instagram向けの画像加工ツールで「Prisma」と言うアプリが流行ったんですけど、ああいうものも、おじさんから流行ると、もう若者は真似しないんですよね。ホウドウキョク