ファーウェイの米国市場撤退は新しい冷戦の始まりを意味するのでしょうか
ファーウェイ(Huawei)がアメリカ市場からの撤退を視野に入れる発言をしております。その前には、米中国防レベルでの折衝があったばかりで、関連が取り沙汰される状態になってきました。
山本一郎です。何かもう春というか夏ですなー。半そででうろうろしたいぐらいの日差しです。
ところで、中国大手の通信機器メーカー、ファーウェイが米国市場からの撤退を示唆する発言をしました。
通信機器メーカーHuaweiがアメリカ市場からの撤退を表明(GIGAZINE 2013/4/24)
ファーウェイ幹部「もはや米国には興味はない」 - 米市場進出を断念(WirelessWire News 2013/4/24)
定例のアナリスト向けカンファレンスの中での発言ということですから、単なる与太話ではなく公式見解と見るべきでしょう。
ただ、ここでやや不思議に感じるのは、今月初めに行われた同社の決算発表においては、米国市場へ向けての前向きととれる声明が出されていたということです。
ファーウェイCEO、米での安全保障問題解決に期待(WirelessWire News 2013/4/9)
同社の郭平(Guo Ping)CEOは、「われわれの製品がサイバーセキュリティーやネットワークセキュリティーを脅かしているという証拠はどこにもない」とした上で、「米国で我々が直面している問題が解決される時が来ると信じている」と述べたという。この急転直下な動きの背景には、米中間において、とくに通信に関わる事で何らかの大きな軋轢が直近で生じたと考えるべきなのかもしれません。米ウォールストリートジャーナル紙が、ファーウェイの発表よりも少し前のタイミングで米中のサイバー攻撃に関して興味深い報道を行っています。
米政府、中国のサイバー攻撃に対する反撃を検討(WSJ.com 2013/4/23)
中国、サイバー攻撃は核爆弾のようなもの(WSJ.com 2013/4/23)
いずれも、北京で行われた中国人民解放軍トップの房峰輝総参謀長とデンプシー米統合参謀本部議長との会談を受けての流れで書かれたものと察せられますが、同会談が両国にとってあまり思わしくない結果に終わったという空気が濃厚に漂っています。
その後に、ファーウェイが「われわれはもはや米国市場に関心はない」と宣言するわけですから、これは何かあったと思わない方が不自然かもしれません。
ファーウェイといえば、日本国内ではドコモが社運を賭けたプロジェクトの一つ「dマーケット」において、その根幹を担うタブレットにファーウェイ製品を採用して大々的に販売施策を進めていますが、今回のこの米中間における新しい冷戦とも言えそうな状況の余波を受ける事態が起きたりするのでしょうか。ドコモの中の人も心中穏やかではないかもしれませんね。