無縫地帯

「飲食店では全面禁煙」は仕方ないのではないか

昨今、風当たりの強い喫煙問題ですが、公共の場所や飲食店での禁煙を打ち出した厚生労働省に対し、飲食店組合が事実上反対の要望を出して騒ぎになっています。でも禁煙化は仕方ないかなあと思います。

山本一郎です。自分のことを思い返せば、法律的に適切とは言えない年齢からタバコを嗜み始め、30歳で命に係わる大きな持病が判明してからもしばらくタバコをやめられず、一念発起して33歳でタバコを投げ捨てて現在に至る元ヘビースモーカーです。カネをかけて健康に悪いことをして、何と馬鹿なことをしたのだと思い返して悶々とすることは稀にありますが、自分もタバコを吸っていただけに禁煙を突き付けられる喫煙者の苦悩も分かります。

そんな中で、飲食店への原則禁煙案が打ち出されて、それに対する反発が業界団体からあって、ということでニュースになっておりました。

飲食店の原則禁煙案 業界団体が見直し要望へ(NHKニュース 17/1/17)

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飲食店などでは、喫煙席と禁煙席を分ける分煙の取り組みが広がっているものの、席やスペースを離すだけなど空間が完全には仕切られていない施設が多く、受動喫煙を防ぎ切れていないのが現状です。

これに対し、厚生労働省が去年10月に示した案では、官公庁や競技場、社会福祉施設などは建物内を、医療機関や小中学校などは建物も含めた敷地内を全面的に禁煙にするとしています。

また、飲食店やホテル、旅館などのサービス業の施設に加え、駅や空港、バスターミナルなども原則として建物内を禁煙とし、例外として、たばこの煙を外に漏らさない喫煙室の設置を認めるとしています。
記事中では厚生労働省が全面的に街中で禁煙にするのではなく、公共の場所に限定して禁煙とする、それ以外の地域に関しては駅前や繁華街など公道での禁煙を自治体の条例に委ねるというマイルドな内容になっています。

また、これらの禁煙問題が喧伝され始めたのは、日本も批准している「たばこ規制枠組み条約」という世界的合意があり、それを国内で対応しなければならないという状況にあるからです。その意味では、いま話題になっている共謀罪のあれこれも本件も、同様に海外の条約がある以上、日本はそれに合わせる必要があります。マイルドにいろいろ融和策もしつつ、国際的なポジションを守るためにできることをやる、という感じなのでしょうか。

たばこ規制枠組条約(外務省)

ところが、実際に厚生労働省筋から「実際のところどうなの」と聞いてみると、日本人の健康寿命延伸だけでなく、子育て環境や観光事業に対する悪影響を強く憂慮する話ばかりが出てきて、かつてタバコを大っぴらに吸いまくっていた私としても鬱になる内容です。ほんとすいませんでした。吸ってたけど。

実際、私の子供が通っている千代田区の幼稚園では、子供が遊ぶ隣接した公園に三々五々愛煙家が集まってきてはタバコを吸っておられます。屋外ですから子供が直接副流煙を吸い込むことはないので私なんぞは気にしないのですが、園児保護者からはかなり不評であるのも事実です。

また、定食を出す居酒屋が美味しそうなので子供を連れて使おうとするとき気になるのが、やはり第一にタバコの煙です。第二に輸入食材かどうかですが。お店からすれば、愛煙家がごっそり客離れするような禁煙を敷きづらいのは事実でしょうが、喫煙が容認されたうえで煙が店内をもうもうしているようなところへは子供を連れて行きづらいし自分もさすがに嫌なことは多いです。

幸いにして、最近では煙をほとんど出さないタバコ機具も出てきていて、タバコを吸わない人への配慮が一段と広げられるようにはなっていますが、別に東京五輪があるからとかいう理由ではなく、世の中の動きとしてきちんと分煙する、公共の場所は飲食店も含めて禁煙にする、愛煙家がタバコを嗜むこと自体は個人の自由なので迷惑が掛からない限り問題なく容認する、というような形でうまく線引きできないものでしょうか。

いまどき愛煙家でところ構わず歩きタバコしたり、タバコが嫌だと言っている人のそばでわざわざ吸う人もいないでしょうし、タバコを吸う人も吸わない人も納得できる仕組みができればそれが一番だと思うのですが。

なお、最近は喫煙大国である中国でも守れるかどうかは別にして禁煙にしますよという話が流れてきて、北京五輪では見事に禁煙が徹底されていたり、さすがは人治国家と思わせる何かがあります。

中国、年内にも公共の場は禁煙に 全国規模で規制導入へ(AFPBB News 16/11/22)

人体に完全無害で他人に迷惑が掛からないタバコができれば喜んで喫煙再開したいです。
最近酒までかなりやめちゃったけど。