はちま起稿買収問題、DMM.com亀山敬司会長が経緯を語る
コンテンツ配信大手DMM.comが、様々な毀誉褒貶のあるサイト「はちま起稿」を買収、10月に売却していたことを発表、物議を醸したので、DMM亀山敬司会長に一問一答でお話を伺ってみました。
山本一郎です。年末に子供を博物館に連れて行こうと思ったら軒並み閉館になってて物悲しい雰囲気に包まれております。困ったもんです。
ところで12月某日、ネット界隈きってのバッドボーイ、ネット情報のまとめサイト「はちま起稿」が、DMM.comに買収されていたことが話題になりました。Itmediaねとらぼも話題にしておりましたし、ゲーム界隈でもネット界隈でもいろんな物議を醸していたので、興味本位でDMM亀山敬司会長に「で、結局どうなんです?」という話を聞いてみました。
はちま起稿を買収したDMM、元管理人・清水氏ら主要メンバーを雇用しステマ関与か取材に対し隠蔽工作も (1/5) - ねとらぼ
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1612/28/news105.html
Webメディア「はちま起稿」サービス運営・事業譲渡に関するお知らせ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001752.000002581.html
というわけで、はじまりはじまり。
山本:「みんなが聞きたいんじゃないか」と思うことから質問させてもらってよろしいでしょうか。まず、なぜ「はちま起稿」を買収したのか。その経緯を教えてください。
亀山:一年位前に、役員からゲームメディアのサイトを買いたいという話しが来たので、聞いたこともないサイトだったけど、DMMはメディアが弱かったし、いいんじゃない、とOKを出しました。
山本:会長は、その「はちま起稿」がどういうサイトなのか理解してらしたんですか?
亀山:いや、正直なところは、把握してなかった。
山本:そんな買収ってあるんですか?
亀山:うちの場合、この規模の買収であれば役員決済。役員会にもかけてないので、社内でも広報部の一部くらいしか知らないんじゃないのかな。ネット上には「発覚」とか「隠蔽」とか書かれているけれど、俺は身近な人や同業者には、「メディアで、はちま起稿というのを買ったよ」と、話していたし、隠しているつもりは、なかった。
山本:私もそれを聞いていたので、びっくりしていたわけです。隠していたと思われてもしょうがないですよ。
亀山:そうだね。プレス打てばよかったね。M&Aとかでは、いちいちプレスしないから。他の買収案件も来年からちゃんと告知を上げるようにしようと思う。
山本:とはいえ、「はちま起稿買収しました」とかプレスリリースしていたら、その時点で炎上確実でした。
亀山:その方が良かったよ。その時点で対応できたから。
山本:今回は、なぜ売却をされたんですか?DeNAのことを見てヤバイと思った?
亀山:いや、そのことがある前に、「はちま起稿」を買ったという話しを知人にしたとき、「これDMMさんが持っているのヤバくないですか?評判悪い」と言われたので、俺としては驚いて「そうなんだ」と。
それで信用できる経営者の何人かの人に聞いてみたら、他の人たちからも「それは手放したほうがいいんじゃないの」と言われすぐに担当者を呼んで、「損切りでもいいのですぐ売却して」と指示をした。
山本:さすがにそれは馬鹿すぎますね……。
亀山:そうだね。今回は100パーセント私の責任。ご迷惑をおかけしている大勢の皆様にも謝罪したい。私がOKを出したわけなので、知らなかったという逃げは通じないし責任は私にある。
清水鉄平という管理人には数回話したことがるけど、まだ20代半ばで「はちま起稿をどんな感じにしたいの?」と聞いたら、
「アプリを作ったり、ゲームのオリジナルのインタビュー記事を増やして、大きくしたいです」
と夢を語っていた。
今回の件で、はちまをそのまま放置せずに、DMMとしてきちんと教育して、やんちゃなやつをちゃんと大人に教育させていたら、こんなことにもならなかっただろうし、その点も含めて、私の全面的な落ち度だと思っている。
山本:夢を語るのとそれができるのとは別ですからね…じゃ、DMMが清水さんコンサルとして雇っていた事実がなかったということですか?
亀山:何度も確認したが、運営自体は管理人の清水鉄平が自分の集めたライターと記事を作っていて、DMM社員は関わっていないと聞いている。
山本:話題になっていたステマについてはどうですか?
亀山:広告を掲載して、その対価を貰う事はやっていたけど、記事広告に関してはタイトルに【PR】と記載し、一つもステマ的な記事はないと聞いている。ウチ寄りの記事をつくれとか、ステマ的な記事を掲載してほしいとかそういうことを頼んだこともないらしい。
でもこの点は、担当者からの話。で、実際はどうだったのかは、指示をしていなくても、売却された会社で近くにいれば、つい良く書いてしまうのは人として自然な成り行きでもある気がするし、万一そうであるなら、世間が怒るのも当然だと思うので、その辺りは、今後もう一度徹底的に調査するつもりだ。
山本:DMMが傘下に収めていた期間に起こした記事の剽窃や削除対応、謝罪などを求める声は強くあります。このあたり、ご対応される予定はおありですか?
亀山:調査結果を待って、責任はすべて私が引き受ける。
山本:今後はどうされていく予定でしょうか?
亀山:なんども言うようだが、今回の件は私の無知で、企業として買ってはいけない会社を一時的にでも買収し、またその後の教育が徹底できていなかった点について全ての責任は私にあり、深く反省している。
多くの方々にご迷惑をおかけしたことに対して単なる謝罪だけでなく、DMMが所有していた今年の著作権侵害などには、窓口を作り真摯に対応していきたい。
新年からは、ITが分かってる新代表が来る。今回のようなことが起きない体制が組めるかと思う。
山本:そういう滅茶苦茶がDMMとして面白いところだったのに。
亀山:いやいや。
(了)