「見切り発車の女王」小池百合子都知事とオモチャにされる都政
「小池劇場」などと称される都知事の小池百合子女史、懸案の豊洲新市場は一年以上後の17年冬が最短、目玉であった東京オリンピックの開催計画も予算縮小どころか原計画通りに落ち着くなど、何だったんだいままで。
山本一郎です。先日、待望の裏紅白歌合戦の出場者が発表になりまして、今年は総合司会ショーンKさんが大抜擢された幕間のアトラクションで、森山高至さんと相撲を取ることになりました。これで私、三年連続の出場でありまして、感無量です。行司は藤田ニコル。今年も頑張りたいと思います。
第67回裏紅白歌合戦
その森山高至さんを市場問題プロジェクトチームの専門委員に起用してしまい、自ら乗っかったガセネタに翻弄されて豊洲市場移転が17年冬から遅ければ18年以降にズレ込みかねないという結構な話になって着地してしまいました。
都のプロジェクトチームが建築安全上も汚染関連も「安全で適法」と判断したのに使われない豊洲新市場は一日500万円以上の操業費用が掛かり、それに加えて、卸売業界側のまとめでは月間4億3,500万円の負担が民間にものしかかってきます。今後は、これら民間が「豊洲に市場が移転すると聞いていたのに東京都の(主に小池百合子女史が森山高至さん以下のガセネタを信じたことによる)事情で移転しなかったため、かかってしまったコスト」を都に負担してもらう交渉が始まることになります。
法的には、一度は約束した豊洲新市場への移転を反故にする形で民間業者を振り回すことになった都がこれらの損害を背負うわけですから、最終的な東京都の負担額は220億円ないし460億円とされています(東京都)。この数字は、当たり前ですが豊洲移転が早ければ安く済むことになりますが、これらはすべて都税で賄われます。
「都の何を信じれば…」豊洲移転、来冬以降の延期に業者から悲鳴(buzzfeed 16/11/18)
さらに、小池劇場においてもうひとつの舞台であった東京オリンピックの開催場所に関しても、結局「大見得を切っておいて、まったく根回しをしていなかったため挫折」という事例がどんどん出てきました。
五輪ボート・カヌー会場「長沼」案、見送りへ(読売新聞 16/11/23)
五輪バレー会場は「有明」が有力(共同通信 16/11/24)
これらの問題が根深いのは、小池案を断念した理由が「用地取得ができない」や「環境アセスメントが間に合わない」など、最低限の根回しも行うことができなかったことです。見た目の派手な案だけを乱舞させた挙句、宮城県その他関係先をぬか喜びさせておいて結局は挫折に追い込まれているようでは話になりません。
小池都知事、リオ出張は自身含め5人で7日間、費用1000万円(スポーツ報知 16/8/5)
リオ大会出張費、都職員延べ136人で3億円と報告(SANSPO.COM 16/11/11)
【小池百合子都政】総務委、自民議員が指摘「都知事リオ随行別の職員も」(産経新聞 16/11/16)
極めつけは、小池百合子女史が都知事当選後に、リオ五輪視察は「5人のみ、費用1,000万円」とこれも大見得を切ったにも関わらず、蓋を開けてみれば「136人で3億1,800万円」と32倍も膨らんでいます。要するに、豊洲新市場移転も、東京五輪のコストダウンも、都政改革も同じく、実現不可能な派手なアドバルーンを上げて、どこにも着地できず断念を繰り返すだけの政治手法です。
東京都の官僚組織や東京都議会に改めるべきところがあり、また一社入札に関わる受発注に対する疑惑は拭い去れないものがありますが、それ以前に、東京都として必要な政策を見極め、実現可能なレベルに落とし込みながら都民の生活をより良くしていくことを求められているのであって、できない政策を派手に発表し、すぐに馬脚を露して断念したり見送ったり挫折して、またすぐできない政策をぶち上げるのはやめて欲しいのです。
小池百合子都知事が「都政への信頼を取り戻す」と仰ったようですが、変なパフォーマンスに走らず、できることを粛々と対応していく、分かっていることを順序立てて公表し開示するということだけで充分ですので、ぜひご留意いただければ幸いです。
見切り発車はほんとやめましょう。税金が無駄になるから。