無縫地帯

Appleがまた中国でいじめられているようです

中国でビジネスをする海外事業者と中国政府通信当局の話は奥が深いもので、かじり書きで済ませるのも良くないとは思うのですが、今回のAppleの問題について簡単にまとめてみました。

山本一郎です。今日は何か肌寒い感じでござるね。

またAppleが中国政府からクレームを入れられる事態が発生しております。

米アップルにコンテンツの削除命じる―中国がわいせつと判断(Bloomberg 2013/4/18)
中国、アップルをポルノ関連コンテンツ提供の疑いで調査か(CNET Japan 2013/4/18)
アップル、中国で新たな難題 - 今度は政府から「有害コンテンツ配信元」の指定(WirelessWire News 2013/4/18)

WSJによると、中国政府は3月に新たなわいせつなコンテンツ撲滅キャンペーンを開始しており、その一環として作成された有害サイト/サービスリストのなかにApp Storeを含む198サイトの名前が挙げられているという。
Appleは先日もアフターサービスを巡る件で、中国国営メディアを通じて相当手酷く痛めつけられ、最終的にはCEO自らが謝罪声明することで事態を収拾させたのは記憶に新しいです。

中国がアップルへの監視を強化か、国営紙の批判相次ぐ(AFPBB News 2013/3/31)
アップルの謝罪声明、中国国営メディアが評価(CNET Japan 2013/4/3)

この件では、中国側の思惑について色々な憶測もありますが、やはり中国とのおつきあいは難しいというのが一面としてあるでしょう。

中国でビジネスをするということAppleたたきとその顛末(クラウドWatch 2013/4/8)

Appleたたきは収束したが、同社が戦略的に勝ったとも言い切れないようだ。中国市場独特の問題としてとらえれば、Appleの経験は他の企業にとっても対岸の火事ではすまないだろう。
しかし、今回新たに報道されている件では、わいせつ性を根拠に調査対象となっているのがAppleだけに限られていないことから、前回とは性質が異なる可能性もあるのではないかと見ております。

Appleのアプリストア展開については、コンテンツの審査が厳しいとよく言われますが、その審査方針には一貫性が欠けているのではないかと感じることも間々あります。たとえば、以下のブログ記事で指摘されているようなことです。

AppleのiOSアプリの審査はやはりキビしい。(曇天砂漠- Cloudy Desert - Apple, Mac iPhoneなブログ 2013/1/23)

日本製アプリ、特に電子ブックアプリのトップには常に、「わいせつ小説」が君臨しています。この状況をなぜAppleが看過しているのか、ちょっと理解に苦しみます。
Appleのアプリ審査では、文章表現におけるわいせつ性についてはスルーされる傾向が強いようですが、一方でビジュアル面に関しては日本国内で通用する常識はまず通じないです。つい最近も日本の常識が通じなかった事例があった模様です。

ニコニコ静画はポルノ!!?アップルの指摘に漫画アプリ「nicoマンガ」作者がブチ切れ(EXドロイド 2013/3/28)

Appleのアプリ審査が必ずしも完全なものでないのは仕方ないことかもしれませんが、その審査基準が各国の文化基準と折り合わないことによって軋轢が生じるのは、できればなにか上手い解消の手立てがあれば良いなと思います。

それにしても、「人民日報の記事をGoogle翻訳にかけて得られた内容に基づく限りでは、どのようなタイプの成人向けコンテンツが中国の怒りに触れているのかを正確に述べることは難しい」(CNET Japan)とのことですが、この辺りはどういうものがいけなかったのか気になるところです。

そういえば、規制を行っておきながら、その理由を具体的に明示してくれないのはなにも中国に限らずという話で、こんなブログ記事がありました。奇しくも、わいせつに関連した理由ということでしたが、Googleとのおつきあいもなかなかに面倒です。

川村ゆきえでも許されなかった!Google Adsense停止から復活までの道のり(gori.me 2013/4/19)

僕がWordpressを高速化する方法を紹介した記事が「アダルト/性的欲求の充足」と判断されてしまったのだ。
結局は、大企業が組織的にやらかす審査というのはきめ細かくなく問題になりやすい、そこを突かれると面倒を起こすということに集約されるんですかね。これはこれで、なんか嫌な時代ですね。