無縫地帯

ネット選挙解禁でITバブル再来?

ネット選挙解禁!ということで、各社頑張って参入する政治関連ビジネスが話題を振りまいております。もちろん、時代に即した選挙になるべきなのでネット選挙は賛成ですが、なんか騒いでいる方向性が微妙なような。

山本一郎です。朝っぱらからずっと打ち合わせだったのですが、最初の用事にうっかり遅刻してから今日の一日の予定は全て遅刻となっております。何ということでしょう。

ところで、いよいよネット選挙解禁が現実のものとなりそうです。

ネット選挙、参院選から解禁へ19日にも法案成立(朝日新聞 2013/4/17)

衆院では自民、公明、日本維新の会の3党が共同提出した法案の修正案が全会一致で通過しており、この案が参院の同委でも可決される。19日にも参院本会議で可決・成立する見通し。
ネットを利用した選挙運動が認められるという事実は、国内IT産業においても一つの大きな節目となりそうです。すでに様々な関連事業者がこの新しい市場へと猛然果敢なダッシュを開始しています。

デジタルハーツ、新サービス「サイバーセキュリティサービス」とパイプドビッツ「政治山」のサービス融合を目指し協業 (デジタルハーツ社IR)
GMOグローバルサイン 候補者、国会議員および政党の認証サービスを開発、全政党へ寄付(GMOクラウド プレスリリース 2013/2/27)
政党・立候補者向けにFacebookページを制作・運用セプテーニ(ITmedia 2013/4/10)
サイバーエージェント、ネット選挙解禁を受け「Ameba」の取り組みを拡充(RBB TODAY 2013/4/15)
全政党にLINE公式アカウントを無償提供ネット選挙解禁受け(ITmedia 2013/4/17)

19日に法案が成立すれば、今後はさらに多くの事業者がネット選挙に関わるサービス案件を掲げて営業活動が始まることと想像されます。

また、各政党や議員各人もネット選挙を見越して、IT関連での新しい取り組みに積極的に動いているようです。

電子証明書の活用で一致与野党、ネット選挙運用指針(日本経済新聞 2013/4/16)
公明がニコ動チャンネル開設へネット選挙解禁にらみ支持拡大狙う(MSN産経ニュース 2013/4/16)
動き出す“ネット選挙” 課題は?(TBS動画ニュース 2013/4/12)

こうした状況を反映して株式市場でも一部のIT関連株が好調なようです。

ドワンゴ急伸、「ニコニコ超会議2」がネット選挙解禁で注目(サーチナ 2013/4/17)

米ツイッター社に出資しているデジタルガレージ <4819> や、ブログなどを利用した選挙活動の促進を表明したサイバーエージェント <4751> 、政治・選挙プラットフォーム「政治山」を運営するパイプドビッツ <3831> 、調査会社のマクロミル <3730> 、成りすまし対策などでGMOインターネット <9449> やエイジア <2352> なども注目銘柄となる。
これだけ盛り上がっている中で、ネット選挙の本命と目されたmixiやトレンダーズ、はてな、AMNといった法人の名前が見当たりませんが…。

こうなってくると、ネット選挙をきっかけにしてのITバブル再来などという話も出てきそうです。意味も無くWindows 95で日本全国が盛り上がった往時が懐かしいですね。景気が良い話は歓迎ですが、せいぜい取らぬ狸の皮算用にならないことを望みたいものです。っていうか、そもそもネット選挙そのものにそんな大きな市場があるとはとても思えないんですけれども、やっぱり変な筋に絡んで摘発情報でも流れないように政治との結びつきはしっかり持っておきたいとか、そういう腹積もりがあったりもするのでしょうか。良く分かりませんが、まあ頑張ってください。

それにしても、今回のこうした動きの中でやや気になるところとしては、ネット選挙に関する政党・政治家向けサービスの無償提供を申し出ている事業者がいくつかあるわけですが、こうした行為が政治献金に該当するのではないかという議論もあるようでして、そうすると海外資本企業がこれを行うのは可能なのかという問題にも突き当たります。ちなみに、LINEは韓国NHNの100%子会社ですが、LINE公式アカウントの政党向け無償提供ははたして大丈夫なのでしょうか……。

また、成りすまし対策が云々という話もありますが、選挙期間中に、成りすましはもちろん某宗教団体系政党などに対する過度な誹謗中傷も大量発生すると考えられます。当然、今回はネットも選挙活動の一環となる以上、これらもど真ん中の公職選挙法違反案件に成り上がりますので摘発をしなければなりません。でも、匿名通信システムで著名となった「tor」などを使うと、摘発への難易度は上がってしまいます。

この辺、本当にどうするつもりなのでしょうか。まずは今回の参院選でネット選挙を一度やってみて、問題があってから適宜修正、というような柔軟な運用になればいいのでしょうが。

心配です。