無縫地帯

スマホブームでリテラシーの低い人がネットに増えたって、それは一体なんですか?

電車の中で手軽に読めるサイトとして私の中では絶賛されているJ-CASTですが、なんかまたしょっぱい感じの記事が出ており、個人的にはとても面白く読みましたので是非皆さんもご賞味ください。

山本一郎です。最近はかなりJ-CASTを愛読しています。

んで、地震にまつわる流言が一部で賑わっているようですが、それをJ-CASTがいつもながらの安定のクオリティーで切り込んでいました。

若者に広がるツイッター&LINEの地震怪情報「貼ると死なない画像」、大震災予言やデマ(J-CASTニュース 2013/4/15)

記事の中で紹介されている「これをRTすると明日、無事に生き伸びれます」という画像はかなりありがたい感じですね。「生き延びる」じゃないあたりも素敵です。

それにしても、記事の最後でオチに使われているITジャーナリストの言葉はさすがに適当すぎませんかね。

「スマホブームあたりから、怪しい情報と感じても精査せず、『都合のいい』話なら平気で発信してしまうようなリテラシーの低い人がネットに増えた」
良く見たら、井上トシユキじゃないですか。何をしているんでしょう、こんなところで。

流言飛語で人々が右往左往するのは、スマホが登場するずっと以前からネットでは普通によく見かける光景でした。もし、今になってリテラシーの低い人がネットに増えたと感じるようであれば、それは単に流言飛語で右往左往する人々の実態が可視化される機会が増えたからというだけなんじゃないでしょうか。

「これをRTすれば~」というのはチェーンメールの仕組みに似ています。実際、チェーンメールは色々と社会問題化して政府でも対策を呼びかけてきました。

チェーンメールを受け取った際は、転送は止めてください!(総務省)
相談窓口:チェーンメールが届いた(警察庁)

チェーンメールは実際にそのメールが自分のメールアドレスに届かない限り知り得ないので、可視化されにくいとも言えます。

しかし、SNSの場合は情報共有するための機能が多数用意されていることから、自分には直接届いていない情報でも友人を経由して知らされる機会が多くなり、その中で知り得た情報をさらに他の友人と簡単に情報共有してしまうことから、チェーンメール的な情報をはじめとした流言飛語も拡散しやすく、またそのような状況をグループ外の人間が発見する、つまりは可視化することも容易になっているといえましょう。

以前には見えなかったものが可視化されれば、以前よりも増えたと見えても仕方ないのかもしれませんが、人々が都合の良い話に飛びついて右往左往する実態は昔からあまり変わっていないのではないかと感じます。

ただ、こうした流言飛語の飛び交うチャンネルが、メールという閉じた場からSNSという開いた場へ移り、しかも従来よりもずっと簡単に拡散できてしまう状況は、今後色々と考慮していかなければならないでしょう。

SNSについては日本よりも先進国の韓国でも、SNSを起点とした流言飛語の拡大が大きな社会問題となっているようです。

【社説】度を超えたSNSの流言飛語=韓国(中央日報 2013/4/14)

一様にまったくでたらめな内容だが、カカオトークのようなSNSに乗って広がった怪談に子どもたちはおびえ、父兄は緊張した。震源地はわからないが、子どものいたずらや関心を引こうとしたものだとして容認できるレベルを超えた。
スマホが普及したことで、スマホと親和性の高いSNSが多くの人達に受け入れられ、そこで様々な情報が拡散していく状況は後戻りしません。こうした状況の中、首相官邸がLINEにいち早く公式アカウントを設けて情報提供を開始したのは、社会的不安の中で起きる流言飛語へのカンターとしてかなり有効だと思います。

地震、災害、有事、ミサイル発射をニュース速報より早く知らせてくれる「LINE」の「首相官邸」アカウントを追加すると安心安全。(すまほん!! 2013/4/15)

今後、政府や自治体におけるSNS施策の重要性はどんどん高まりそうですが、一方でこうした主要SNSの運営者のほとんどは外国企業である点がまた別の問題として悩ましいわけでもあります。かといって、ドコモにはもう期待できそうにないというような話がまた出ていますしね。

ケータイメールは死ぬのか(Business Media 誠 2013/4/17)

もう少し詳しい話はまた後日展開したいところではありますが、こういう問題に強いSNSとしてmixiを強く推奨しておきたいと思います。