無縫地帯

何かとお騒がせな三菱自動車が今度は英国でスマホアプリに問題発覚

不祥事続きの三菱自動車、今度はイギリスでスマホアプリに問題があったことが発覚し、これはこれで大問題になっているようです。

山本一郎です。人様を騒がせることなく、静かに生きています。

ところで、このところ燃費試験データ不正問題で色々とトラブルを抱えた状態の三菱自動車ですが、今度は海を越えた英国において専用スマホアプリのセキュリティに問題があることが発覚して話題となっているようです。

三菱「アウトランダー」のモバイルアプリにセキュリティ問題盗難警報の解除も(ITmedia 16/6/7)

英国のセキュリティ対策企業が、英国で販売されている三菱の乗用車に採用されているスマホアプリを使ったシステムにセキュリティ上の脆弱性があることを発見し、その件をBBCが大々的にニュースで報じたという話なんですが、このセキュリティ脆弱性を悪用されると電装関係のスイッチが操作され盗難警報まで無効にできてしまうようです。

このスマホから遠隔操作できる機能ですが、英国向けに限らず、国内で販売されいてる同型車にも採用されています。

アウトランダー PHEV 三菱リモートコントロール(三菱自動車)

クルマとの無線LAN通信が可能なエリア内であれば、自分の無線LAN端末から遠隔操作が可能に。ETACSのカスタマイズも手軽に行えます。三菱自動車
国内での評判はどうなんだろうと適当に検索してみたところ、同アプリは2013年にはもう製品化されていたようで、市場に出たばかりの頃のユーザーレビューが見つかりました。

私も先日納車になり早速DRでリモートコントロールのセットをしましたが、全く作動しませんでした。いろいろ試しましたがどうやらアプリに不具合があるらしく、メーカーから返答があったそうです。しばらくお待ち下さい状態になってます(涙)『リモートで苦戦中』 のクチコミ掲示板 価格.com
IoTの時代を先取りするような機能を搭載したまでは良かったのですが、それまで自動車とは無縁だったWi-Fiなどの対応でメーカーもディーラーも、そしてユーザーまでもがそれぞれに苦労したようです。

当該アプリについては「タイマー充電が正常に作動しないことがある問題に対応しました」といった不具合修正の履歴がメーカーサイトに残っていたりと、地道ながらも堅実にこつこつと改善が行われいたようですが、今回の英国セキュリティ対策企業による厳しい指摘があるまでは致命的な欠陥に気がつかなかったのは痛かったですね。

で、さらに痛いのは、こうした問題が指摘されても直ぐには対応しようとしなかったという三菱自動車の姿勢でしょうか。

Pen Test Partnersは当初、非公開で三菱自動車に接触しようとしたものの、同社が関心を示さなかったとも伝えた。そこで英BBCを巻き込んだところ、それ以降は三菱自動車も深刻に受け止めるようになったといい、中期的な対策としてファームウェアでの対応を表明しているという。ITmedia
さすがに三菱自動車もBBCニュースで報道されてしまうとなればこの事態を認めざるを得なかったということなのでしょうが、この件、まだ日本国内のユーザーには正式に知らされていないように見えます。もしかして、セキュリティ上問題があるのは英国向けのみでのことなのでしょうか。大変気になるところでして、国内ユーザーのためにも早く問題が無いのかどうかを明らかにして報告してほしいところです。

なお、このアウトランダーという車種も残念ながら例の燃費データ不正問題ではクロとなっています。ご参考まで。

三菱自アウトランダーPHEVでも不正(毎日新聞 16/5/16)

三菱自動車の燃費データ不正問題で、プラグインハイブリッド車(PHU)「アウトランダーPHEV」でも机上計算でデータを算出していたことが16日分かった。
(中略)
PHEVは家庭用電源からの充電もできるハイブリッド車。三菱自は、次世代環境技術を使った旗艦車種と位置づけている。毎日新聞
どうにも自分のやらかしたことで自業自得で踏んだり蹴ったりの状況ですが、このところ、だらしのない大組織の問題が多数日本社会を賑わせる状況が続いています。単に組織が劣化したというよりは、経済評論家の山崎元さんの言う「もともといい加減だった」仮説ってなんか凄くしっくりくるんですよね。

日本企業は劣化したのではなく、もともといい加減だった(ダイヤモンドオンライン16/4/6)


そうだとすると、経済成長が止まり、オーバーストア現象(小さい市場でプレイヤーがたくさん残存している状態)が続くと、生存競争が駄目な人から順番に市場退出するという話になるわけで、悪評が致命的な営業不振を招き、組織が耐え切れなくなって自壊したり、身売りを余儀なくされたりするというのは必然なんだろうなと思うわけであります。

最終的に、優秀で真面目で愚直な組織が生き残るということなのかもしれません。