無縫地帯

今の時代にリテラシーの問題だけで済む話なのかどうか

悪徳業者が「いいね!」を稼ぐ方法が明るみに出ていて、良く考え抜かれていて逆に感心する次第なんですが、これはもはや利用者のリテラシーという話だけではないのでは?と感じることも多くなってきました。

山本一郎です。朝からコーヒーを飲み続けています。

以前に、SNSで感動や癒やしを共有するのが流行っているようで素晴らしいですねという主旨のブログ記事を書いたのですが、どうやらこの動きが実は悪徳商法に活用されているらしいことが発覚しました。

Facebook悪徳活用事例感動系エピソードを利用した情報商材販売(ASSIOMA 2013/4/14)

感動話で大量の「いいね」を獲得、後日他の内容に差し替える
一度「いいね」した後、その記事を再び読もうと思う人はほとんどいないという行動パターンがしっかりと利用されてしまっています。いいねした人も、まさかそれが情報商材広告になっているとは思わないでしょう。

さらにこの件については、関連事業者が色々なアプリを出しているという話も。

感動話に加えて「鑑定」「予報」も悪徳情報商材屋の仕業と証明されました。(More Access! More Fun! 2013/4/14)

早速Google Playで該当する名前のアプリを検索してみると、確かに同一業者で「感動」や「診断」「鑑定」等といった切り口のアプリを大量に無料公開しています。ユーザーレビューもおしなべて好評に見え、まさに「いいね」的なコメントが並んでいることから、やはりある一定層に対してアピールできているようです。

情報商材絡みで云々という話は、インターネット等が始まるずっと以前からあったものであり、なにも今さら特に珍しいことでもありませんが、SNSとスマホが組み合わさりレイトマジョリティー層へ普及しだした昨今の状況の中では、従来にはありえなかったほどの速度で簡単に被害が広まってしまう可能性を孕んでいると思います。また、逆にそういう状況であるからこそ、問題点が可視化されやすいというメリットもあるとは思いますが。

しかし、そこで問題点が可視化されるているだけでは、実際にその問題で被害が及ぶであろう層に対してはあまり抑止効果が発揮されないというジレンマがあります。リテラシーが低い人は意識を持てと言われても、なかなか通じないだろうなということです。どうすればいいのか、教育や社会制度などの部分も含めて考えていかなければならないなと感じます。

リテラシーということでいえば、最近多発している不正アクセス事件に関しても、IDとパスワードの管理が杜撰な状況に負う部分がかなりあるわけですが、これも理解できない人にはまったく通じない話だと思います。

全世界のWordPressサイトに大規模攻撃; デフォルトのアドミンユーザ名’admin’がねらわれている(TechCrunch 2013/4/13)

こうしてみると、リテラシーの問題はなにも日本国内に限った話ではないのですが、ネットという存在が当たり前になってしまった以上、ネットが無かった時代の規模と速度感で対応していてはまずいということだけは明かです。ネット選挙も始まりますが、大丈夫なのかという不安は拭えません。それでも前に進むしかないのでありますが…。