旧「みんなの党」松田公太さんや関係者は、解散直前の政治資金使い切りの正当性を説明すべきでは(追記あり
一部では既知でしたが改めて読売が報じた4億円以上の政党交付金(税金)を旧みんなの党解散時に支部へ支払い、また政治資金収支報告書には支部から政治家個人の政治団体に概ね流出していることについて解説します。
山本一郎です。お金が大好きです。
ところで、先日読売新聞に旧みんなの党の解党解散にあたり、解散された去年2014年11月28日の直前に、旧みんなの党本部から各支部に資金が割り当てられ、さらにその資金が支部の代表を務める旧みんなの党各議員の政治団体に「1円残らず」寄付されている実態について改めて報じられました。
といっても、みんなの党の解党時点での資金が国庫に返還されていないこと自体は、かねてから旧みんなの党関係者や議員が年初から仰っていましたので、今回は改めて政治資金規正法に基づく開示で外形的に明らかになったため読売新聞が敢えて報じたのであろうと思います。
最初に述べておきますが、本件は適法です。松田公太さんや関係者に法的な問題はなく、法的な瑕疵はないと思っています。
みんなの党、解党直前に交付金4億円余を支部に(読売新聞 15/12/21)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20151220-OYT1T50114.html
読売新聞の記事について(BLOGOS 松田公太 15/12/21)
魚拓
何かにつけて松田公太さんは目立つので、どうしてもこういうときに名前が挙がりやすいというのは仕方がないとして、読売新聞が懸念している部分は仰るとおりです。政党への助成金を受け取っていない共産党を除きどの政党も似たようなことをしていないわけではないのですが、本稿では簡単に実際はどうであったのか少し解説します。細かくは、昨日放送されたフジテレビ系ネット放送ホウドウキョク『真夜中のニャーゴ』で解説しまして、アーカイブがそのうち出てくると思いますので、そちらをご参照ください。
フジテレビ系ホウドウキョク『真夜中のニャーゴ』
ちなみに、政治家を閣僚で抜擢したり、重要選挙区で候補者を立てるにあたって、官邸や政党本部が行う「身体検査」という行事がありますが、調査のための基本動作はこの政治資金報告書の内容を精査し、望ましくない取引先が存在するのかどうかを確認する行為が主になります。ここで不思議な支出が面白取引先に対して繰り返し多額にあれば、関係者の間でひそひそしたり、ニヤニヤしたりするわけであります。あくまで一般論です。
さて、BLOGOSで松田公太さんはこのように仰っています。
我が事務所ではパソコン等の備品を何年も使用しており、もともと年初来から新規購入を計画していた中で、既にあったお金を充当して購入致しました。完全に法律にのっとり、適切に処理させて頂いております。そうですか。なるほどですね。さんこうになります。てきせいにしょりされたことをかくにんされたそうで、しゅうちゃくしごくにぞんじます。
読売新聞の記事について
では、2014年11月28日にみんなの党解散(解党)されたみんなの党参議院第2支部政治資金報告書の内容を見てみましょう。
[[image:image04|center|みんな大好き収支表。B/Sのように見えるけどP/Lだよ。]]
……。おや、老眼になったかな。おかしいな。拡大してみて見ましょう。
[[image:image01|center|まさかの繰越金額ゼロ絵巻。一円も残ってない。ヤバイ。]]
これは…綺麗さっぱり使い果たされていますね。収入がなかったのでしょうか。
[[image:image02|center|前期からの繰越と、みんなの党本部からの資金が全額使われてるでござるの巻。マジかよ]]
前年度からの繰越金4,200万円、みんなの党本部から支部への供与金が3,500万円、しめて7,700万円の収入が、7,700万円の支出と共に1円も残さず見事に使い果たされています。比喩でも何でもなく、文字通り残金ゼロです。これはいったいどういうことなのでしょう。
[[image:image03|center|ジャスト0円とかいうソフトバンクモバイルの携帯セールみたいな仕掛けはここに。]]
げえっ、みんなのとうかいさんとうじつの、11がつ28にちに、しぶのおかねがぜんがく、なにものかにきふされてるーっ!!
気になるところは多々あるわけですが…これがいわゆる大人の事情ってやつでしょうか。なお、写真中画像の形がアップロード制限に引っかかったので、やむなく挿絵として「フリー写真素材ぱくたそ」さんより画像をお借りしております。この場を借りて、御礼申し上げます。
まあ、旧みんなの党のほぼすべての支部で、同様のスキームを使い、本来であれば政党が解散するに伴って政党の持つ剰余金は国庫に返るはずが、返したくないもんだからこういうやり方で政治家が税金によって賄われている政党助成金を自分の政治団体に入れてしまったことが、改めて分かっただけなんですけどね。
もちろん、この得体の知れない名前の寄付先は、住所で見れば分かるとおり、参議院議員宿舎1215号室、つまり松田公太さんご本人がお使いになられている一室が所在地であることから、松田公太さんご自身がハンドリングしている政治団体であることは言うまでもありません。
そして、みんなの党が回答する直前に、国庫に政党の剰余金が返納されるのを恐れ、急いで松田さん自身が代表を務める政党支部から、2,554万円の寄付が、松田さんの政治団体に対して行われた、ということになります。それまで、この支部から松田さんの政治団体に寄付が行われた経緯は結党以来ありません。解散する直前にのみ、この動きが見られるわけであります。
で、このあたりは真夜中のニャーゴでの放送でも説明しましたし、私のメルマガでも解説をしますけれども、基本的には適法として処理されています。一般の法人であれば、組織の責任者が自分の持つ法人にお金を入れ直すのは、特別背任や横領にあたる犯罪行為であるわけですが、政治の世界においては、政治活動に資する寄付が政党から政治団体に行われること自体は違法でも何でもないのです。
政党に交付される資金を規定する政党助成法では、第4条において以下のように規定されています。
:つまり、本件は「政党交付金の使途は自由なんだけど、国民の信頼に応えられるよう適切に使ってくれよな」という、政治家各員の良識に完全に依存した、最高品質のザル法によって規定されております。言い方は悪いですが、泥棒に大金を預けて「悪いことに使うなよ。絶対に使うなよ」というダチョウ倶楽部的日本の伝統芸能の精神をいまに伝える事案であることは言うまでもありません。
(この法律の運用等)
第4条国は、政党の政治活動の自由を尊重し、政党交付金の交付に当たっては、条件を付し、又はその使途について制限してはならない。
2政党は、政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、その責任を自覚し、その組織及び運営については民主的かつ公正なものとするとともに、国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を適切に使用しなければならない。
また、本部、支部と組織は違っていても政党は資産を隔てることなく保有する原則になっています。なので、とある極左政党が某マドンナブームの際に亡くなられた大物女性政治家の意向で半島の北のほうにある国交のない国の日本国内出先機関と組織構成員ともに被っていてヒトモノカネの出入りが自在だった時期まであるほどで、その後は各位の努力もあってかなり健全化が図られた経緯もあります。
また、上記政党助成法とザルの双璧となっているのは政治資金規正法の寄付条項です。ここには、政党(本部、支部を問わず)から政治団体に対する寄付を行うにあたっては、制限がないと明記されています。つまり、党支部長松田公太さんが支部の金を松田公太さんの政治団体に寄付をしても適法だ、ということです。
政治資金規正法及び公職選挙法における寄附の制限
[[image:image05|center|みんな大好きガイドラインのポンチ絵。奥さん、ここだけでも覚えて帰ってください]]
みんな、ここ試験に出るからな。
まさに政治資金関連ザル法の風神雷神状態ですが、そういう法律で運用されているのですから、致し方ありません。某極左政党が国交のないはずの国の代弁機関に一時期成り下がった件も、某「壊し屋」豪腕政治家が政党を作ったり離脱したりするたびにお金がどっかに消える件も、旧みんなの党が翻訳会社のはずの健康食品会社なオーナーからの党首の個人的な借入金が返済されないかどで紀尾井町の週刊誌に手記で暴露され代表嫁の介入から解党騒ぎにまで発展して金が支部を通じて各所属政治家の政治団体に消えていった件も、おおむね「政治と金」の話からみていくとだいたいど真ん中の話がいくつも浮かび上がるものであります。それも、すべて適法です。そして、某豪腕政治家が国策調査の果てに政治家秘書の立件まで漕ぎ着けたものの証言をひっくり返され起訴事実が土台を失ってまさかの無罪判決になったのも、この粗いザルの目がステンレス製であることを示しております。
繰り返しますが、松田公太さんが政党助成金として政党の活動を支援するために拠出された税金そのものである支部の金を、松田公太さんが個人の政治活動を行うために組織された政治団体にそのまま寄付をしても、適法です。また、松田公太さんの名誉のために付け加えるならば、このみんなの党の支部に対しては彼自身が1,300万円ほど身銭を切って、また党務を進めるためにかなり努力された経緯はあります。まあ、解党のどさくさに紛れて500万円ほど支部から返済させてますが。でもまあ、彼なりの政治に対する「想い」はそこにあると感じ取れる部分です。また、松田さんは私生活は派手そうですが、それなりにご本人に資産もあり、この程度のはした金で危ない橋を渡るような人物にはちょっと思えないぞという節もあります。
しかしながら、かりに政党助成法や政治資金規正法の点から見て違法性を問えない物件であったとしても、政党の解散から、その政党に入っていた税金を政治家が支部を通じて自分の政治団体に還流させたという話になると、これは国民の信頼にもとることのないようにするという法の精神、趣旨から見ても望ましくないのではないかという批判は成立すると思います。
本件については言いたいことはたくさんありますし、旧みんなの党から旧結いの党、そして日本維新の会に合流後に民主党と統一会派を結成することが報じられましたが、日本維新の会など旧みんなの党の有力政治家に対する一本釣りがついぞ与党から行われなかったことは、各位が胸に手を当てて考えておくべき事案だと思います。彼らがもしも与党の一員となったならば、ドリルでは済まない事態が発生することがわかっているからこそ、界隈をして「食べ残しは野党にくれてやればいい」という評論に繋がっていくわけです。
やはり、この手の欺瞞的な手法については改善されるべきと思いますし、政党と政治団体、政治家個人と組織、そして支援者という枠組みで、どういう形が日本の民主主義において一番ふさわしい形であるのか考える必要があります。また、単に「政治と金」というレベルではなく日本が少子高齢化と低成長時代が慢性化する中で国力の衰退という時代に突入したいま、国全体、社会全体、日本人全体をどの方向に導くつもりであるのか、先導できる優れた指導者が育つのを、日本社会が我慢して待たなければならないのではないかなあと思います。政治には金が必要、でも有権者は高潔で有能な人材を政治に求めているというところで、何を割り切らなければならないのかいま一度立ち止まって考える必要があるのでしょう。
別に本稿はネガティブキャンペーンではありませんが、松田さんの「政治と金」についてや、解散時点での面白資金についてのご解説は是非拝聴してみたいと思っています。ご本人も「ネットで反論すればいい」と豪語されておりますし、問題のない範囲内でお考えをお聞かせいただければと強く願う次第であります。12月28日16時ごろまでに返答を頂戴できれば幸いです。
落選運動やネガティブキャンペーンにはネットで反論すればいい/松田 公太(GLOBIS 知見録 15/1/20)
今から記者発表会→津田大介さん、夏野剛さん、ホリエモン、佐藤大吾さん他との赤裸々トーク!(松田公太オフィシャルブログ 15/1/20)
これからの日本を支える津田大介さんや堀江貴文さんなど、優れた人材が松田さんの周辺にひしめいているのを拝見しますと、いろんな意味で閉塞感のある我が国を飛躍される起爆剤の中心に松田公太さんがいらっしゃることを、ひしひしと、ひしひしと、ひしひしと感じずにはいられません。(自粛)から前科持ちアナーキストまで幅広い人材を抱える扇の要として頑張っていただきたいと松田公太さんには野太い声でエールをお送りしつつ、いったんここでキーボードを打つ手を止めたいと思います。
ところで、14年11月28日に松田さんの支部からPR会社の新東通信に3,000万円ぐらい支出があるんですが、これは領収書が出ているんでしょうか。
(追記・修正2017/3/9)
津田大介さんからのお申し立てがあり、ヤフーニュースの定めるガイドラインに抵触している懸念がないわけではないため、記事中の表現を(自粛)とし修正いたしました。