個人ユーザーによるネットアクセスがPCからスマホへ着々と移行しつつあるようです
日本でも利用者のスマートフォンシフトが進んでいますが、世界的現象のようで、FACEBOOKでもモバイル端末での動画再生が9割になったと報じられました。ここまで便利ならリテラシーも機器も変わるようです。
山本一郎です。先日愛用しているiPhone6を自転車漕いでる途中で落として画面割って大惨事だったんですが、割れ防止機能を高らかに謳う保護フィルムは傷ひとつなく無事でした。ガラスだけが割れております。もう一度申します、保護フィルムは無事でしたがガラスは割れました。
ところで、この1~2年でそういう傾向は確かにあったのですが、いよいよ個人ユーザーによるネットアクセス手段が従来のPCからスマホへと大きくシフトしつつあることを感じさせるニュースがいくつかあったのでご紹介します。
Facebook Japan、2016年はモバイル広告ネットワークを本格展開へ(ケータイWatch 15/12/9)
日本市場において、2015年末におけるFacebookのユーザー数(MAU)は2500万人強。このうち1日の平均利用率は64%になっている。長谷川氏が「完全にモバイルシフト」と言うように、92%のユーザーがモバイル端末からもアクセスし、投稿された動画も、1日のうち90%はモバイル端末で再生されている。ケータイWatch近年Facebookは世界的な規模でモバイル向け施策に注力しているのは周知の事実ですが、日本市場においてユーザー動向がこれほどモバイルに偏っているとは思ってもみませんでした。せいぜい多くても5~6割ぐらいかと見積もっていたのですが、9割を超えているのは驚きです。
これだけの状況においてモバイル広告に力を入れないとすればそれは逆にFacebook側の怠慢になりますから、モバイル広告ネットワークを本格展開するのは当然の流れと言えます。しかし、ここで少し気になったのは、この記事で取り上げられている発表会そのものの主な目的がまずはモバイル広告ネットワークのPRだったということです。そういう場所で多くの人の予測を大幅に上回るであろうモバイルアクセス率9割という数字が示されたのは、人々にFacebookのモバイル広告ネットワーク利用を急かせるためのセールストークだったのかなという疑いがなくもありません。残念ながらFacebook全体のアクセス状況を客観的に知るための第三者提供データがないだけに、Facebook側の発表を信じるしかないのですが、モバイル9割というのは本当なのでしょうか。7割ぐらいの数字だとそれなりにリアルなんですが、9割というのはいかんせん圧倒的過ぎるかなと。
で、そんなことを思っていたら今度は海外でも似たような数字が出てきました。
「パリ・テロ事件中は、モバイル閲覧が8割だった」:BBCワールドのグロースハックをCEOに聞いた(DIGIDAY 15/12/11)
パリのテロでは、モバイルが実際に大きな役割を果たした。平時はアクセスの半分超がモバイルからのアクセスとなっているし、この間の事件の最中には、その量が80%にも増えた。刻一刻と状況が変化する大事件の情報は、モバイルで閲覧される。DIGIDAYなるほど、8割ですか。さすがに常時というわけではなく、大きな事件が起きたため事態の進行状況をリアルタイムで確認したくて多くの人がモバイルからニュースにアクセスしたということのようですが、こうなってくるとほとんどのユーザーがネットにアクセスするのは常にモバイルからという状況になるのもあまり遠くない将来と感じます。
BBCでは情報を発信するジャーナリスト側のツールもモバイルへシフトを進めている点が興味深いです。
アクセスの大多数がモバイルからなのに、我々のジャーナリストは、いまなおオフィスに戻ってデスクトップ端末を使って配信している。そのような現実に向き合うことから始めた。そこで現在では、我々のジャーナリストがモバイルプラットフォームに直接配信する実験を行っている。DIGIDAYそういえば、Facebookではモバイル対応を考えるための施策としてさらに極端な取り組みを社内で行っていたりもします。
フェイスブック社内で「遅いネット接続」の日「2G火曜日」、新興国の環境を疑似体験(ウォール・ストリート・ジャーナル 15/10/28)
フェイスブックは27日、同社の交流サイトを第2世代(2G)のインターネット接続環境で体験できる「2Gチューズデー」を社内に導入した。利用者が急増している新興国の遅々としたネット接続を従業員に疑似体験させる狙いだ。ウォール・ストリート・ジャーナル世界制覇を狙うSNS事業者はさすがにやることが他と違います。まあ、国内の一般的なメディア事業者がここまで考える必要はないと思いますが、いまだにウェブサイトがスマホからの閲覧に最適化していないようなところはかなり厳しい時代になったと認識すべきなのかもしれませんね。
かくいう私も、このヤフーニュース個人やそう長くない原稿はたいていスマホで執筆するようになりました。慣れるとキーボードより入力速いんですよね、マジで。その代わり、指先がイライラして、精神的に「キーッ!」となりスマホを投げ捨てたくなることはあるんですが、その代わり腱鞘炎がなくなり、いつでもどこでも原稿を執筆できるようになりました。
それもこれも、Twitterなどで変なのがいっぱいやってきて煽ったり馬鹿にしたりと、罵倒コメントを高速に寄せるモチベーションが私の能力を拓いてくれたからです。また今回もネット社会によって私は高められました。今後とも、活力あるネット社会の維持に貢献してまいりたいと思っております。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。