無縫地帯

リスティング広告が広告として認知されていないらしい話とか

ネットユーザーのそれなりの割合がリスティング広告を見ても広告と認識していなさそうという話が出まして、このあたりを見分ける力も大事なのだなと思うようになりました。

山本一郎です。拙宅の三男(2歳)がiPad出してきて、電源入れてwifi繋いでYoutube立ち上げ音声入力で「あんぱんまん」といってフリックで動画を選んで中華字幕の出るコンテンツを閲覧を開始したので、思わず「それは著作権法違反だ!」と叫んでしまいました。

で、思い立ち久々にデジタルネイティブという単語がSNS界隈でバズっていたので拾ってみました。

若いデジタルネイティブ世代はGoogleの検索結果と広告との区別が付かないことが調査で明らかに(Gigazine 15/11/25)

Googleで検索したときのスクリーンショットを未成年者に見せ、「検索結果の一番上に表示されているのは、『広告』『最も関連性の高い検索結果』『最も人気がある検索結果』のどれか?」と聞いたところ、12~15歳の約70%がページトップの広告を広告と理解していなかったとのこと。Gigazine
元ネタとなっているOfcomのレポート(PDF書類)にもざっと目を通してみましたが当該箇所は以下の部分となるようで、リスティング広告において広告であることを明示するラベルが付いていても、多くの子供がそれを広告として認知できなかったということのようです。

Despite this labelling, only a minority of 8-11s (16%) and 12-15s (31%) correctly identified these sponsored links as advertising.Children and Parents: Media Use and Attitudes Report
ただまあこれ、大人でも分かってない人はたくさんいるのではないでしょうか。たとえばこんな記事もあったりします。

今さら聞けない!リスティング広告って何?(ITproマーケティング 15/11/13)

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンでキーワードを検索した時に、その検索結果に連動して表示される広告の事です。つまり、「いちご」と検索した場合は、「いちご」というキーワードに関連した広告が表示されます。『広告?そんなもの見たことないなぁ』と思ったアナタ。実は見ているのです。
(中略)
『検索結果だと思っていた!』という方も結構いらっしゃるので、安心してください。ITproマーケティング
やれやれだぜ。

上記は基本的に広告クライアント向けのマーケティング紹介記事ですが、一部のエンドユーザーがリスティング広告を広告として認知してない状況を前提にした豪快な書きっぷりです。嫌いじゃない。つまり、リスティング広告は最初から検索結果としてエンドユーザーがクリックしてくれるかもしれないという期待も込みでの存在ということを暗に認めたような話になってしまっています。本来、広告事業者自らがそういう言い方をするのはあまりよろしくないと思うのですが、ついつい本音が出てしまったということなんでしょうか。

それはさておき、広告が広告として認識されないのは年齢とは関係なく生じてしまう事象でありますが、できれば子供達にはそうした残念な大人になることなくしっかりと情報を選別できるようになるために、この方面のリテラシー教育を授けることを考えていかなければならないと感じます。山本家も、子供に著作権の尊さと広告の見分け方をしっかりと伝授し、将来しっかりとしたいけすかない大人に成長してほしいと願っています。

さて、先のOfcomのレポートでは他にも興味深い結果が出ています。

調査では12~15歳の29%がテレビよりもYouTubeを好んで見ると回答し、テレビを好んでみると回答したのは21%で、初めてYouTubeがテレビを上回りました。Gigazine
いまどきのイギリスの子供はテレビよりもYouTubeが好きなんですね。で、調査の規模や調査対象年齢、質問内容が微妙に異なりますが、丁度同じようなタイミングで日本国内における10代スマホユーザーのメディア接触状況が報告されていました。

10代スマホユーザーが好きな情報源、1位Twitter、2位テレビ、信頼できる情報源は1位テレビ、2位新聞(INTERNET Watch 15/11/24)

最も好きな情報源と答えたのはTwitterで39.0%、次にテレビが19.2%、インターネット記事が10.2%。また、最も信頼する情報源として挙げられたのがテレビで38.0%、新聞で18.2%、あてはまるものがないと答えたのが12.3%で、Twitterは5.3%という結果になった。INTERNET Watch
面白いことに、国内でも人気の点でテレビよりもネットメディアに軍配が上がってしまいました。若者のテレビ離れは万国共通というところなのでしょうか。

一方で、情報の信頼性という部分ではSNSに対する評価が総じて低く、4割近くがテレビに信頼を置いているという結果が出ているのが大変興味深い点でして、好きな情報源イコール信頼できる情報源ではないという使い分けが子供達なりにできているというふうに見えなくもありません。まあ、それじゃはたしてテレビが本当に信頼できるのかというとまた別の意味でメディアリテラシーを問われる話でもありますが。

いっそテレビもネットになっちゃえば、と思ったら、どこぞのドコモが頑張っていたNOTTVが終わってしまうという訃報が入ってまいりました。

「NOTTV」サービスの終了について(NTTドコモ 15/11/27)

スマホ向け放送「NOTTV」、ついにサービス終了(ヤフーニュース個人 石川温 15/11/27)


もう一年ぐらいやるのかと思っていたら、傷口が広がらないうちにやめてしまえ、電波帯域もお返しするぜという話のようですね。IoT方面に電波使えばもっと有効活用じゃね論者絶賛の状況ではないかと思うのですが、どうでしょうか。NOTTV自体はナイストライだったんですがねえ。

涙を拭いて故人を偲び前を歩くのがいまを生きる人間のつとめであると胸に刻んで、元気に今日という日を生き抜いていきたいと思います。

こちらからは以上です。