モバイル時代のネット広告を巡って広告業界が悩んでいるようです
昨今「バナー広告不要論」から「スマホで動画広告はアリか」とか「ネイティブアド全盛予測」まで様々な議論が浮かんでは消えるモバイル時代の広告論争について雑記してみました。
山本一郎です。私もそろそろいろんなものを見直すべき時期にきました。髪型とか。
ところで、このところステマ問題が色々と取り沙汰されている国内ネット広告業界ですが、海外ではどうやらバナー広告に対する見直しの機運が高まっているようです。
「バナー広告は役に立たない」、英インターネット広告協議会が見解(DIGIDAY 15/10/26)
「バナー広告は役に立たない」。これは多くの人が実感していることだと思うが、英国の業界団体「インターネット広告協議会」(IAB:Internet Advertising Bureau)までもが、ついにそれを認めるようになってきた。この記事からだけでは不明なのですが、単にクリックされないという数字だけではなくユーザー側の意識調査など含めて分析した結果、もっと細やかなデータを付き合わせたらこういう結論になったのだろうとは想像します。ただ、こうした状況を打開するための施策の一つがネイティブアドであるという、ここ最近のお決まりの提案となっています。
(中略)
「バナー広告は、平均して1250回の表示に1回しかクリックされていない。旧式のバナー広告はもはや機能していない」DIGIDAY
そこで、バナー広告の代替案となるのがネイティブアドだ。「将来のデジタル広告は、コンテンツ上に作られる。そうしたものが、将来におけるメディアの資金力となるだろう」。簡単に言いやがるなあ…。
(中略)
「ネイティブアドは人々を騙してそれが広告だと思わせるための手段ではない」
(中略)
業界団体、パブリッシャー、広告業者は、明確なガイドラインや定義を求めている。DIGIDAY
こうしてみると、やはりネイティブアドが抱える問題点というのは世界共通なんですね。要するに、適法で善良なコミュニケーションツールとしての広告と、悪質で効果の高いステルスマーケティングの境目が曖昧になるのは、テキストメディアだけでなく動画広告や動画リワードでも出てくるでしょうし、今後問題となるであろうリターゲティング広告などでも欺瞞的な話は多数耳にします。
やはり、記事の中に中立性を装った広告を混ぜられると広告効果が高くなる、という点については、同じ人間なので洋の東西を問わず考えることはそれほど変わらないということでしょう。はたして、広告主と消費者、そして広告関連事業者もが納得できるルールをちゃんと作り出し運用していくことができるのかどうか。このあたりは国内海外関係なく今後の動向を見守りたいところです。
それにしても、スマホの時代になって広告業界は本当に悩んでいるのだなと感じることが多くなりました。悩んだ挙げ句にわけのわからない迷走に陥っていると感じるような事例を目にすることも増えているのかもしれません。
激ヤバスマホ広告、はじめました。(電通報 15/10/23)
スマホの広告で「下の方に小さく出てきてピコピコやる」以外にできることは無いのか…そんな悔しい思いを抱いたことがある方も多いはず。そうですか…。
しかし!!
本日2015年10月23日から、そんなスマホ広告を取り巻く環境は激変することになるでしょう!
なぜなら今日、電通とアクセルマークの2社が、既存のスマホ広告の概念をぶっ壊す激ヤバなプロダクト「BRAND SCREEN」を開発してしまったからです。電通報
まあ、いろんな意味でこちらの提案施策がネット民の間で大いに話題になっておりました。で、記事冒頭には「この記事は、スマホでお読み頂くことで全てのコンテンツを楽しむことができます!」と豪語していたので、何が起きるのかと楽しみにスマホで閲覧したわけですが、なんですかこれは。期待し過ぎたのかもしれませんが、提案の趣向が単なる独りよがりの子供だましとしか思えません。もし真面目な記事を読んでいる最中に、この手法でアドネットワークによくありがちなエロ広告が派手に出てきたりしたら、あまりの怒りから間違ってスマホを壊してしまいそうな不安を覚えます。
企画した側では、ちょっとお馬鹿なテレビCMのセンスをそのままスマホの画面上で派手にやれば笑えるみたいな思惑があったのやもしれませんが、さすがにそれは無いだろうと。もはやスマホのデータ通信費が実質ユーザー側の負担として計上されるシステムへ様変わりしつつある時代、広告がどこまでパケット使って面白おかしいことをして許されるのかという課題もあります。とくに現在注目の動画広告あたりはパケット消費が激しいですから、今後ユーザー側から総スカンを食らう可能性も無くはないかなと思います。
ちょっとこのあたりはもう少し広告業界もユーザーの利便性を考えろよ、という世界でありまして、いくらスマホで快適に動画を観せることが簡単になったからって広告がビシバシ動画を貼っていいのかというのは一度よーく胸に手を当てて考えるべきなんだろうと感じます。
ベクトルかわいいよベクトル。