無縫地帯

ネット銀行やメガバンクの口座が一時凍結されてしまった、そのときは

私たちの生活の便利さを保障してくれる銀行ですが、不用意な個人間取引を繰り返しているうちにブラックリスト口座に巻き込まれて自分の大事な口座が一時凍結されてしまうことがあり得ます。対策しましょう。

山本一郎です。一日中坂を上ったり降りたりしたら、膝が痛くなってしまいました。矢を受けたわけでもないのに。

ところで、先日来ネット銀行の口座が一時凍結されたり、信金、メガバンクのオンラインバンキングサービスが「都合によりご利用できなくなっております」とされるケースが増えています。確認されているだけで8月1日からの二ヶ月ちょっとで700件近い口座が何らかの理由で新規の一時凍結が視認されておりまして、結構な問題になりつつあります。

また、問題の銀行口座は増える傾向にあります。
それも、一般的な利用者が、何の心当たりも無いのに突然口座が一時凍結されたという通知と共に利用できなくなってしまうので、今後パニックになることもあり得ます。

ネット不正送金15億円信金で被害急増 (日本経済新聞 15/9/3)

先日、事実関係について軽く記事を書いたのですが、ネットでのリテラシーの高い人もこの問題や仕組みについて理解していないことが多いようで、誤解も多くみられます。
今後は、楽天銀行や住信SBIネット銀行などのネット銀よりも、普通の三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行、みずほ銀行などといったメガバンク系の口座も一時凍結が増える可能性が高いので、事前に解説記事を出したいと思います。

元々の記事はこちら、また詳細については10月6日23時05分から放送予定の『真夜中のニャーゴ』でお伝えしたいと思います。

ネット銀行経由での詐欺が多発している件で(やまもといちろうBLOG 15/9/27)

フジテレビ系ネット放送ホウドウキョク『真夜中のニャーゴ』


なお私は、現在東北楽天ゴールデンイーグルスのデータ担当を請け負っておりますが、楽天銀行とは一切の取引関係はありません。

■「もしも、一時凍結されてしまったら」どうするか?

身に覚えが無いのに、銀行口座を一時凍結されてしまったときは、どうするのが良いでしょうか。
先に対処法を書きますと、一番早いのは「この方面に強い弁護士に相談する」のが一番です。

大阪のミライト・パートナーズさんのブログでも言及されていますが、一時凍結されているということは、仮に口座の持ち主が犯罪を犯したなどの身に覚えの無いことが理由であっても、犯罪捜査の一環として口座が一時凍結された場合、普通に名乗り出て抗議してもなかなかすぐに取引再開とはならないのが普通です。

「疑わしい取引」を理由とする預金口座の凍結等について(法律事務所ミライト・パートナーズのブログ 15/9/28)


金融庁の苦情窓口に申し出ても、受理はしてくれますが、すぐに対応してくれるという類のものではありません。また、重度の問題があると判断される銀行口座については、銀行の対応ではなく、預金保険機構預かりとなって、銀行にいくら連絡し、クレームを入れても凍結が解除されないことがあります。

銀行側の事情でいうならば、金融庁の検査マニュアルや振り込め詐欺対策の全国銀行協会実務ガイドラインに則って対応せざるを得ないので、口座の持ち主が生活資金を入れているなどして激しく困っているとしても救済の手段がそもそも銀行に無いケースがあります。

したがって、銀行の実務や処理に詳しい弁護士に相談し、早期に金融機関と預金保険機構など各部門に問い合わせや照会をかけて「その口座が実在し、通常に利用されていること」「犯罪などに利用されたこともなく犯罪者でもないこと」などを証憑類と共に説明をすれば、おおよそ10営業日から15営業日ぐらいで一般的には一時凍結の口座は再度利用可能になるか、預金保険機構に回収された資金を指定口座に振り込んでもらうことができます(後者の場合は、疑われて一時凍結された口座は解約になり、消滅します)。

そんな金融問題に詳しい弁護士なんて知らないよ、という方も多いと思いますが、ヤフー検索やGoogleなどで任期付職員として財務局勤務の経験のありそうな弁護士を探してメールか電話をすることをお奨めします。あんまりこういう方面に詳しくない弁護士を起用しても、口座の凍結解除権限のなくなった銀行に突撃してきたりして、銀行にとっても依頼人にとってもろくなことにならないケースが多いからです。

■巻き込まれないためにはどうするのがいいのか?

残念ながら、ネットで銀行口座を使う機会の多い人ほど一時凍結のリスクは高くなります。これは、オンラインバンキングをAndroid端末で操作していたり、インドネシア、フィリピン、中国、タイなどのリゾート地に頻繁に旅行してクレジット機能つき銀行カードを利用したりしていると、悪用され一時凍結されるリスクは高まります。理由は後述します。

この手のセキュリティリスクは、もはや個人が背負わなければならないものだと思ったほうがよいと感じます。

一時凍結の被害を軽減するためには、メインで使う口座は極力オンラインバンキングやネットショッピングなどでの支払い・受け取り口座として利用しないことが大事です。逆に言えば、ネット用口座を用意し、小額必要な分だけ資金を入れておくことを強くお奨めします。

■なぜ身に覚えが無いのに一時凍結されてしまうのか?

一番多いのは、盗まれたり、ランダムにアクセスする形で不正に使われた第三者の犯罪口座からの入金が2回以上試みられたケースです。

完全にもらい事故で、こんなことで一時凍結されて右往左往するのは不運ですが、いま件数としては急増しており、どうしようもありません。

振り込め詐欺で利用される銀行口座の大半は、一般の人たちがウェブサービスの不正アクセスやフィッシングサイトなどで入力してしまって乗っ取られたものです。一般的な犯罪組織は、この乗っ取った口座を2回だけ使います。1回目は使える口座であるかの確認用として、2回目は一気に取り込み詐欺や偽ブランド品販売、振り込め詐欺などの資金受取や資金引き出し・資金移動に使うために使用するのが一般的です。

つまり、違法行為で使われる口座は、きちんと管理されている日本の銀行においては2ストライクアウトだということです。すなわち、乗っ取った口座が使えるかどうか白い振込みを行って確認した後、2回目に大口の払い込み、支払いをして、もうその乗っ取った口座は用済みとなるということになります。

メガバンクやネット銀行は、かなりロジカルに問題口座の洗い出しをしておりまして、これは各銀行固有のブラックリストで管理をしています。そのブラックリストに含まれる口座はどんどん増えており、黒さスコアがつけられているのですが、一定の黒さスコアを超えた口座と送金入金がある口座もストライクを取られます。

相手の口座が黒いかどうかは、一般の銀行利用者には分かりません。
だからこそ、闇金などでは相手の預金口座をブロックするための追い貸し封鎖というテクニックがあるほど、銀行口座のハッキングは問題になるのです。

ヤミ金に借りただけで口座凍結(しもひがし法務司法書士事務所)


また、対象となる口座が、振り込め詐欺などで凍結されているかどうかを確認するためには、預金保険機構のブラックリスト窓口で検索することができます。ただし、ここに掲載されるのは振り込め詐欺の事件対策として封鎖された口座が検索できるだけなので、真に銀行のブラックリストに掲載されてしまっているのかどうかは分からないし、問い合わせをしても回答してもらえないということはご理解ください。

振り込め詐欺救済法に基づく公告システム(預金保険機構)


■なぜそんなにブラックリストが急増しているのか?

元々は、ブラックリストは海外旅行やレストラン、ガソリンスタンドなどで利用されるクレジット機能つき銀行カードをスキミングされたり、フィッシング詐欺などで得られた銀行口座と口座名義人からオンラインサイトなどでパスワードアタックをかけ、毎年2,000件から3,000件乗っ取られて違法口座になっていました。

諸外国では偽クレジットカード犯罪のほうが一般的でしたが、日本においてはごく最近までネット銀行でのブラックリストはそこまで多くありませんでした。しかしながら、最近になってインターネット取引においてC2C取引、すなわち個人間取引が増えることで、それに伴って直接ブラックリストの口座からの入金出金をされるケースが激増したことが背景にあります。

日本国内でブラックリストの黒さスコアに関係しているサービスは、オークションサイトや、C2Cサービス、フリーマーケットサービスを経て、不特定多数の個人と金銭を授受することできる仕組みが悪用されている現状があります。
今後、具体的な被害としてこれらのC2Cサービスについては激増して問題になるでしょう。例えば、違法な著作権侵害商品(偽ブランド品販売を含む)や、取り込み詐欺、キャッシュバック詐欺などです。目下激烈に増えているのは「SK-II」などの化粧品や、レゴ、ロボット系の玩具、高給デジタルカメラ、極薄コンドーム、ルンバなどのロボット掃除機が対象となっており、ほぼすべてが中国国内で転売市場があるものです。

一部の提供元不明の出品者については、本来であればC2Cサービス側が試買をしたり、口座チェックを行って、ロジックを回さなければならないのですが、残念なことに、スマホを中心に成長しているとされるサービスほど「泥棒市も座の賑わい」状態になって、完全に違法なグッズの販売が野放しになっています。早く対応しないと名指しで書くよ(10月末ぐらいまで)。この盗品についてはアジア最大の市場として日本が急成長した理由がありますが、その理由は放送でやるか、またいずれ記事にします。

重度の黒いリスト入りをしてしまい、実に覚えが無いのに銀行口座が一時凍結され、しかも本人が実在を名乗り出ているにも関わらず預金保険機構送りとなって口座解約になるケースは、ほぼ50%がこれらのネットオークションかフリマ系アプリでの個人間取引です。その割合はもちろん急増しています。

■暴力団と中華と受け渡し先の関係

不正注文の受け取り先や登録住所を都道府県別でいいますと、割合としては東京都、埼玉県、神奈川県が多く、地域としては明らかに池袋周辺から川口までの一帯と、墨田区台東区から江戸川区葛西までが件数金額で増えているのがわかります。前者はとある暴力団筋がメインとなっており、後者は戦後中華からご帰国された方々のご子弟が活動しておられる地域ではないかと妄想されます。

[[image:image01|center|アレな皆さんがナニをお引取りになる場所をプロットした地図。大半が空き家。]]

これらのグループの不正注文や違法出品のバックグラウンドは明らかに偽ブランド品販売や盗品を捌くルートと一体化しています。以前は店舗系で取り込み詐欺やバッタ屋をやっていたグループが足を洗って以降、その商品の入手ルートがオークションサイトやフリマ系アプリに焦点を絞り、乗っ取った口座を活用して犯罪を繰り返している構造が見て取れるのではないかと思います。

このところの件数が激増した背景には、あまり良く知らないのですが大規模な犯罪組織が先日冷蔵庫に冷やしておいたプリンを食べた食べないで喧嘩になり、仲間割れをした挙句、有象無象が入り乱れ、魔都東京に押し寄せる美術系専門学校や定員割れに悲鳴を上げるFラン大学へ留学してきた特定方面の国民の皆様のネットワークと共に闇市場がアベノミクス状態なのではないかと思われる次第です。

[[image:image02|center|ホークス福岡が多かったのは去年九州で工藤監督ファンクラブ会が頂上作戦されたから。]]

良く考えたら、23時05分からの生放送の時間が近づいてきてしまいました。自宅でのんびり原稿を書いている場合ではなくなってきてしまいましたので、皆さまにはネット取引は修羅への入り口なんだよということを是非覚えて暖かくしてご就寝賜れればと存じます。

最下位からの巻き返しを図る梨田新監督をよろしくお願い申し上げます。