無縫地帯

素晴らしき我らが年金機構の危機管理意識

日本年金機構の不祥事で、いまなお総括が終わっていない状態で新たな漏洩事件や懸念が広がり、ちょっとこれ以上看過しづらい状態に発展しております。

山本一郎です。尿道は膀胱から尿酸が流出の機器であります。

ところで、日本年金機構が壮大な個人情報流出事件をやらかしたのはまだ記憶に新しいところであります。事態が発覚してから約2か月が過ぎましたが、いまだ総括は終わっておらず、ようやくに中間報告のまとめが発表される流れとなっています。

年金情報流出:「責任は機構本部に」内部調査委が報告方針(毎日新聞 15/8/18)

日本年金機構の情報流出問題で、機構の内部調査委員会が「問題の大きな責任は機構本部にある」との内容の報告書をまとめる方針であることが関係者への取材で分かった。
(中略)
機構は20日にも報告書を公表し、厚労省の外部検証委は21日にも、中間報告をまとめて発表する予定。毎日新聞
年金情報流出、厚労省に管理・監督責任検証委が指摘へ(日本経済新聞 15/8/19)

有識者でつくる検証委員会は機構の業務に対する厚生労働省の管理や監督の責任を指摘する方針を固めた。省内で情報を共有できておらず、機構への対応策の指示が遅れたことが被害を広げたとみている。厚労省は週内に公表予定の検証委の報告書を踏まえ、幹部などの処分の検討に入る。日本経済新聞
こうして事前に流れて来る報道を総合すると、年金機構のあり方そのものがダメなのに加えて、同機構を監督する厚労省の対応も同じようにダメだったということになるようでして、予想通りとは言えなんとも情けない事態であります。

で、そろそろ各種報告が公開される期日が近づいたというタイミングで、なぜか申し合わせたようにして新たな年金機構のポカが発覚しております。

年金機構、個人情報をパスワード同封で郵送見直し方針(朝日新聞 15/8/20)

日本年金機構が、厚生年金に加入する会社員などの個人情報をディスクに入れ勤め先に送る際、読み取るためのパスワード(PW)を同封し、普通郵便で送っていたことがわかった。
(中略)
機構によると、事業所を管理するためにつけた5ケタの番号をPWに転用。ディスクとともに、事業所番号を記した紙や、PWは事業所番号だと説明する紙も同封し、書留などではなく普通郵便で送っていた。封筒が誤配されたり盗まれたりすればPWが簡単にわかり、個人情報が大量に漏れかねなかった。
朝日新聞
まあ、これだけガタガタだといろんなところから何事かが起きるのも分からないでもないという感じでしょうか。

で、機構内でもさすがにこれではまずいだろうという話になったようですが、それでもパスワードに事業所番号をそのまま転用するルールはしばらく継続のようです。とりあえず来年度からは変える方針で検討中みたいなことが報道されていますが、それで良いのでしょうか。さらに、ディスクとパスワードを同封して送る方式もまだまだ継続中のようで、そういうやり方を改めることについてはようやく検討に入ったようですね。

なにからなにまで杜撰というか、年金機構という職場では危機管理みたいな考え方が一切放棄されたまま皆で楽しく働いている様子が想像され、非常に清々しい気分になりました。せっかく頭の悪くない大人が集まって組織を作っているのだから、もう少しやりようを考えれば良いのにという想いが募ります。

それにしても、こういうやり方でこれまで大きな問題も起きずに続けてこられた我が国の年金システムというのは余程にラッキーが重なってきたということなのでしょうか。今回不幸にもサイバー攻撃にやられてしまいましたが、ここまでラッキーが続いてきたことを考えると、もしかしたらこれからも我が国の年金システムはツキだけでやっていけるのかもしれませんね(棒)。

ということで、しばらくしましたらまた年金支給におけるゾンビ問題なども当ヤフーニュース個人で取材、掲載してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。