
上杉隆と自由報道協会の件、実は苫米地英人さんへのノーボーダー社買収打診だったでござるの巻
先日、上杉隆に乞われて自由報道協会の会長に就任が発表された苫米地英人さん方面に進展があったというので、お話を伺ってきたんですけどそもそもが上杉隆経営の会社を買収してほしいという打診だったようです。
山本一郎です。ツッコミどころがあれば素直にツッコミを入れるのが私の人生だと思っております。
ところで、先日突然発表された自由報道協会会長就任について、当事者の苫米地英人さんにインタビューをさせていただいた記事を掲載したところ、当事者との話し合いの中でいろいろ進展があったり、苫米地さんのご説明に一部事実関係と違うという指摘があったという話がありました。
上杉隆に乞われ、自由報道協会「会長」に就任した苫米地英人さんに事実関係を伺ってきたでござるの巻(ヤフーニュース個人 15/8/11)
それは当然話を聴きにいくだろうということで、8月14日、都内某所で苫米地さんに再度インタビューをしてみたんですけれども、これはこれで面白かったので読者の皆様にもお裾分け。自由報道協会の理事の方がいうには事務局長である上杉隆さんの辞表騒動もあったりして、ご健勝何よりでございます。いいですね、そういう辞表が出たり引っ込んだり、怒ったり宥められたりする組織。まずは、苫米地さんのインタビュー、ご笑覧いただけますと幸いです。
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苫米地 こんな夜中(山本註:平日の23時)に呼び出してごめんね。
山本 いいんですよ。お家が近所ですんで。
苫米地 このラウンジのキューバの葉巻が大好きでね。
山本 そうなんですね。お元気そうで何よりです。
苫米地 で、本題なんですけど、山本さんの記事が出た直後の8月12日、そもそも俺と上杉くんとの面談が予定されてたわけですよ。
山本 面談が流れたりしたんですか。
苫米地 いやいや。俺と上杉くんで会うと思っていたら、代表理事の大貫(康雄)さんに加えて他の理事さんたちもいらしてですね。
山本 大名行列みたいで素敵ですね。
苫米地 それで、以前山本さんに書いてもらったインタビュー記事の一部が事実誤認だと。
山本 事実誤認?
苫米地 で、訂正してほしいということで、申し入れがありまして。(メモを出す)
山本 ほうほう。(メモを見る)
苫米地 まず、自由報道協会についての話を持ちかけられたのは上杉さんと初対面の時だったと話したけど、実は以前会ったことがあった。数年前に、鳩山邦夫さんのパーティーで会ってて、先日上杉さんと再会するとき「以前鳩山さんのパーティーでお会いしましたね」って皮切りしたのを思い出した。
山本 なるほど、うっかり忘れておられたと。
苫米地 そう。
山本 じゃあ、実は上杉さんとはお親しかったんですか。
苫米地 いや、夕食会で会うまでは全然。以前に会ったのはそれ一回だけ。
山本 そうなの?
苫米地 うん。
山本 その点が事実誤認だったとしても、意味合い的には上杉さんと苫米地さんがさほど親しいわけではないという流れは変わらない感じですかね。
苫米地 それまで上杉くんと俺は親しくなかったのは事実だからね。あと、古賀茂明さんを紹介してもらう場に上杉くんが来たって話をしただけど、秘書や仲介した人は、そもそも俺に上杉くんを紹介する話だったらしい。
山本 そうみたいですね。上杉さんと苫米地さんの会合の場に古賀さんが来たのが事実だったようだ、と他の自由報道協会の理事からも内々でご指摘をいただいていました。
苫米地 俺も毎日いろんな人をいろんなところで紹介されて会ったりしているから、思い違いがあったかもしれない。勘違いをしていたようだから、素直に上杉くんには謝っておいたよ。
山本 まあ、そりゃあしょうがないですね。上杉さんの他の指摘はあるんですか。
苫米地 あとは、そもそもその話し合いの目的は、上杉くんがやっているノーボーダー社を買ってくれないか、ネット放送のスポンサーになってくれないかというもので、自由報道協会の話はたまたま出た話だったと。そのたまたまであるはずの自由報道協会の経営引継ぎが話の主題になったと。これも含めて、ほかにも事実誤認だという指摘がいくつかあったけど、それらは解釈や評価の違い、本質的な問題とは異なるから、いいや。
山本 そうですか。要するに、苫米地さんが自由報道協会の会長であるにもかかわらず、私のインタビューに出演したのが上杉さんの癇に障ったと。
苫米地 そうなのかな?確かに上杉くんは不本意ぽかった。で、俺がオーナーの会社の社長をやっている揖斐(山本註:通称「いびへん」。サイゾーの社長)が「お世話になってる山本さんからの取材依頼だから受けてやってくれ」というので、もちろんそれならばって快諾したんだと伝えた。
山本 平素は大変お世話になっております。
苫米地 それと、記事の文章が、自由報道協会に簿外債務がある可能性を示唆しているとクレームがあった。私の言葉で、「上杉くんが公益社団法人と自分の財布をグレーにしちゃって、彼個人や自身が経営する会社のお金とか人員とかのやりとりが協会との間にあって、それが協会に対する債権という認識があって……というのは可能性としてはあるわけだけど、それがもしファクトとして出てきたら、アウトなわけだし」と言ってる部分が、俺が簿外債務を知ってて、わざわざ守秘義務を破って示唆しているのではと勘ぐる人がいるとクレームがあった。
山本 でも、あくまであの記事は、7月31日の段階で簿外債務の有無などについて上杉さん側からきとんと説明されず、苫米地さんへの引き継ぎの話がまとまっていない段階で、苫米地さんが「もしも、簿外債務が『あったら』どうするか」という仮定の話ですよね。
苫米地 そこで、上杉君の名誉のために言わせてもらうと、8月12日の上杉君との面談に間に合うように、うちの会計士が協会のデューデリの報告書を出してくれたのだけど、会計上の問題はなかった。簿外債務の有無については帳簿に出ないから会計士の範囲外。だから、今の代表理事の大貫さんと、前の代表理事の上杉君に、その場で確認した。その際、はっきりと「自由報道協会には簿外債務は1円もありません」って宣言された。
山本 つまり、上杉さんは「現在記帳・公開されている帳簿以外の債権債務はない」と、代表理事の大貫さんや、他理事に、また苫米地さんや同席した会計士の前でそう仰ったわけなんですね。
苫米地 うん、前代表理事の上杉くんも現代表理事の大貫さんも断言した。だから、俺はいまの帳簿以外のお金の貸し借りは「無い」という前提で、どうやって自由報道協会を引き継ぐのか考えれば良い、という話になりました。
山本 でも、簿外債務というのは当事者が「無い」と宣言したから終了なのではなくて、自由報道協会に対して請求権のある人が当事者の認識の有無に関わらず請求を出してきて初めて発覚するものなのでは。
苫米地 さすがに詳しいね。ただ、M&Aをやった人間からすれば、俺が代表者になり権限と帳簿を引き継ぐ段階で、それまでの帳簿に未記載の金銭授受で請求されて損害を蒙ったら、その時期の経営者の責任となる。その本人達が、会計士さん達もいる場ではっきり簿外債務はないと宣言したから俺にはそれで充分。
山本 無限責任ですからね。大貫さん以下の理事は、保険には入ってたんでしょうか。
苫米地 それは俺の直接知るところではないので、なんとも。
山本 それはそうですね。どちらにせよ、「(自由報道協会に)簿外債務は無い」と大見得を切った以上、後から何か出てきたときのために、当該期間中の理事には個人的に弁済してもらう一筆は貰う必要はあるでしょうね。
苫米地 交渉が落ち着く段取りになれば、それは考えることになるでしょう。
山本 でも、自由報道協会は上杉さんの会社ノーボーダー社と同じ住所にあり、おそらくノーボーダーに間借りしている形になります。自由報道協会とノーボーダー社のスタッフも被っているようにも見えますが、簿外がもしあるとすると大半は上杉さんや上杉さんの周辺の会社への債務なのではないでしょうか。
苫米地 そのあたりはわからないけど、僕は認識が薄かったのだけど、もともと上杉くんとの夕食会が設定されたのは、ノーボーダー社を買ってほしいという話だったと、8月12日の面談のときに上杉くんから指摘されました。なので、自由報道協会の引き継ぎ話と、もともとちゃんと切り分けられていなかったの可能性はある。ただ、法人法上では利益相反関係にあった元代表理事の上杉くん本人が、簿外債務はないとはっきりと宣言した以上、仮定として、万が一、ノーボーダーか上杉君自身が簿外の債権を協会に対して持ってたとしても、それは放棄されたものと認識している。どちらにしても僕は彼を信頼してるから。
山本 そうですね。上杉さんの経営するノーボーダー社は外側からはほとんど価値のある会社に見えないんですが、無償譲渡や取締役の就任依頼とか経営の引き継ぎとか、営業提携といった話ではなく、いきなり売却なんですか。不思議な打診ですね。
苫米地 俺は、その会社の業務内容がいいと思えば、資産性とかは気にしないから、別にそういう打診があってもいいけど。もちろん、金額の話となれば、
買収案件としてノーボーダー社を価値算定する話になるし、俺にはサイゾーをはじめいろんな財団や株式会社を持っているから、そういう事業を受け持ってもらっている社長とも議論して、上杉くんが手がけている事業の価値を調べて判断しなければなりません。実際買収をやるにしても、それなりの時間はかかると思うんですよ。
山本 それはそうですね。
苫米地 あくまで、公益社団法人である「自由報道協会」という本当の意味での公益性のある、社会に意義ある活動をする団体の経営を見てほしいという話と、メディア企業であるノーボーダー社の事業を買収してほしいという話は、私にとっては、評価の仕方も含めて完全に別な話。
山本 まあ、ノーボーダー社を買ったら買ったで興味本位的には面白そうですが、質問が一個あります。
苫米地 なんでしょう。
山本 そもそもなぜ自由報道協会の経営を苫米地さんに面倒見てほしいというオファーが上杉さんからあったんでしょう… 簿外債務が無いと断言されてその通りであれば、もともと自由報道協会は経営難ではなく、寄付や事業収入で身の丈にあった活動をしている分には、それこそ善意をパワーに何世紀も続けられるローコスト団体のように帳簿からは見えるんですが。
苫米地 俺の理解は、上杉くんは、経営業務から離れて、ジャーナリスト活動に専念したいということだと思うけど。だから、自由報道協会の経営も面倒見て欲しいし、ノーボーダーも買って欲しいという話なのでは、と感じました。ただ、ノーボーダー社を買って欲しいという話だったことは、当初は全く理解してなかった。自由報道協会は知ってたけど、ノーボーダー社は知らなかったから。さっきも言ったけど、俺にとってはこの二つは全く別な案件だし。もちろん上杉くんの提案にはいくらでも耳を傾けるけど。
山本 んー、なんでしょう、この話全体から伝わるto be continuedな雰囲気は……。
苫米地 俺は過去には興味はなくて、未来しか見てない。既に会長というポジションだし、上杉君も大貫さんも、俺が自由報道協会の経営を見ていくというのは、希望していることだと今回の面談でもよく分かったから、協会の未来については、今後も色々アイデアを絞っていくつもり。山本さんも協会内部や周辺から情報を集められる立場にあるんだから、いろいろ教えてね。
山本 ええー(白目)