無縫地帯

動画サービスが色々と注目されていますが運営は大変そうです

携帯端末向けの大容量通信が当たり前になったいま、動画広告などベースとなる仕組みが多数出てきてしのぎを削る状態になりそうです。

山本一郎です。昔は動画サイトや広告とか興味あったんだけど、膝に矢を受けてしまってな。

ところで、ネットでもこれからは動画が主流になるぞという掛け声が様々な方面から聞かれる昨今です。

特に広告分野は動画を利用した手法に期待が集まっているようで、様々な事業者があの手この手の奇策を投じてきております。

Google、YouTubeの360度動画広告をスタート(ITmedia 15/7/23)

米Googleは7月22日(現地時間)、YouTubeの360度広告動画を発表した。
(中略)
Googleによると、既に米Coca-colaや米Nikeが360度動画広告を放映しており、そのキャンペーン結果は好調だという。例えばCoca-colaがボトルデザイン100周年記念に公開した360度動画広告は、標準的なインストリーム動画広告よりビュースルーレートが36%高かったとしている。ITmedia
360度パノラマ動画そのものが目新しいうちは、たとえ広告でも好奇心から誰もが見てくれるかもしれませんが、一度見慣れてしまった後では、よほどの面白い作品でなければこうした特殊な視聴環境が必須となるものは却って不利になるのではないかと感じるのですが、どうなんでしょうか。思惑通り「YouTube広告での顧客エンゲージメントを深める手段」になるといいですね。

Facebookも動画広告向け施策を色々と開始しています。

Facebook、動画広告を10秒視聴すると課金されるCPV課金を発表。動画アナリティクスも公開。(movieTIMES 15/6/30)

米Facebookは動画広告にてコストパービュー(CPV)課金の試験的運用を始めたことを発表しました。また同月26日には、動画の平均再生時間など動画のパフォーマンスを確認できる動画アナリティクスの公開も発表しました。
(中略)
さらにFacebookは動画のトラッキングを強化し、アルゴリズムに反映させる旨も発表しています。
(中略)
ユーザーが動画に対して「シェア・いいね!・コメント」をしなくとも、フィードが最適化され、ユーザーが好むであろう動画がさらに表示されるようになったとのことです。movieTIMES
事業者が率先して動画広告を展開したいと思わせるような下地を着々と積み上げていってる感じですね。まあ、問題はエンドユーザー側が常に動画広告を見たいと思っているのかどうかという部分はあまり考慮されていない点でしょうか。きっと皆動画広告が見たいのでしょう(棒)。

一方で、エンドユーザーが自ら視聴したいと能動的でなければ成立しないのが有料動画配信サービスでありますが、こちらもなかなか商売としてやっていくのは大変だなという調査結果が出ていて興味深いものがありました。

有料動画配信サービス、利用者の4人に1人は「乗り換えてもいい」(RBB TODAY 15/7/23)

有料動画配信サービスを利用している人(n=99)に「利用のきっかけ」を聞いたところ、「視聴したいコンテンツがあったから」が最多の61.6%。以下「無料トライアルがあったから」20.2%、「いつでも好きな動画を視聴できるから」12.1%が続いた。
(中略)
さらに「既存サービスの継続利用」について聞くと、「今後も現在のサービスの利用を続けていきたい」44.4%がトップながら、「良いサービスがあれば乗り換えてもいい」26.3%、「もし他に魅力的なサービスがあれば併用したい」25.3%がそれぞれ存在した。4人に1人はいつでも乗り換える意向がある状態で、特に30代は37.5%と高い数値を示した。RBB TODAY
エンドユーザーからすれば当たり前なんですが、現在利用しているサービスでも視聴したいコンテンツがなければ、どんどん他サービスに乗り換えるということですね。

運営側がいくら自社サービスのブランド力みたいなものを高める努力をしようが、結局は面白いコンテンツを押さえることができなければ勝負はおしまい。しかも、これは意外でしたが、客寄せでいくらかは有効かと思われていた無料トライアル施策も実はそれほど決定打にはなっていなかったという数字が出ているあたりでしょうか。

最近では、巷で再び噂のNOTTVもいろんな話があるようです。

今やNTTドコモの「お荷物」に当期純損失503億円、NOTTVまたも大赤字(J-CASTニュース 15/6/29)

NTTドコモとテレビ局などが出資している「NOTTV」を運営するmmbiが苦戦している。2015年3月期も赤字決算となり、営業損失が28億円、当期純損失も503億円にのぼった。J-CASTニュース
9期連続赤字ということですが、なんかある意味で新国立競技場状態になっていて遺物感もある一方、ちゃんと動画広告の潮流が捉えられるのであれば一発逆転というかちょっとした黒字転換ぐらいまでならどうにかなるんじゃないかと感じます。

それもこれも、やる気次第なんでしょうけれども、ぜひ前向きにあれこれ進めていっていただきたいと強く願う次第です。