出産シーンの放映は「産めない女性に配慮がない」のか?
お笑いトリオ「森三中」大島美幸の出産シーンがテレビで放送されるにあたり、一部メディアではこの企画に対して「産めない女性に配慮がない」などの意見があるされてましたが、どうみても言いがかりのようです。
山本一郎です。趣味は子育てです。
話題になっていたお笑いの森三中の大島美幸が、CCDカメラをつけて出産をシーンを撮影、これをテレビで放映するようです。
私も父親として出産に3回立ち会い、三兄弟のどの出生の瞬間も自分の人生にとってかけがえのない財産になりました。頑張った家内や無事に生まれてくれた息子たちには感謝の気持ちでいっぱいです。
なので、そういう嬉しい瞬間を多くの人に観て欲しい、幸せを分かち合いたいという気持ちは分かります。見ようによっては、芸能人が究極のプライベートを切り売りしているという穿ち方もあるのでしょうが、それ以上に誰しもこういう瞬間が出産にはあるわけで、感激や幸福そのものですから、それをコンテンツにして放送しようというのは実に見上げたプロ根性だと感じるわけですね。改めて「おめでとうございます」と言いたいし、何よりも無事に産まれてよかったなと凄く思います。可能性はとても低いとはいえ、悲劇であってはしゃれになりませんから。
ところが、どうもこの辺の話がメディア経由だと別の角度からのネタになるようです。
「産めない女性に対して配慮がない」森三中・大島の出産シーン放映に非難殺到(アサ芸プラス 15/7/2)
「出産まで芸にするのは気持ち悪い」森三中大島の出産シーンテレビ放映に疑問の声(J-CAST 15/6/30)
馬鹿なんじゃないの。
出産シーンの放映をやることが不謹慎だ、配慮がないとするならば、子供番組も大家族ネタも子供のいない家庭に対する配慮がないことになりますね。もちろん、いろんな立場の人が視聴者にいることは間違いないでしょう。そういうすべての人たちが満足するようなコンテンツではないのは分かります。しかしながら、ある日常的な問題でコンプレックスを抱えている人が、それを刺激する一般的なことで苦痛だから配慮しろというのは筋違いです。薄毛に悩んでいる人が、剛毛の出演者を見て「配慮しろ」ということほど物悲しいものはありません。
おそらくは、感情面で「嫌だ」「見たくない」となるのでしょう、それは分かります。ただ、それを「配慮がない」「不謹慎だ」と展開させて、自分の感情が世間一般からすると正論・正義であるかのように衣替えしてしまうのは如何なものかと思うわけですよ。これが、単純に「子供が産めない女性に価値はない」とテレビ局やキャストが伝えたくて出てきた映像ならともかく、単純に出産の感動を視聴者と分かち合う企画だったからに過ぎないでしょうから、もうちょっと穏便にならないものなのでしょうか。
やはり芸人というものはある種「生き様を見せてこそ芸」とも思うので、ここは子供の教育方針を巡って夫婦喧嘩するのを必死で止めるご子息のドキュメンタリーなどやっていただければと思います。よろしくお願い申し上げます。