無縫地帯

親がIT音痴でも子供はスマホでインターネット

子どもたちの間でスマートフォンの普及が急拡大しています。それまで高校生のスマホ所有率が一桁%だったのが、いまでは6割近くに。大人の知んうちに子どもがネットにぶら下がっているが故の問題もさまざま。

山本一郎です。漢字のほうが分かり易いということのようなので、山本一郎です。

NHKがこの週末、青少年のスマホ利用実態に関する内閣府調査の結果を報道していました。

スマホ所有率 高校生は56%に(NHKニュース 2013/3/31)

スマートフォンを所有している割合は、小学生がおととしの0%から8%に、中学生が5%から25%に、高校生が7%から56%に、それぞれ大幅に増えていて、スマートフォンが去年1年で青少年にも急速に普及していることが分かりました。
高校生のスマホ所有率がそれまで1割に満たない状態だったのが、たった1年の間に6割近くに増えるというのは、あまりにも極端な成長率で驚いてしまいます。中学生も4人に1人がスマホを使っているということですが、こちらも来年には軽く過半数を越えることは間違いないでしょう。

また、他の報道媒体でもこの話題を取り上げていました。
青少年、スマホでトラブル61%利用者は急増、内閣府(47NEWS 2013/3/28)
青少年のスマホ急増=有害サイト対策課題―内閣府調査(WSJ.com 2013/3/28)

ただ、この数字、以前にもどこかで見たことがあるなと思っていたら、やはり1月末には内閣府が速報として情報を公開しており、すでにかなり細かい数字を記事にしているサイトがありました。

高校生の6割がネット上のトラブルを経験…内閣府調べ(リセマム 2013/1/29)

こちらの記事を見ると、スマホの所有率もさることながら、青少年によるPCとインターネットの利用率が高いこともわかります。

パソコンの使用率は、小学生が81.9%、中学生が85.7%、高校生が85.4%にのぼる。パソコンを使用する青少年のうち、小学生の94.5%、中学生の96.1%、高校生の98.2%がインターネットを利用していることから、インターネット利用の常態化がみられる。
つまり、小学生でも全体の8割近くがPCでネットを利用するのが当たり前の時代になっているということです。

一方で、保護者のネット利用率がどれほどなのかこの記事からはわかりませんが、ネット上でのトラブルについて「高校生では、保護者の認識が青少年の実態を下回る傾向がみられた」、また、スマホの無線LAN利用についても「中学生と高校生では、保護者の認識が青少年の実態を下回る傾向がみられた」という報告があり、保護者が状況に追いつけていないこともわかります。

また、上であげたWSJ.comの記事にもありますが、携帯端末向けフィルタリングの利用率は6割程度で、スマホに関しては5割を切るという数字が報告されています。今日、一般に市販されているスマホのほとんどはペアレンタルコントロール機能などが標準で搭載されていたり、キャリアがオプションでフィルタリング機能を提供していたりするわけですが、そういうものを保護者側が理解して利用できていない可能性も考えられます。

いわゆる「デジタルネイティブ」などという言葉もありますが、子供が何の苦労も違和感もなく、どんどんPCやスマホを使いこなしていく一方で、保護者がデジタルデバイドに悩み、子供が何をしているのかもわからないという社会状況はしばらく続くのかもしれません。

ちなみに、ほぼ同じタイミングで、米国の未成年者によるデジタル機器の利用・所有傾向レポートが出ていました。

スマートフォン所有率は37%…米未成年者の携帯電話やスマートフォンの所有状況をグラフ化してみる(Garbagenews.com 2013/4/1)

この1年で携帯電話全体の保有率はほとんど変わらないが、スマートフォンに限れば14%ポイントも上昇している。12-17歳に限定してもスマートフォンの急速な浸透ぶりは目覚ましいものがある。
統計のとり方が違うので単純には比較できませんが、やはりスマホの所有率は上がっていることがわかります。

まあガラケーもネットに繋がってて当時は「poorman's PC」(貧乏人のパソコン)と呼ばれていた状況から一歩でも二歩でも先に動いているのは喜ばしいことと言えます。一方で、リテラシーをちゃんと考え、法的枠組みのとっとと追いつかないと被害実態は減らないということの証左でもありますね。