無縫地帯

Googleと欧州の戦いはどこまで延焼するのでしょうね

EUがかなり本腰でインターネットにおけるアメリカの影響を中立化しようと頑張っている節があります。多国籍企業の税制、忘れられる権利、著作権、情報保護といった各分野での衝突はどうなるのでしょうか。

山本一郎です。圧力を感じたことがあまりありません。

ところで、以前からEUはGoogleに対して色々と圧力をかける動きを見せてきたのですが、遂に検索事業について独禁法違反容疑で異議告知書を送付するという事態に発展しました。

EU、Googleに検索事業に関する異議告知書送付Androidの調査も開始(ITmedia 15/4/16)

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は4月15日(現地時間)、米Googleの検索サービスについて、EU競争法(独占禁止法)に違反した疑いがあるとして同社に異議告知書(Statement of Objections)を送ったと発表した。
(中略)
EUが提訴してGoogleが敗訴すると、Googleには直近の年間売上高の10%に相当する罰金が科されることになる。2014年のGoogleの総売上高は660億100万ドルなので、約66億ドル(約7900億円)ということになる。ITmedia
また同時にEUはスマホOSのAndroidについても独禁法違反容疑の正式調査を開始するそうです。こうしたEUの動きは一体何を意味しているのか。ウォール・ストリート・ジャーナルのコラム記事では以下のように論考されています。

EUがグーグルを標的にする5分野(ウォール・ストリート・ジャーナル 15/4/15)

デジタル革命に取り残されたと感じ、製造業や自動車分野でシリコンバレーに出遅れることを恐れる欧州の当局は「全てのデジタル企業に公平な競争環境」を作るためとして、あらゆる方面で立法措置に動いている。ウォール・ストリート・ジャーナル
同記事によると、EUは独禁法以外にも、「税制」「忘れられる権利」「著作権」「情報保護」の各分野についてGoogleへ戦いを挑んでいると説明しています。そして、こうした事柄はEUに限らず世界各国が直面しつつある課題でもあります。もちろん我が国も例外ではありません。残念ながらネット上からはすでに記事が削除されてしまっているのですが、読売新聞は2月25日に「政府が対グーグル戦略策定へ…市場独占に歯止め」という見出しで以下のような内容を報じておりました。

政府が、ICT(情報通信技術)分野で世界的影響力を強める米グーグルに対抗する戦略づくりを進めていることが24日、分かった。
(中略)
政府は、〈1〉グーグルに対抗しうる企業の育成・支援に向けた取り組み〈2〉グーグルによる市場独占を防ぐための法規制のあり方〈3〉ICTサービスの利用履歴などの個人情報保護に向けた方策――をテーマに、今夏をメドに戦略の方向を固める。
はたして、こうした政府の掛け声が功を奏することができるのかどうかはまったく分かりませんが、あの過去の「情報大航海プロジェクト」の失敗だけは繰り返さないようにしたいものです。EUの戦いを手本にしつつ、我が国ならではのやり方を模索したいところです。

なお、Googleに対する反動は当然ながら同社お膝元の米国でも起きています。

米グーグル競合各社、アンドロイドの調査を米当局に要請=関係筋(ロイター 15/4/16)

関係筋によると、ライバル各社は、グーグルが「アンドロイド」が持つ支配的な地位を乱用し、オンライン広告で有利になるようにしていると主張。少数のハイテク企業が米司法省に苦情を申し立てたという。ロイター
いずれにしても、EUでの一連の争いの結果はその後他の地域へも広く影響を及ぼすであろうと思われます。今後の成り行きを注視したいところです。

やはりここはTizenが普及するのが解決策として一番良いのではないでしょうか。ドコモの英断が世界的に待たれる次第です。