諸行無常、どんなサービスもいつかは終わる覚悟で利用しましょう
”一生使える100年メールサービス”と銘打ってスタートしたau oneメールが、KDDIの手によってサービスが終了するという諸行無常というか諸業務上の問題が発生していました。
山本一郎です。先日は、雲の上にある皆既月食をイメージしながら禁酒しておりました。
ところで、残念なことではありますが、世の中全ての何一つ未来永劫に続く保証はありません。また宇宙の摂理として我々が住むこの地球でさえも、いずれその終わりが訪れることは間違いありません。まあ、その時がいつになるのかは神のみぞ知るというところでありますが、自分が生きていないであろう遠い将来のことを考えていると、いかに自分がちっぽけな存在であるかに思い至り、やっていられないので酒を飲むような生活から早く脱却したいと思って少しの期間禁酒することにしました。
当然ながら、ネットで提供される種々のサービスにも終わりはやって来ます。終了する理由は色々とあるでしょうが、事業者としてはユーザーの皆さんに納得していただける形でサービスを終わらせることも、また大切な仕事の一つであると思います。できれば多くの人に惜しまれつつ遺恨を残さない形で終わらせることができればベストでしょう。
その辺り、あまりユーザーの気持ちを斟酌することなくサービスを終わらせることに長けているのがGoogleかもしれません。少し古い話になりますが、RSSリーダーサービス「Google Reader」をあっさりと終了して世界中の少なからぬユーザーを路頭に迷わせた件などはなかなかに象徴的でした。
Google Reader終了の件、RSSはそろそろ終わりなんでしょうか?(13/3/15)
さすがにGoogleも一番メインであるはずの検索サービスを突然やめるということは今のところ無さそうですが、これにしてもある日そういう未来がやって来たとしても実はあまり不思議じゃないといいますか、ネットは諸行無常であるという空気を匂わせつつ多様なサービスを提供しているのがGoogleの強さであり怖さでもあるように思います。
また、一時期はバブルのような状態であった電子書籍ビジネスにおいても、突然電子書籍スタンドが廃業と共にライセンスが紐付けられていた電子書籍が一斉に読めなくなる可能性が出てきて騒ぎになったりもしました。なかなかどうして世の中は素敵な悲鳴で満ちているのだなと感じるわけであります。
一方で、「一生もの」と訴えかけ、サービスが未来永劫続くことを思わせてユーザーを取り込もうとする事業者もいます。これまた古い話になりますがこんな事例がありました。
au one メールは「一生つきあえる100年メール」――KDDIの高橋氏(ITmedia 07/7/30)
なかなか素晴らしいアイディアでしたね。これが実現されていれば、さらに素晴らしかったわけですが。
KDDI、「au one メール」を2013年9月末に終了(ITmedia 12/12/6)
100年以上使えるはずでしたが実際には6年しか使えませんでした。さすがにこれはどうなっとるんだ高橋誠。大見得切っておいていきなりやめやがって、高橋不誠に改名しろ。感情論はいろいろと浮かぶところではありますが、別にそのサービスの利用者でもない私が怒る筋合いもないということで心を穏やかにしたところで、もちろんこうなってしまったのには色々な事情もあったことでしょうが、一生使えると信じて利用していた人達は困ったんじゃないでしょうか。
似たような事例として、つい最近もこんな話が。
【重要】専修大学生涯メールアドレスサービス』終了について(専修大学)
この度、専修大学校友会では2015年3月22日(日)をもちまして、「専修大学生涯メールアドレスサービス」を終了させていただくこととなりましたので、おしらせいたします。専修大学実際に利用されていた方がこの件をブログに書かれていました。
ショック!生涯メールアドレス終了(みかおばさんのブログ 15/2/10)
こちらのブログ記事の日付から察するに、同サービス終了の通知は約1か月前にメールで行われたようですね。生涯使えると思っていたユーザーからすれば、これはまさに青天の霹靂であったかもしれません。
この件では以下のような情報もありました。
専修大学「生涯メールアドレス」を終了、Yahoo!メールAcademic Edition終了が理由?(Slashdot 15/4/3)
このサービスは2010年(平成22年)より始まったようだが、「生涯」とはいかず、5年でのサービス終了になってしまった模様。なお、このサービスはヤフーが教育機関向けに提供していた「Yahoo!メールAcademic Edition」を使用していたが、Yahoo!メールAcademic Editionは2016年6月を持って終了されるようで、これの影響ではないかと思われる。Slashdotネットで「一生」や「生涯」などの謳い文句で長期提供を掲げるサービスはだいたい10年もせずに終わってしまうものなのでしょうか。おそらく、専修大学校友会としては国内大手ヤフーが提供するものだからまさかそんなに早く終わってしまうとは想像だにせず、気軽に利用を始めたのかもしれないですね。Yahoo!メールAcademic Editionは無償で提供されていたようですから、いざこちらが終わるからといって同じ条件で他事業者に乗り換えるのは決して簡単なことではないでしょう。Wikipediaを見ると、同サービスを利用してメールシステムを導入している学校は他にもあるようですが皆さん大丈夫なのでしょうか。
Yahoo!メール Academic Edition(Wikipedia)
ヤフーにしてもGoogleにしても、またその他が提供するものでも、サービスが永久に継続する保証はどこにもないと肝に銘じて使うことがまずは大切ですし、そこで「一生」や「生涯」「永久」といった甘い言葉にだまされることがないようにしたいものです。
まあ、私は一生誠実に生きていくつもりなんですけどね。