メロディが違っていても雰囲気が似ていれば盗作らしい
著作権侵害で9億円もの巨額の損害賠償を払うことになった大ヒット曲を巡って、「盗作認定」にまつわる興味深い事情が出てきております。
山本一郎です。本名が盗作気味です。
ところで、芸能界の揉め事、それも海の向こうの話になるとさすがにあまりよく分かりませんが、著作権侵害で罰金が740万ドル(約8億9800万円)というのはさすがに穏やかではありません。
米陪審、マービン・ゲイの曲盗作でR・シックとP・ウィリアムスに賠償命令(時事ドットコム 15/3/11)
2013年の大ヒット曲「ブラード・ラインズ~今夜はヘイ・ヘイ・ヘイ♪」が著作権侵害にあたるとして、米歌手マービン・ゲイの遺族が歌手ロビン・シックと同ファレル・ウィリアムスを相手取り訴えを起こしていた裁判で、陪審団は10日、被告らに740万ドル(約8億9800万円)の支払いを命じる評決を下した。ここだけ見ると凄い話ですね。なるほど、1曲のヒットでこれまでに20億円もの収益があったという話ですが…世界で売れるとやはり規模が違いますね。ところで、盗作であるなら全額近くが没収されてもおかしくないだろうと思っていたところ、以下のような記事がありました。
(中略)
ゲイの遺族らは2年前に同曲がリリースされて以降の収益、約1650万ドル(約20億円)の一部を支払うよう求めていた。
時事ドットコム
あの世界的ヒット曲は盗作… 歌手ロビン・シックとファレルが敗訴(シネマトゥデイ 15/3/11)
著作権侵害は意図的ではなかったとの判断から、法定損害賠償の支払いは免れたようだ。シネマトゥデイ意図的でなかったということは、本人が気付かないうちに盗作してしまったということが証明されたということなのでしょうか。それにしては記事によると訴えられた側は全くそういうことを認めてないようです。
判決後ファレルの代理人は、「あの曲は心と精神と魂を込めて作った曲で、他人から盗んだものではありません」とコメント。裁判内容を見直し、今後のことを検討すると言っているため、控訴する可能性もあるようだ。シネマトゥデイこれは判決に対して全然納得していないようですね。では一体誰がどのような根拠で「著作権侵害は意図的ではなかった」という判断を下したのかも興味がわくところです。そうしたところが今度は以下のような記事がありました。
「ブラード・ラインズ」著作権侵害訴訟、ロビン・シック&ファレル側が敗訴「恐ろしい前例になる」(bmr 15/3/11)
この裁判の最大の争点は、パーカッションやボーカルなどサウンドを構成する要素が、“作曲”に含まれるか、そして著作権者の権利に含まれるかどうかという解釈にあった。bmrどうも話が込み入っていて分かりにくいのですが、どうやらこの裁判では問題となっている曲のメロディーは似ていないが楽曲全体の雰囲気が似ているので盗作であるということが問われたようです。マジですか。上記記事にはYouTubeへのリンクがあり当該2曲を試聴できるようになっているのですが(これはこれで実は著作権侵害の可能性ありそうですが…)、私の耳で聴いても確かに雰囲気は似ていますね。ただメロディーが同じかというとよく分かりませんが、違うんじゃないでしょうか。でも雰囲気が似ているので盗作であるという意見で陪審団は満場一致したそうですから、そういうことなのでしょう。
面白かったので似たような事例が他にもあるかと検索してみたところ、少し前にも世界的に大ヒットした楽曲が同じようなパクリ疑惑で揉めていたようでして、この手の話は結構たくさんあるみたいですね。
グラミー賞4冠のサム・スミスにパクリ騒動。曲が似るのはイケナイこと?(女子SPA! 15/2/16)
サム・スミスの「Stay with me」がトム・ペティの「I won't back down」('89年)に酷似しているとの指摘があり、スミス側が印税の支払いに応じるというニュースが報じられました。女子SPA!それにしても、今後は楽曲のメロディーが違っていても全体の雰囲気が似ていれば盗作という判断が下される可能性が出てきたようです。日本の歌謡曲などは昔から海外のヒット曲のパクリみたいなアレンジが多かったりしますけれど大丈夫なんでしょうか。
岡田斗司夫さんのご意見をぜひ伺いたいと思っております。