自動運転車の実用化がますます現実に近づきつつあるようですが気になることも増えてきそうです
そろそろ自動車の自動運転も実現が視野に入ってきて、セキュリティ問題を中心に懸念されるべき内容も具体的になってきました。上手く乗り越えて便利な世の中になって欲しいものです。
山本一郎です。いつも思うんですが、仕事帰りとかで凄い酔っ払っても、次の瞬間気づくと自動運転で自宅に帰って用を足して風呂に入って歯を磨いて寝巻きに着替えて布団かけて寝てるんですよね。これは自動運転の真の姿ではないでしょうか。車に限らず、泥酔自動運行というかマインドワープみたいなものを早く実装して欲しいと思います。
ところで、いくつかの観測報道を信用するとすれば、自動運転車を利用した交通サービスの将来的な発展を見越してGoogleとUberが激しい争いを演じることになるのかもしれません。
Google、自動運転カーの配車サービスを開発中――Bloomberg報道(ITmedia 15/2/3)
米Googleが、開発中の自動運転カーによる配車サービスを準備していると、米Bloombergが2月2日(現地時間)、Googleが出資する米Uberの取締役会に近い筋の話として報じた。Uber、自動運転タクシー研究センターをピッツバーグに建設―無人交通でGoogleと戦争か(TechCrunch 15/2/4)
(中略)
Uberの取締役会は現在、競合となるGoogleのドラモンド氏に取締役退任を要請することを検討しているという。
情報源によれば、Uberはカーネギー・メロン大とその傘下の研究所、National Robotics Engineering Center,から50人以上の上級研究者をスカウトしたという。 カーネギー・メロンはNASAの火星探査機、Mars Roverの開発など多くの有名なロボット・プロジェクトで知られるが、当面この件に関するコメントを避けた。 情報源によればUberは「Robotics Instituteを空にしてしまった」という。TechCrunchGoogleが自動運転車の開発に長年注力しこれまでに多くの成果を上げてきたことは今さらここで説明するまでもないでしょうが、ここに来てUberが大量の技術者を引き抜いて真っ向からGoogleに対抗する気合い十分といったところでしょうか。自動運転車そのものの技術で先行するGoogleが有利なのか、それとも既に配車サービスで実績を上げデファクトの座を築きつつあるUberが有利なのか、しばらくは事の成り行きをじっくり観戦したいと思いますが、こういう露骨な争いが生じるほどに自動運転車の実用化は進んでいるということなのでしょう。
しかし、車のIT化が進むということに関しては、一方で気になる事態もじわじわと発生しております。
BMWのネット対応車にロック解除などリモートアクセス脆弱性、220万台に影響。パッチ配信中(Engadget日本版 15/2/3)
BMWグループが、車載通信システム ConnectedDrive の脆弱性を修正するアップデータを配信しました。まあ、これだけ自動制御された車が出ますよ、ネットに繋がって操作できますよとなれば、当然脆弱性を突かれる可能性はマキシマムになりますわね。
アップデートしていない場合、偽の携帯ネットワークを使ったリモートアクセスにより悪意のある第三者がドアロック解除やエアコン操作、位置情報の確認などができてしまうおそれがあります。Engadget日本版
プログラムのセキュリティに脆弱性が発見されたという、IT機器にはよくある話でもありますが、自動車という環境において外部からサイバー攻撃される可能性が生じたというのは(予測はされたものの)新しい事態と考えて良いでしょう。幸運なことに、この脆弱性を攻撃するためには「大掛かりな準備が必要になり、現実的ではない」ということであり、「ステアリングやアクセル・ブレーキなど運転機能自体は隔離されており影響を受けない」ということから、大事故に至る可能性は極めて低いようです。
しかし、今回のBMWの件から予測できることは、今後自動車においてIT機能の連携範囲が広がれば広がるほど、セキュリティ脆弱性にまつわる不安要素も増加することは否定できないということでしょう。とくに恐ろしいと感じるのは、今後自動運転車などが社会の中で当たり前のように普及した後、それまで安全と考えられ多くの車両に採用されたプログラムの中に致命的なゼロデイの脆弱性が発見されてしまうことです。ここ最近のFlashにおける相次ぐゼロデイ脆弱性へのサイバー攻撃の事実を見ていると、そうした不安が単なる杞憂でしかないとは言いにくいところです。
Flash Playerにまたゼロデイ攻撃、未解決の脆弱性を悪用(ITmedia 15/2/3)
米Adobe SystemsのFlash Playerにまた新たな未解決の脆弱性が見つかり、Adobeが2月2日にセキュリティ情報を出して注意を呼び掛けた。この問題を突く攻撃の発生も伝えられている。Flash Playerには1月下旬にも同様のゼロデイの脆弱性が相次いで見つかり、Adobeが臨時パッチを公開して対処したばかりだった。ITmediaとくにサイバー攻撃がテロの一環として利用されるようになってきたことを考えると、自動車のような直接的な人的被害が及ぶ環境でのIT利用は慎重に慎重を期すべきところですが、自動運転車が普及した後にFlashと同じことが起きてしまうとすれば、それは悪夢としかいいようがありません。今からびくびくしていても仕方ないことですが、安全対策は何重にも講じてもらいたいものです。
酔っ払いの転倒防止も安全対策の中に含まれる未来技術は確立するのでしょうか。転んだらエアバッグがボーンと出るとか。