動画配信サービスNetflixが日本へ進出するようですね
英語圏でネット動画配信ビジネス大手の「netflix」が日本上陸し、今秋にもサービス開始という話が出ておりまして、業界環境がどのように変わるのか興味津々であります。
山本です。東京に戻ってきたら、拙宅の猫ちゃん姉妹がからすとの激闘を展開しておりました。毛とか羽とかが散乱するのでもう少し仲良くしていただきたいと願う次第です。
ところで、米国で業績が好調な動画配信サービス大手「Netflix」が日本市場への進出する意向であることを発表しました。
NETFLIX、今秋に日本でサービス開始--日本支社も開設(CNET Japan 15/2/5)
米国で動画配信サービス「NETFLIX(ネットフリックス)」を運営するNETFLIXは、2015年秋に日本でのサービスを開始すると発表した。料金、番組内容、サポート機器などの詳細については、後日発表するとしている。CNET Japanかねてから噂にはなっており、特定の代理店の偉い人が「今年はこれで勝負をかける」と息巻いていたのに途中で上陸パートナーから外されて轟沈している姿が業界関係者の瞳を潤ませております。ご愁傷様です。
この発表についてはかなり周到な準備がなされていたようで、英語のプレスリリースが同社広報サイトへ公開されると同時に、同リリースを日本語翻訳したものもPRサービスを通じて公開しております。
NETFLIX TO LAUNCH IN JAPAN THIS FALL(Netflix 15/2/4)
NETFLIX (ネットフリックス) 今年秋に日本へサービス開始(共同通信PRワイヤー 15/2/5)
また、驚くことに、NetflixのWebサイトへアクセスしようとすると、IPで判断しているのでしょうが自動的に日本語サイトへ飛ばされるようにまでなっています。
NETFLIX
いつでもどこでもテレビ番組や映画を視聴。日本からアクセスすると、まだサービスそのものは開始されていないのにもかかわらず、用意された日本語ページへ飛ばされてメールアドレスを要求されるということでは、やはり海外で人気の音楽ストリーミングサービス「Spotify」が思い出されます。
日本で近日中にご利用いただけるようになります。
Netflixが利用可能になりましたらメールでお知らせします。
メールアドレスを入力してください。NETFLIX
日本でのサービス利用は現在準備中です!(Sptify)
しかし、Spotifyがもうずいぶん長い間「準備中」のまま埒があかないような状況です。それに較べればNetflixは漠然とながらも「今年秋」と公言しているだけに、かなり具体的な準備が進んでいると推測していいのかもしれません。まあ、実際には蓋を開けてみなければ分かりませんが。
で、ネット民の反応を見ていると、このNetflixの日本進出という話題に対する食いつきは悪くないようです。業界関係者などの反応も目立ちますし、メディアコンサルタントの境治さんも、同件が発表されるやいなや長文の論考記事を素早く公表されております。
今年秋、上陸決定!Netflixは黒船なのか?VODの進路が日本のテレビの将来を左右するかもしれない(アドタイ 15/2/5)
お、おう。
こちらの記事、日本国内におけるVOD市場の現状や、Netflix急成長の背景、今後のVOD市場動向の可能性などをかなり分かりやすく書かれた良記事ですので、まずはこちらを読んでおけばしばらくはOKかと。昨年日本テレビが買収した同様な米国発の動画配信サービス「Hulu」が実は好調だという話などもかなり興味深いです。
そして気になるのがhuluです。日本テレビが買収して話題を呼びましたが、果たして会員数は伸びるのか。公式情報はありませんが、“信頼すべき情報筋”から得た話では、伸びているそうです。かなりしっかりと。業界では“越えなきゃならないライン”はこれくらいだと言われている数字が噂されていますが、いまのペースだとこれから半年以内に到達するのではないでしょうか。アドタイこの場を借りて汐留テレビの悪口を申し上げるのはやめてさしあげたい気持ちで一杯です。
さて、米国におけるNetflixの立ち位置なんですが、境さんの記事中では触れられていませんが、実はあまりの事業好調がかえって禍しているという側面もあるようです。
米オバマ大統領を巻き込むネットワーク中立性とは(ITpro 15/1/7)
ネットワーク中立性の議論は昨今、急に起こり始めた話ではない。2005年のVoIPトラフィックをめぐる規制議論、2007年ごろから数年にわたって続いたP2Pトラフィックをめぐる規制議論につづき、今回で3回目だ。いずれのタイミングでも、ISPの設備投資を超えるペースで大容量のトラフィックが発生し、かつそれが成長し続けているという点で共通していた。特に今回は、北米のトラフィックの30%超をNetflixの動画配信トラフィックが占めるという事態が引き金となった。ITpro要は、あまりにも皆がNetflixを利用するためネットの帯域が圧迫され、その結果ISPへの負担が大きくなっているということなんですね。Netflixでは「HD画質に加え、4Kの配信もスタート」させているそうですから、どんどん帯域を食うことでしょう。この辺りの問題が米国で今後どのように解決されるのか、また、日本でも今後同じような問題に直面するのどうかかが気になるところです。
いずれにしてもSpotifyの例もあることですし、Netflixが順調に予定通り今年の秋に日本でサービスを開始できるのかどうか、それは今のところ神のみぞ知るという感じでしょうか。エンドユーザーとしては、動画配信事業者同士が競合することで、良質な動画カタログが充実しそれらをリーズナブルな料金で楽しめればそれでいいわけですから、各社頑張っていただきたいところであります。
逆に、相対的な会員数の伸びの鈍化に見舞われるニコニコ動画方面や、キャリアと一体化された映像配信ビジネスに活路を見出している各社の動向も併せてじっくり見物していきたいものです。