無縫地帯

ウェアラブル・コンピューティングがブームのようです

全容が明らかになりつつあるウェアラブル・コンピューティング(身に着けるPC)の最先端の状況は興味深いところであります。将来的には知覚拡張、人間の外部記憶といった技術に繋がっていきますね。

Googleがメガネ型コンピューティング・デバイス「Google Glass」を発表し、さらにはAppleが近々腕時計型のスマートデバイスを発表するのではないかという憶測も広まることで、にわかにIT情報サイト等を中心として、ウェアラブル・コンピュータについての話題が盛り上がっています。

Googleに加えAppleやSamsungも参入!? ブレイク必至のウェアラブル機器について考える(マイナビニュース 2013/3/25)
「Google Glass」に見る新たな可能性--ビジネスやコンシューマーに何がもたらされるか(ZDNet Japan 2013/3/12)

Google Glassに至っては、その反響の大きさゆえか、まだ実用化されていないのにも関わらず、すでにその利用を禁止する具体的な動きまで一部で起きているようです。

「Google Glass」はプライバシー侵害?米シアトルの飲食店が店内での使用を禁止(ITpro 2013/3/11)
運転中の「Google Glass」の使用を禁止に。アメリカで法整備に着手(リンゲルブルーメン 2013/3/25)

すでにスマートフォンという、ノートPCなどと比較すれば、限りなくウェアラブル・コンピューティングに近い環境を実現した機器がある今の時代、それらのスマホを使ったプライバシー侵害行為や、ながら利用による事故は起きているわけですから、当然、さらに小型で簡単に利用できる装置があれば、同じことをしてしまう人は絶えることが無いだけという話でもありそうですが。

ただ、こういった新しいウェアラブル・コンピューティング機器が、普段の生活の中で誰もが利用する状況にすぐなるのかというと、それはどうなんでしょうか?Google Glassのようなメガネ型ものについては、最初にあげたマイナビニュースの記事の中で「将来の可能性」としてあげられている例のように、まずは専門的な仕事向けの装置として普及していくような気がします。

理論的な観点から見た場合、Google Glassは商品を保管している倉庫などで用いられるようになり、装着者が商品を見るだけで在庫管理が行えるようになるだろう。また、医師は患者との問診中に、データの記録や、カルテの参照といった用途でGoogle Glassを活用できるはずだ。そしてパイロットは、飛行時のサポートに用いることができるだろう。さらに警備会社であれば、コンサート会場などで潜在的な脅威を洗い出すために活用できるはずだ(顔認識技術が手軽に使えるようになるとこういったことも可能になる)。
一方で、腕時計型スマートデバイスについては、サムスンやGoogleも開発中という噂が続々と報じられていますが、こちらの方はどれぐらい実用性を見越した製品になるのか今ひとつよくわかりません。

サムスンも腕時計型端末を開発アップルと競争(MSN産経ニュース 2013/3/21)
Googleもスマートウォッチを開発中?Financial Times報道(ITmedia 2013/3/25)

上記ITmediaの記事の最後でも紹介されていますが、スマホと連動して動作するような腕時計であれば、すでにいくつもの種類が市場に出ています。しかし、用途はかなりニッチです。誰もが日常生活で使いたいと思うような感じではないですし、実際バカ売れしているといった話も耳にしません。
Google傘下のMotorola Mobilityは、腕時計型のフィットネス支援端末「MOTOACTV」を販売している。MOTOACTVは、AndroidスマートフォンとBluetoothで接続し、走行距離や速度を記録したり、着信メールを読んだり、ランニングに合う楽曲を再生したりする。
なんとなくですが、この腕時計型スマートデバイスは、決して生活には必要ないけれど新しいIT機器が出ると必ず買ってしまうというようなギーク層を目当てにしたニッチ商売という印象が強いです。まぁ、実際に出てみないと判断は出来ないのですけれど……。

こういう、一見これからの未来を担うすごそうなパーソナルデバイスというと、どうしてもPDAを思い出してしまいますが、あの失敗は今のスマホの成功にもつながっているわけですから、何が起きるかわからないということでは、今回のウェアラブル・コンピューティングのブームも生暖かく見守っていると面白いことになるのかもしれません。