万単位の人々を相手に110番通報させるいたずらが簡単にできてしまう、いい時代になってしまいました
LINEで110番にかかってしまういたずらを仕掛けた高校生が書類送検されたという事件がありました。
山本一郎です。私の存在自体がいたずらのようなものです。いつもご迷惑をおかけしておりすみません。
いたずらというと、20年ほど前、私が大学生のころに慶應義塾大学の自治会のひとつである文化団体連盟という組織の委員長をやっていたんですけど、これが大学当局とベッタリの体制派でして、どこぞの大学の左翼系活動家の巣窟になっている自治会から良く抗議されたり、帰路に殴られそうになったりしたわけですよ。私自身は昔からバリバリの保守主義者でしたので、学生闘争とか無縁なわけです。
その左翼の面々が主張するのをよく聞いてみると、どうも大学当局と馴れ合っている大学生は闘志が無く堕落しているということのようでした。まあ、他人からの評価などどうでもよく、私としては学費を値上げしてでもいいから良い授業と良い留学、良い就職が大学から提供されればそれが一番いいんじゃないかと思っていたので、やってきた左翼の皆さんとはよく論争になりました。塾内にもごく少数ですが左翼がいたので、みんな自治会から追い出してしまいましたし。
とはいえ、慶應義塾は全塾協議会という塾内の各自治会の元締め自体が民主的に運営されていたので、毎年きちんと会長選挙とかやっていました。私も選挙管理委員長とかやっていたわけですけど、その選挙活動を妨害しに10人ぐらいの大学生とは思えないおっさんが不思議な身なりでキャンパス内に乱入して来るのを事前にキャッチ、こちらも体育会本部からアメフト部や剣道部を動員してきて揉み合いになり、全員捕まえていただいて全部脱がせて半日監禁したのは良い思い出です。
襲われっぱなしでは芸が無いので、当時流行っていたピンクチラシのファックス登録に片っ端から先方左翼のファックス電話番号を登録して大量のテレクラファックスが送りつけられるように仕向けたり、夜に東京電力に公衆電話から連絡して先方左翼の籠る建物に対して「漏電したので電気をすぐ止めてください」と伝えて秒速で電気が切れて狼狽して建物から出てくる左翼を遠くから観察してたり、様々ないたずらをさせていただいたのは良い思い出です。
いつも小汚いライトバンみたいなのでやってくるので番号を控えて停車中にこっそりナンバー付け替えて「盗難車が走ってます」と警察に通報したり、恋人募集の雑誌コーナーに女性の名前で先方事務所の電話番号を掲載したり、ご自宅が割り出せたのでたくさんダイレクトメール送りつけたり、開いていた窓からアンモニア瓶を投げ込んだりしたのもとても良い思い出です。しかも、左翼の活動家同士仲が悪いのか没交渉だったようなので気を利かせてお互いの名前で相手の自治会宛に誹謗中傷する郵便を送りつけたら大変なことになったり、いたずらには良い思い出がたくさん詰まっています。
あの当時の面々とはいまでもFACEBOOKでいたずら自慢をして遊んでいますが、そのころのスキルは社会人になっても立派に生きています。ありがとう、委員長時代の自分。
ところで、踏むと自動的に警察へ緊急電話をかけてしまうURLがLINE上に出回り、いたずら目的で犯行に及んだ若者が書類送検されるという一幕がありました。
自動110番ウイルス作成・拡散容疑の高2ら書類送検(朝日新聞 14/12/10)
URLをクリックするだけでスマートフォンから自動で110番通報するコンピューターウイルスを作成し、無料通信アプリ「LINE」で拡散し、作動させたなどとして、兵庫県警は10日、岐阜県内に住む高校2年の少年(16)を不正指令電磁的記録作成・同供用容疑で、兵庫県などに住む中高生ら男女5人(14~19歳)を同供用容疑などで神戸地検に書類送検し、発表した。朝日新聞犯行の動機は完全に愉快犯だった模様です。
「びっくりすると思って…」自動的に110番架電のウイルス作成少年少女6人書類送検兵庫県警(産経WEST 14/12/10)
ウイルスを作成した少年は「びっくりすると思ってやった」と容疑を認めている。産経WEST内輪の友達同士でのたわいのないいたずら電話程度であればまだ良かったのですが、警察への緊急通報用電話番号を使ってしまった時点で悪質。しかも、それがLINEというツールを経由して大規模に拡散されてしまったのは非常によろしくなかったと思います。
ウイルス原因の110番、全国で7500件(読売新聞 14/12/11)
この事件は、高校生がウイルスをサーバーに保存し、知人らが保存先のURL(ネット上の住所)を無料通話アプリ「LINE(ライン)」で拡散。県警によると、サーバーには約1万9000回の接続記録が残り、このうち110番通報は、スマホ画面に発信許可を求める表示が出ない機種などを中心に約7500件にのぼったという。読売新聞それにしても、2万人近くがこのいたずらにひっかかり、7500件も緊急通報用電話が発信されていたというのは驚きです。おそらくはチェーンメール的な感じで若いユーザー間において一気に拡散されたのでしょう。試しにネット検索してみたところ、LINEの公式質問サービス「LINE Q」に、当該事件で被害にあったと思われるユーザーの書き込みがありました。
LINEでイタズラされました 警察にかかるやつです。 ホントに嫌です ひっかからない方法を教えてくださいLINE Qこの事件は今年の4月下旬~5月1日で起きたことが分かっており、それを元に捜査が進められて今回の書類送検に至ったわけですが、警察側としても単なる子供のいたずらとして看過できる内容ではなかったということですし、今後の模倣犯を防止するための一罰百戒的な思いもあるのではないでしょうか。
誰もがスマホでネットサービスを使い、手軽に情報を広い範囲へ拡散することが容易となった時代においては、改めて社会的なルールに反した行為に及んだ際にはどのような罰則があるかという情報をわかりやすく周知していくことが求められていると感じます。本来であれば家庭や学校でそういうことは伝えられるべきなのですが、デジタルデバイドによって親や教師側が子供達に追いつけなくなっている状況では、親や教師に代わる存在が必要なのかもしれません。
やろうと思えばできてしまうのがこの手の迷惑ツールの難しさですし、すべてを対応しろというと普通の便利ツールの類まで一斉に規制されてつまらないインターネッツになってしまうので、そのあたりのさじ加減についてもよく考えていくべきなんでしょう。まあ、子どものやることですから、おおめに見てやるのがいいとは思いますがね。